開業実績380店舗以上のレコールバンタンキャリアカレッジ。
外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、
東京都足立区綾瀬にて「cafe&bar BASE」を営む、オーナー田村 基さんにインタビューを行いました。
<在校中について>
――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。
2022年9月に、フードビジネス飲食店開業コースに入学し、半年間受講しました、
――― クラスは何名くらいでしたか。
40名弱くらいです。オンラインで受けている人もいました。コロナ禍だったので、オンライン+リアルのハイブリッドスタイルでした。
――― 通学時の1日のスケジュールも教えてください。
週1回、日曜日に授業がありました。午前中は座学、午後はドリンクの授業でした。お昼は校舎近くに食べに行っていました。パソコンを持って受講していたのでその場である程度内容を整理し、帰宅後は疑義などを抽出し次回の授業で質問できるよう整理していました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。
飲食の業種業態事業の成り立ち、収入収支の考え方などを含めて0から学べそうだと思ったからです。インターネットで調べていて、レコールバンタンキャリアカレッジを知り43歳のときに入学しました。それまでは医療・介護業界のサラリーマンをしていて、飲食業界は初めてです。
――― レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶと決断するときに、悩まれた点があれば教えてください。
カリキュラムと内容で選びました。他に、候補となるスク―ルはありませんでした。
――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?
収入・収支の考え方、飲食ビジネスがどのように成り立っているのかを知りたかったです。
飲食店を開業したいと思ったキッカケは、「居場所」を構築したかったから。趣味で音楽をやっているのですが、音楽活動と並行して、地域に拠点となる場所をつくりたいと思っていました。
――― 印象的だった講師、授業はありますか。
いちばん実践的な知識を教えてくださったのは宮崎講師だと思います。事業計画の作り方から始まり、収支の考え方やコストの内訳である人件費、地代、食材費等の目安を教えていただきました。また、席数×ロス率×回転数といったセオリーも習いました。サラリーマン生活が長いので、収支計画や予算構築などはある程度わかっていましたが、改めて飲食業界の収支内訳を学べて良かったと思います。あと、ストレートにものをおっしゃってくださる点も好感を持ちました。
午後・ドリンクの授業は江沢講師に学びました。ソフトドリンクからアルコールまでドリンクの基礎を広く学ぶことができ、特に紅茶・日本茶の導入授業はとても興味深かったです。基本的な「淹れ方」でここまで味が変わるのか、また同じ茶葉を使っても淹れ方ひとつでこんなに味が変わるのかという新たな発見がありました。また、ドリンクを作成する際のグラムや時間はあくまでも基本であり目安。そのときどきで、室温・湿度や素材の状態も違うので、「最終的には、味で判断して変えてください」というメッセージがとても印象に残っています。
――― 授業の雰囲気はいかがでしたか?
当時はコロナ禍ということもあり、私語厳禁でした。ドリンクの授業は試飲などがあるので、比較的ワイワイしていました。テーブルに5~6人のクラスメイトがいたので、意見交換をしたりもしました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?
いちばんは、地代等の固定費の考え方です。特に、開業店舗物件の選定の目安は、非常に参考になりました。つぶれない店作りをするために、坪単価が2万円以上は無理だと言われました。飲食店初心者は、1万5000円以下を目安にと教えていただき、物件を探すときはとても参考になりました。
実際に開業したいエリアにあてはめたときに固定費以外の条件等、教わったすべての条件を満たすことは困難でした。。開業した足立区・綾瀬エリアは、再開発が進んでおり物件が限られており授業の内容をもとに自分の決めた選定条件から逸脱せざるを得ない部分もありました。がただし事前に学んだことがプラスになったと思っています。
――― 在学中または卒業後に、アルバイトなど飲食業界の経験をされましたか?
経験はありません。レコールバンタンキャリアカレッジを受講後、自宅での試作品作成やオペレーションの構築をしながらコーヒーの勉強を2年間しSCAの国際資格取得し、経験値を高めていきました。
――― 入学前に描いていた開業と実際にイメージに変化はありましたか?
レコールバンタンキャリアカレッジの受講期間を含めて、事業及び資金計画を約3年間かけて練っていきました。
開業してみて、予想していた計画と違うことも多いです。まず、お客さまをどう呼ぶのか?からスタートし、メニューを作ってみたはいいものの、お客さまに刺さっているのか どうか、日々試行錯誤をして今を迎えています。
――― 在学中「開業サポート」は活用されましたか?
在学中は、どのようなお店を開業するか固まっていない部分もあったので、していません。卒業後すぐに開業予定ではなく、長期的な目線の為、活用は見送っていました。
<卒業後について>
――― 開業された経緯を教えてください。
以前、仕事で中国に暮らしていたことがあったのですが、日々の生活は不安が多くなかなか安心できる場所がありませんでした。そんな中出会ったのが、在中の日本人イタリアンレストランオーナーでした。彼はレストラン地下にライブハウスを作りそこを無料開放して、駐在員の憩いの場として提供していたのです。
彼のビジネスモデルは解放し集まった人にご飯を食べてもらうというものなんですが、異国の地で人が集い交流する環境に魅了されました。計4年いましたが、日本に帰ってきてから「似た場所がすごく少ないな」と思いました。東京は、色々なエリアから人が集まっていますが、便利さと隣り合わせでなんとなく孤独を感じるような場所だと思っています。その東京に人々が安心して落ち着ける「特別な居場所」をつくりたいと思ったことがキッカケです。今後は1店舗だけでなく、ミュージックバー等様々な業種業態の店舗をつくることを夢としています。
――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。
<お日にち>
2024年1月6日オープンです。
もともとは、医療関係の会社に所属しており、主に病院内の給食事業やコンビニ・レストランの管理、業務のIoT化を進める業務に従事していました。2023年12月末まで常勤として働き、今は会社からの要望を受け週2日程度の非常勤で働いています。利益や客単価の低いカフェ業態では、店舗が軌道に乗るまでの期間可能な限り「副業」をもって開業する選択肢もあっていいのではないかと思っています。
<店名>
地域の基地「BASE」のような特別な居場所にしたい、また私の名前が基(もとい)であること、元自衛官というバックグラウンドなどから名付けました。
<コンセプト>
スペシャリティコーヒーがメインの「カフェバー」という業態です。
生活のスタートとゴールになりうる「基地」として、安心とリラックス、次への活力を養えるような場所として使ってもらうことをコンセプトしとしています。過ごし安いように席は少し広めにとり、緑のタイル・木目・暖色の照明など落ち着いた空間とし、私を含め店舗スタッフとの会話ができるようなレイアウトとしています。
<物件>
駅前徒歩5分圏内で探していたのですが、足立区・綾瀬が再開発エリアで、物件自体が見つかりませんでした。もちろん坪単価2万円以下の物件もありませんでした。そこで、駅からは徒歩8分から10分以内、住宅地エリアを条件に再考し現在の物件選びました。
またサラリーマンの経験から「通勤は体力を削られる」と認識していたので店舗運営の継続性も考慮し自転車で約5分、自宅から徒歩でも通える物件を選定しました。
<デザイン>
レコールバンタンキャリアカレッジに入学してから感じたのが「内装等の建築関係を誰にお願いすればいいのだろう?」ということでした。
そこで、内装デザイナーのマッチングサイトを使いました。具体的なサイト名は忘れてしまったのですが、入力フォーマットに自分がやりたい業種・業態・予算等を入力すると、デザイナーさんからオファーがきて、そこから「ポートフォリオ」を見て、こちらから気になる人に声をかけることができました。これまでに手掛けた作品集を見て、テイストが合う方にお声がけし、実際に面談後施工をお願いしました。
<客層>
年代は、30~40代半ばがメインの顧客層です。男女比は、4:6で女性がやや多いイメージです。私の年代前後の方々に来てもらいたいと思っていたので、現時点ではターゲットに合致しています。
――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。
浅煎り~中煎り程度のスペシャリティコーヒーを使用した「ハンドドリップコーヒー」(税込792円~1342円)、エスプレッソマシンを使うメニューですと「カフェラテ」(税込759円)、「アメリカーノ」(税込715円)が人気です。
コーヒーのお供に「スコーン」(税込330~418円)も店内で焼いています。
――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。
第一に原価率を考えました。ただ単純に1品1品で考えるのではなく、商品によって高いもの、低いものを織りまぜ、メニュー全体をみたときに適正な原価になるように設定しています。併せて地域特性を反映させて価格を決めています。
足立区・綾瀬では苦いコーヒーを好む方が多く、スペシャリティコーヒー・特に酸味のある浅煎り等のコーヒーになじみのないエリアです。都心部同様の価格では厳しい為、啓蒙もかねてサービス価格での提供商品も作ったりしています。
――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。
サラリーマン時代は担当業務があり仕事はその業務だけをしていればよかったのですが、個人事業主となるとそうはいきません。財務から、仕入れ・売上管理、集客、広告宣伝等すべての業務を自分でやらないといけないのでキツイところがあります。私は妻のサポートがあるのでなんとかなってますが一人ではなかなかきついのではないかと思っています。
また運転資金の確保も問題です。公庫で設備投資及び3カ月分の運転資金を借りましたが、状況によっては貯金を削ることもしばしばです。併せて店舗運営以外の出費として住民税、国民健康保険料、国民年金の支払いに苦しんでいます。脱サラして初年度は本当にきついので、資金については私生活の出費を含め十分な計画を練ったほうがいいと思います。
――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。
BASEの商品と我々に会うことを楽しみにしてくれる人が増えることに喜びを感じています。商品や技術もさることながら最終敵にお客さんは、「人と場所」につくと考えているのでその実現が我々の一番の喜びです。
――― 日々の営業での大変さはどのようなところでしょうか。
一番は労働時間が長いところ。いまは、約14時間拘束、10時間労働です。サラリーマン時代は多くても9時間程度だったので本当に体力が必要と感じています。この現状を少しでも軽減すべく可能な限り電子化・IoT化に取り組んでいます。
レジは「square(スクエア)」を導入しています。
クレジットカードだけでなくほとんどの電子決済にも対応しており、現金の取扱いがへり釣銭準備や管理の負担が減っています。手数料はかかりますが許容範囲内としています。またsquareは売上をクラウド会計システム「マネーフォワード」と連携できます。そうすることで売上管理の手間を減らしています。日々の原価入力もスマホからできるのでとても便利です。
他にも、デジタル商材を積極的に取り入れています。時間になったらスイッチを押してくれる「SwitchBot」は、エスプレッソマシンに使えます。初動沸き上がりまで約30分かかるのですが「SwitchBot」はタイマー設定で予熱してくれるので導入後は30分間出勤時間を節約することができました。
開店当初2-3カ月は苦労しましたが、これらのシステムや機器を使うことでだいぶ楽になってきています。引き続き何か負担軽減できないか検討していきたいと思っています。
――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?
行きつくところは「人間力」だと思います。料理やドリンクが美味しいことも大切ですが、特に個人経営の飲食店はものが美味しいということだけでなく、「人との繋がり」を求めていくことが多いと思います。なので、技術や商品もさることながら人間としてのセンスを磨くことも忘れてはいけないと直感的に思っています。
――― 今後の目標はありますか。
1店舗に留まらず、2、3店舗とお店を構えることが目標です。音楽とコーヒー・お酒を楽しめるミュージックバーや飲食に限らずアパレルやアートなど幅広い分野での業務展開をしていきたいと思っています。お客さんに楽しんでもらえることを第一に、その後は妻も含めて、自分たちが楽しんで「やりたいこと」が実現できる環境を整えていきたいです。
――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。
はい。良いと思います!特にまったく違う業界から参入されるときに、「基準」となるものは絶対に必要だと思っており、それが学べるのがレコールバンタンキャリアカレッジです。
学んだことを100%実践することは無理ですが、実践の際のヒントや気づきを得られるのは間違いありません。
――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学をご検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!
未経験の「0」からでも開業に向けて頑張れる知識と技術を得られるのが、レコールバンタンキャリアカレッジの一番の魅力だと思います!お勧めです。
<SHOP INFO>
BASE cafe&bar 綾瀬
住所:東京都足立区綾瀬5-15-10 丸十コーポ 1F
定休日:水曜・木曜AM
営業時間:
月・火・金 10:00~16:00、18:00~22:30(L.O 22:00)
土・日 9:00~18:00(L.O 17:30)
木 16:00~22:30(L.O 22:00)
営業時間、定休日共に変更の可能性がございます。詳細は公式Instagramでご確認ください。