21.07.31 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> 私立珈琲小学校 オーナーバリスタ 吉田恒さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。 外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、私立珈琲小学校オーナーバリスタ吉田恒さんにインタビューを行いました。

 

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―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2014年にカフェオーナーコース(速習)(※2021年現在:飲食店開業コース)を卒業しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか?スケジュールも教えてください。

クラスは11名、水曜日と木曜日(※2021年現在:全コース土曜日もしくは日曜日開講のみ)に、授業が集中してありました。9時から12時と、13時から16時までの90分授業が1日4コマでした。水曜日は1日調理の授業、木曜日は午前中が店舗設計やブランディング、午後はビバレッジの授業でした。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

学生時代、数多くのアルバイトをしましたが、飲食業にはほとんど就いたことがなく、教員になりました。教員を辞め、飲食店を開業するうえで、どんな考え方、どんな技術が必要なのか知りたかったので飲食の専門校を探していました。そんな中、ネットの情報でレコールバンタンのこと知りました。入学前に体験学習があり、参加させていただきました。実際の授業の雰囲気を感じられる貴重な機会でした。事前の説明もとても丁寧にしていただいたこともあり、レコールバンタンキャリアカレッジにお世話になることを決めました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

飲食業の経験がなかったので、お店を作るまでに必要なこと、お店をランニングさせていくために必要なこと、飲み物や食べ物を作るための基本的な技術を学びたいと思っていました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか

ドリンクに関する授業は、とても印象深いです。篠崎講師の授業では、バリスタとしての心構えはもちろん、人としての在り方も教えていただきました。「作り直す勇気を持つこと」「美味しいの答えは、お客様の中にあること」などを、篠崎講師に教えていただいたことは、お店を営む上での大切な指針になっています。江沢講師の授業は、毎時間の目標が明確で、身につける技術や考え方をきちんと授業の中に落とし込む鮮やかな授業でした。江沢講師から教えていただいた「甘味と酸味のバランス」は、オリジナルのドリンクを作る時にいつも心の真ん中に置いている言葉です。調理の授業では、「味を決める難しさ」を学びました。一口目の美味しさと、食べ続けられる美味しさを決める塩梅が本当に難しく、手塚講師がいつも笑顔で、優しく「もう少し塩加減を攻めてみるといいよ」と仰っていただきました。今でも、味を決める難しさを感じながら仕事をしていますが、「難しいということ」を意識できたことで、「自分の美味しい」を考えることにつながりました。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

卒業前に、自分たちで1日カフェを運営する授業がありました。講師の方々に教えていただいたことを活かして、メニュー作り、当日の運営を行いました。パスタの担当になり、どんなメニューにするか仲間と考えました。仲間とパスタを食べ歩き、試作し、原価を計算し、作業工程やオペレーションを考える等々、あの時学んだことを、今でも繰り返し行っています。

 

 

―――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。

渋谷にあった卒業生のカフェで、1日実習に行かせていただきました。実際にお店を続ける難しさを実感できる機会でした。

もうひとつは、卒業に向けての1日カフェです。今は、珈琲屋なのでドリンクを作ることが主なのですが、調理を経験したことで得られる知識や、調理をする人側に立った見方や考え方をする大切さを学びました。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

レコールバンタンに通ったことをきっかけに、学びたいことが増えました。そこで、オーガニック食材・調理のスクールに通いました。また、海外のコーヒーカルチャーや、まちづくりについて学ぶ市民大学にも通っていました。

 

 

<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯を教えてください。また、開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

レコールバンタンに通学していくうちに、「自分の考えるよい店って、どんなお店だろう」と考えるようになりました。教員時代も良い授業をするためには、良い教育ってなんだろうという大きな、根源的なところを考えないといけないと思っていたので、お店も同じだよなと思い至りました。

「誰もが心地よい空間で、美味しいものを〜」と考えているとホテルのラウンジみいたになってしまい、自分のやりたいことではないよなと悩んでいると、レコールバンタンキャリアカレッジ同級生の吉原くんが「僕がいいお店に連れて行きますよ」と一緒に「良い店の具体例ツアー」に連れて行ってくれました。

そのツアーで大好きになってよく伺ったのが中目黒にある「ドロール(現在は閉店)」というカフェと「マハカラ」というイカ玉焼きとプリンのお店でした。どちらも創意工夫の凝らされた食べ物と飲み物、お店の世界観、そして素晴らしい接客に魅了され、毎週通うようになりました。

 

そのマハカラさんが、池尻に2号店があり、リニューアルを控え、閉じている状況でした。マハカラのオーナーさん、中目黒店の店長さんから「リニューアルまでの半年間、その場所を使ってみませんか」と嬉しい提案をしていただき、2015年4月から9月まで、私立珈琲小学校をオープンしました。

本当は横文字のかっこいい店名にしよう!と意気込んでいたのですが、マハカラの方々に「そんな横文字、イケてないわ〜!先生は、学校の先生だったんだから、それを活かした方がいいです。『せんせのお店いこ!』が合言葉になるように、店名に学校って入れた方がいい」とアドバイスをいただきました。内心「もう先生を辞めたんだから、学校はやだなぁ」と考えていたのですが、そこはプロのアドバイスなので、まずはその通りやってみようと思いました。公立と国立は勤務経験があったので、自分でやるんだし、私立だなということで、「私立珈琲小学校」という店名にしました。コンセプトですが、店名が学校なので、本物の学校と同じにしようと思いました。教員時代に学校で大切にしていたのは「出会い」でした。授業では「あれ?なんで?」と心が動き出すような事実と会えたらいいなと思っていました。

 

私立珈琲小学校でも、出会うもの、出会う人、出会う時間、様々な出会いを楽しんでもらえたらいいなと考えています。一人で登校してもらって、一人の時間を楽しんでいただいて、家とは違う時間に出会ってもらえたら嬉しいですし、予期してなかった人とカフェで出会ったり、知らなかった味や美味しさと出会ったりしてもらえたらいいなと思います。こんな時期に、わざわざ足を運んでいただくので、自分たちの好きなもの、自分たちの好きな人たちがつくるものを登校してくださる方々にお届けしたいと思っています。珈琲は、信頼する都内の4つのロースターさんに焙煎していただいてます。食べ物も、ご縁ができた方々と丁寧に作った物をお出ししています。手に取っていただくうつわや食器、飾ってあるもの全てに、ご縁をいただいた方々のものを使わせていただいています。弱い発信力しかないですが、自分たちの感動したものや好きなものをやんわりとお伝えしていきたいと考えています。

2015年に池尻で半年間、その後、2016年から代官山で5年間、2021年から白金台でお店を続ける予定です。ロゴデザインは、以前、勤めていた学校の校章を元にして、マハカラの方に作っていただきました。代官山に移転するタイミングで、ロゴをリニューアルしました。オーガニック料理を習っていた時の先生の娘さんがグラフィックデザイナーで、その方にお願いしました。

内装ですが、白金校舎は、懇意にしていただいている外苑前のvoiceというお花屋さんから、ご紹介していただいたのがご縁で、お願いしました。

 

 

―――― 特にオススメのメニューは?売れ筋はどの商品ですか。価格も教えてください。

腕利きのロースターさん達が焙煎してくださる珈琲をご用意しています。フルーツのような香り、チョコレートのような味わい等々、自分のお好みの味を見つけにきてください。勿論、好みを見つけるための個人面談も随時受け付けてます。シングルオリジンの値段は580〜630円です。

 コロナ禍以降、自分たちでパンやスイーツもつくるようになりました。やる気いっぱいのパンの担任、スイーツの担任がいます。ハンドメイドならではの毎日楽しめる味わいを、是非、珈琲と一緒に楽しんでください。

 

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―――― 値付けはどのように行いましたか。

難しい問題です。未だに悩みます。単純に原価や利益率は考えません。納得いく味を目指して原価がかさむのは仕方がないと考えています。「自分たちの納得=お客さまの満足」に近づくように考えています。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

いちばん苦労したのは、期間限定の池尻大橋から、次の代官山に校舎が決まるまでの間のことです。店舗も決まらず、蓄えもなくなり、困窮していました。海外のコーヒーカルチャーを体験しにオレゴン州ポートランドに行った時にお世話になった「みどり荘」というコーワーキングスペースを運営している小柴さんに、ケータリングの珈琲屋として呼んでいただきました。それがキッカケで、外苑前にあるPR TIMESさんにもケータリングに伺えることになりました。どちらも素晴らしい人たちが集まっている場所で、今でもみどり荘さんとPR TIMESさんに伺っています。私立珈琲小学校にとって、みどり荘さんと PR TIMESさんは大事な場所です。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。

ECサイトの準備をしています。直接対面する仕事以外の働き方も探っています。それと同時に、わざわざ足を運んでくださる方々に満足していただくお店とはどんなお店なのか考えています。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

見るもの、聞くこと、出会い等々、日々の出来事全てが、仕事に活きるという実感があります。珈琲屋になってから「教員やっていてよかったな」と思うこともよくあります。教え子が大きくなって通ってきてくれるのも嬉しいですね。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

こうすれば失敗するということはたくさんありますが、こうすれば成功するということがないというか……常に探し続ける必要があるところでしょうか。どんな仕事にも共通することかもしれませんが。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルはどのようなことだと感じますか?

難しいですね。僕自身も探している最中です。「美味しい」を楽しむこと、「美味しい」に感動できることは大切かもしれません。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願いします!

レコールバンタンキャリアカレッジに通ったことで、出会うはずのなかった人たちと出会うことができ、僕自身の人生も変わりました。便利な時代になったのでwebの情報で全てを済ませることも可能だとは思います。同じ目的に向かっている仲間と話すこと、バンタンの講師の方々に教えていただ くこと、実際に手を動かし考えていくことができるのは、貴重だと僕は思います。

 

 

私立珈琲小学校

@coffeeelementaryschool

錦糸公園校舎OPEN準備中

 

 

 

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