<在校中について>
——— レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次をお教えください。
2016年9月にカフェコースを卒業しました。当初は半年間のみの受講予定でしたが、調理法と事業計画についての学びを深めたかったので半年間追加で受講しました。
——— 入学したキッカケは?
レコールバンタンキャリアカレッジに決めたのは、高校3年生の時に参加したバンタングループ校のサマーセミナーの印象が強かったからです。当時は高校生でしたが、当時配られた資料を今でも取っておくくらい、濃い体験でした。なので、バンタングループのスクールならきっと自分に合っているだろう、やりたいカフェを上手くできるような要素を教えてもらえるのではないかと感じ迷わず入学しました。
——— いつから、お店を開きたいと思っていましたか?
20代の時からですね。
専門学校時代は、軽井沢のペンションでアルバイトしていましたし、23歳の時はご縁があり箱根にあるペンションのマネージャーとして働いていました。なので、漠然と「ペンションをやりたい」と思っていたんですね。ただ、いきなりペンションを始めるには費用もかかるので、まずは雑貨屋さんか、カフェを開きたいなと思っていて。お菓子作りやジャム作りも好きでしたね。
結婚し、主人の実家である檜原村に移住したことを機に、村に対して非常に想い入れが強くなりました。夫の実家の近くは「神戸(かのと)」というエリアなのですが、「開業するならここでやりたいね」という話に自然となりました。主人はサラリーマンですが、一緒になる人がお店を開いてくれたらいいなと密かに思っていたそうで、開業に対してもとても理解がありました。
——— なるほど。入学時に学びたい、身につけたい目標はありましたか?
調理全般はもちろんですが、自分だけでは思いつかないようなデザイン的な部分を学びたいと思っていました。
カフェ運営に必要な戦略や、どういったプロセスを経てメニューを開発すればいのか?といった点ですね。
——— 印象的だった講師、授業はありますでしょうか
どの先生もいい講師ばかりで、大事なことを沢山教わりました。現場でも「これは教わったことだな」と思うことが多いですね。
前期の授業で良かったのは、基礎的な調理法が身に付いたこと。パスタ、オムライス、ハンバーグ、チーズケーキやティラミスなど人気メニューを学べたのが良かったです。パンの授業でも、本格的な機械を使って作れるのが楽しかったですね。
後期で印象的だったのは、調理担当の船木講師。とっても穏やかな先生で、いつも笑顔。ですが、私は調理が苦手だったので、よく苦笑いされていました(笑)でも、とても根気よく教えてくださいましたよ。後期は、他国の料理を学んだのも新鮮でした。ガンボ(アメリカ・ルイジアナ州を起源とするシチュー料理)、チェー(ベトナムの白玉を使ったスイーツ)など、自分が外食で挑戦したことがないような料理を知れたのも良かったです。また、後期も受講したことで、経営学や事業計画を作ることなど、調理法以外についても理解を深めることができました。
——— レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」と感じることはありますか?
ありますね。デザインの佐々木 玲(あきら)講師の授業は、卒業生のお店を実際に見に行く時間がありました。座学で学ぶよりも実際のお店を見ながらポイントを聞けたので、説得力があるしお店作りの参考になりました。
——— 印象的だったイベント、販売実習などはありますか?
卒業制作ですね。後期メンバーで作れる限りのメニューを作り、前期のクラスメイトたちも呼んで、みんなで立食パーティーをしたんですよ。目的意識を持った学生が多かったので知り合えて良かったです。
——— 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?
在学中に、半年ほどカフェで調理のバイトをしていました。バイト先の上司には「いずれ自分のお店を開業する」ということを伝えていたので、2ヶ月目からめちゃくちゃ厳しくしていただいて(笑)。ランチでは、オーダー表が流れてきてひたすらそれを作って……という実際のオペレーションを体感できました。忙しくて大変でしたが、経験して良かったですね。
<卒業後について>
——— では、開業された経緯をお教えください
2018年7月に開業しました。すぐに開業できなかったのは、希望の物件が見つからなかったから。地区の中にふたつ候補がありましたが、なかなかタイミングが合わず。主人の実家の近くで、実家の土地内でオープンする計画もあったのですが、公道に面していないと住宅ローンが組めないということになり断念。現在の物件に出合うまで、少し時間がかかりました。
——— 場所、店名、コンセプトについてのこだわりをお教えください。
場所は、檜原村の神戸(かのと)エリアで、と決めていました。また店名は複数候補があり、その中から「ヒノハラテラス」に決定。佐々木講師にはお店の内外装デザインを担当していただき、宮崎講師にはコンサルタントとして入っていただき助言をいただきました。卒業後も、こうしたプロ講師たちとの繋がりが持てるのは心強いですし、レコールバンタンキャリアカレッジのいい点だと感じます。
——— 特にオススメのメニューについてお教えください!
ふたつあります。
まずは、「ランチ 山ごはん定食」1480円(税抜)。寝かせ玄米のご飯に3種類のデリがついています。私が青森県八戸出身なので、南部藩にゆかりのある南部鉄器ココットにハンバーグを入れてお出ししています。
もうひとつは、「季節のパンケーキ」1380円(税抜)。ふわふわのパンケーキに、自家製ジャムとフルーツを使っています。生地の配合からこだわっています!
——— 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。
まぁ大体、大変なんですけれど(笑)特に経理ですね。私は数字が苦手なので確定申告とか、賃金計算とかかな。
あとは、カフェの営業もして、季節が変わるから新しいメニューも考えて事務処理も……と、全部を同時進行でやるのが大変ですね。でも、苦労よりもスタッフやお客様のおかげで喜べることの方が多いです!
——— 新型コロナウィルスの流行で工夫された点、心がけていらっしゃることについてお教えください。
2月の時点で、去年2月よりもお客さん増えていると感じたのでマスク着用で営業していました。3月上旬には、店内営業を辞めてテイクアウトに切り替え、テラス席のみ使用可能にしました。
4月は村内の行ける範囲内で、お弁当とピザのデリバリーを始めました。元々デリバリーは開業して3年後位にやろうと思っていたことですが、今回の状況で、スタートする時期が一気に早まりましたね。檜原村はピザチェーン店のデリバリー区域外なので、「ピザのデリバリー」に夢を描いている人が多くとても反響がありました。役場や、役場関係機関にも配達に行き喜んでいただくことができました。
5月いっぱいは完全休業にしました。6月以降については、「新しい生活様式」に対応するため、店内席を4席から1席減らし、融資がおりればテラス席を拡張したいなと考えています。衛生面に気をつけて、テラス席の営業に加えてデリの販売や配達などを再開していく予定です。
——— 飲食ビジネスの面白さ、喜びについてお教えください
色々な人が応援してくれているな、ということをすごく感じられます。
例えば、クチコミを見て観光客の人が来てくれるのも嬉しいし、村の人たちが応援してくれるのも嬉しい。日々営業していて「美味しかった」「ありがとう」と直接言ってもらえることは喜びです。また、スタッフと新しいメニューを考えて、それがバンバンオーダーされるのもとても嬉しいこと。
でも、私は「カフェを開くこと」が最終目標ではなく、宿も開業して観光を盛り上げ、村を活性化し続けることが目標です。檜原村は、人口2000人を切る東京都唯一の村。移住者も多く、魅力があるのでその良さを発信し続けていきたいですね。
———— 飲食業界で活躍するうえで必要なことはどのようなスキルだとお感じでしょうか?
私にとっては調理や経理ですが、得意な人は苦労とは感じないと思います。強いて言うなら、オープンしてから何をするか、どういうお店にしていきたいかとイメージを持ち続けることでしょうか。それが持てないと開業できても、しんどくなっちゃうかもしれません。その先のイメージを持つことで、「未だまだやらなくてはいけないことがある!」と思えると思います。
——— ありがとうございます。最後に、レコールバンタンキャリアカレッジへの
入学を検討されている方にメッセージをお願いします。
プロの講師に教えてもらえる。それはすごく貴重な環境だと思います。実際に開業してみて「これ、先生が言ってたことだ!」と思えることがたくさんあるんです。あとは、クラスメイトとの繋がりも深いですね。卒業生の方だけでなく、同級生の中にも、通販でドイツのマジパンを販売されている方や、釧路でカフェを営んでいる方、蒲田でシフォンケーキ店を開業されている方など夢を叶えている方が多い。お店に行ったり、SNSで頑張っている姿を見て、刺激をもらっています。是非、講師や同期との繋がりを大切にしていってください。
店名: 山ごはん ヒノハラテラス
住所: 東京都西多摩郡檜原村神戸3395