<卒業生インタビュー>スペシャリティコーヒー専門キッチンカー「Pacere Coffee」オーナーバリスタ 木村明子さん
開業実績380店舗以上のレコールバンタンキャリアカレッジ。
外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、
スペシャリティコーヒー専門キッチンカー「Pacere Coffee」(パチェレコーヒー)オーナーバリスタ木村明子さんにインタビューを行いました。
<在校中について>
――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。
2021年10月に「JBAバリスタライセンスコース」、「コーヒーロースト&ブリューコース」を受講し、2022年に3月卒業しました。
――― クラスは何名くらいでしたか。
週に1回授業があり、両クラスとも15名前後いらっしゃったと思います。非常に仲の良いクラスで、いまでも交流が続いています。
――― 通学時の1日のスケジュールも教えてください。
39歳のとき、大阪校に入学しました。毎週日曜に授業がありました。
1日のスケジュールは、朝7時くらいに起きて、午前中ロースト&ブリューの授業を受け、お昼ごはんは近くのカフェで食べることが多かったです。午後にバリスタライセンスの授業を受け、18時30分くらいに授業が終わりました。私はすぐには家に帰らずに、教室にとどまって、クラスメイトや講師と30分から1時間くらいコミュニケーションを取ることが多かったです。授業を終えたら、家に帰ってご飯を食べて……という感じです。
20歳で短大を卒業してから、アルバイトやパートとして飲食業界で働いていました。具体的には、お好み焼き屋さん、ベーグルの工場、その工場系列の店舗があったので、伊丹空港でも1年半ほど働いた後、梅田でもパンの販売などに従事しました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。
ベーグルカフェで働いていた20代のとき、店舗にエスプレッソマシーンがあり、バリスタをした経験がありました。その経験から、「バリスタを本格的にやってみたい」「エスプレッソを習いたい」と思っていました。調べていくうちに知ったのが、レコールバンタンキャリアカレッジ。開業をしてみたいなと思いつつも、開業とは違う生活を送っていたので、受講後も開業一択ではなく「働く場所があれば検討する」という感じがありました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶと決断する前に、悩まれた点があれば教えてください。
資料請求をして、校舎での説明会に行き、その場で即決しました。長くパン業界で働いていたので、他のコースにも興味がありコース選びは迷いました。
最初は、「JBAバリスタライセンスコース」のみで考えていましたが、焙煎についても学びたいと思い「コーヒーロースト&ブリューコース」も選択。1日で受講できる点も魅力でした。
――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?
コーヒーが好きで、エスプレッソを学びたいと思っていました。「JBAバリスタライセンス」がとれるところが魅力だと感じていました。
――― 印象的だった講師、授業はありますか。
「コーヒーロースト&ブリューコース」は、上野講師に教えていただきました。解説もわかりやすく、とても魅力的な講師です。「バリスタライセンスコース」は鈴木講師の授業を受けました。プロフェッショナルバリスタですので、提供の仕方から所作までを丁寧に教えていただきました。お客さまからの「見え方」、「見られ方」を含めて教えていただき、とても実践的でした。
――― 授業の雰囲気はいかがでしたか?
午前、午後共に楽しかったです。午前の授業に引き続き午後を受講する人も多かったので、クラスメイト同士とても仲が良かったです。
「コーヒーロースト&ブリューコース」では、10分休憩の時間も会話が盛り上がり、講師から「休憩しよう」と声をかけられるくらい。焙煎している間も、同期同士のコミュンケーションが活発でした。「バリスタライセンスコース」もコーヒー店を開業したいなど、目標が明確な人が多い印象があります。人としてのありかたもすごいと思う人が多く、踏み込んでいいところ、踏み込まないところのサジ加減が絶妙でした。
――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」にいかされていると感じることは?
スペシャリティコーヒー専門キッチンカーを経営しています。スペシャリティコーヒーとの出合いもレコールバンタンキャリアカレッジでした。この形になったのは、レコールバンタンキャリアカレッジで学んだからこそ。初めてスペシャリティコーヒーを飲んだとき、「同じコーヒーでも、こんなに味わいが違うのか。本物の“酸”ってこういうものなんだ」と衝撃を受けました。入学していなければ、普通のコーヒーとの違いを知ることはなかったと思います。また、スペシャリティコーヒーに関する座学があり、「フェアトレード」という部分にも惹かれました。
「コーヒーロースト&ブリューコース」の授業も受けたからこそ、焙煎度の違いもわかるように。いまは、深煎りも浅煎りも好きになり、焙煎による味や風味の違いも楽しめるようになりました。コーヒー豆は、銘柄、産地、農園、焙煎度、ブレンドによっても、味わいは異なります。人の好みも、多様ですよね?そういった表現の幅の広さにも惹かれています。
――― 印象的だった授業はありますか?
「コーヒーロースト&ブリューコース」の授業が印象的でした。バリスタライセンスコースも実践が多く、座学もしっかり教えていただきました。授業に参加することがとても楽しかったので、魅力的な同期と講師に恵まれたと思います。
――― 入学前に描いていた「開業」と、実際に開業されてみてから、イメージに変化はありましたか。
「コーヒーカー」を出したい、というイメージを持っていました。開業前は、キッチンカーにエスプレッソマシーンを導入したいと思っていたのですが、いまはドリップで淹れています。キッチンカーの形態上、エスプレッソマシーンは電力が必要になります。発電機を導入する方法もありますが、すぐに開業することを考え、シンプルな器具で淹れられるドリップコーヒーを選びました。
――― 在学中「開業サポート」は活用されましたか?
していないです。自己啓発のセッションを受けていたことがあり、スクール外でコンサルティングをお願いしており、サポートしてくださっている人がいます。
<卒業後について>
―――― 開業された経緯を教えてください。
卒業後も、自信のなさから、「やりたい」と言っている時期が1年ほど続きました。準備期間中は、様々なカフェに行ったりしていました。キッチンカーという発想はあったので、車の免許を持っていなかったのでレコールバンタンキャリアカレッジ在学中も教習所に通ったりしていました。2022年に運転免許を取得し、キッチンカー開業に必要な「食品衛生管理者」を受講し、2022年11月くらいに取得しました。それでもなお、開業するのに二の足を踏んでいた状態です。果たして自分にできるのか?やり始めてどうなっていくのかわからない怖さがありました。そんなとき、コンサルタントさんに「いつまで言っているの」と指摘されました。22年年末に「やります」と心を決めました。それからは、キッチンカー制作をしている知り合いがいる友人に連絡を取り、23年年始には、キッチンカーを発注しました。私の場合は、固定店舗を構えてお客さまが来てくださるイメージが持てていなかったので、ならば自分から動こう!という発想でキッチンカーからスタートしました。
―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。
<お日にち>
2023年3月21日です。
<店名・コンセプト>
「Pacere Coffee(パチェレコーヒー)」です。楽しむ場所、安らげる場所、ホッとしてただきたいところという想いを込めてつけました。
「楽しむ」、「コーヒーで癒す、癒される」というワードで、イタリア語で検索をかけました。安らぎ=パーチェ、楽しみ=ピアチェーレ、を合わせて、「パーチェーレ」と名付けていましたが、覚えやすいよう長音符(ー)を抜きました。そして、pacere には、ラテン語で「平和をつくる」という意味合いがあると知り名付けました。
<デザイン>
デザイナーさんにお願いしています。自分の好きな青色とお店の名前の由来を伝えて、発注しています。
<出店場所>
北摂中心で、豊中、吹田辺りをメインに出店しています。伊丹や川西辺りに出店することもあります。
――― 出店場所はどのように探していますか?
ス―パー「シェフカワカミ池田店」さんには、直接お電話させていただき、出店させていただけることになりました。毎週木曜はダイエー池田店さんに出店させていただいています。Instagram経由でイベントにエントリーすることもあります。場所によって出店料は変わります。集客がいいところは必然的に出店料が高くなりますが、出店料が1万円を超えたら厳しいと判断しています。
一般的な出店場所ですと、売り上げの15~20%が多いです。イベントへの出展は、5000円~8000円というところもありますし、なかには、ベースの出店料+売上の数パーセントというところもあります。本当に様々です。
<客層>
年齢層は30代から60代まで、幅広いです。年齢層が高いお客さまもいらっしゃり、「若いねぇ」「いつも頑張ってるねー」と声を掛けられることもあります。
―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。
「パチェレブレンド」(税込650円)です。ブレンドのこだわりは、ゆっくり飲んでも、すぐに飲んでも美味しく召し上がっていただけること。買ってすぐに飲む人もいれば、作業しながらゆっくり飲む人、車の運転で時間をかけて飲む人もいます。なので、時間が経っても美味しく飲んでいただける、中深煎りで飲みやすいブレンドです。
―――― 豆はどこから仕入れていますか。
MASAKI COFFEE ROASTERYさんに、ご依頼をしています。
――― ドリンクメニューは何種類ありますか?
ドリップコーヒーを3種類(浅煎り、深煎り、パチェレブレンド)(税込650円~700円)を用意しています。アレンジメニューも3種類あり、カフェオレ、コーヒートニック、ゴマソルティです。ゴマソルティは、濃く抽出したコーヒーに、胡麻、お塩を混ぜ込んだ生クリームをのせたオリジナルドリンクです。
―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。
コツというコツは、特にないです(笑)。本当に迷いました。周りのカフェをみると、500円、450円でコーヒーは飲めるじゃないですか?コーヒーは、ワンコインと決められている人もいます。ワンコインの方が買いやすいよねと思いつつも、500円は経営を考えると安すぎるなと思いました。どれくらい付加価値をのせたらいいかを考え、決めました。
―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。
苦労は、天候に左右されるところです。この暑さで、イベントでも炎天下で人通りが少ないときもあります。コーヒー屋さんというより、キッチンカーの性質上、コントロールできない部分でもあります。一方で、気候のいい春のシーズン、4月のイベントなどは、売り上げが良かったです。
―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのようなときに感じられますか。
お客さまとお話できるところです。感想も直接言っていただけます。「美味しかったよ」や、「また来週も来る」、毎週木曜日に出店するときは「Pacere Coffee に来るのが1週間の楽しみです」と言ってくださったりします。火曜日は、2週間に1度の出店ですがリピーターさんがいます。そうした言葉をいただけることが、本当に嬉しいです。開業したら、コーヒーをキッカケに会話をしたいと思っていたので、お客さまとのコミュニケーションが楽しさ=喜びです。
―――― 大変さはどのようなときに感じられますか。
そもそも、人通りが少ないときや、お客さまが素通りすることも多いです。どのようにお客さまに声をかけていこうかなと思って模索しながら営業しています。立ち寄ってくださるための仕掛けを考えていきたいですね。
―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?
飲食業界に限らず、本当に仕事が好きか、楽しんでやれているかどうか。だからこそ続けられると思います。また、キッチンカーは、体力仕事です。毎回、水、機材、電源を積んで、営業をしたら片付けて積み込んで、を繰り返します。毎回のことなので、イヤイヤじゃできない仕事だと思います。
――― 今後の目標はありますか。
色々な人に、飲んでいただけること。少しでも多くの人に飲んでいただきたいなという想いです。忙しい毎日の中でも余裕のある時間を提供したい、お客さまがホッとできる、憩いの場所でありたいと思っています。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。
もちろん、はいです。同じ目標を持った仲間がいるのが心強いですし、一緒に学ぶことができ、開業したら互いに喜べます。同じ学び舎で頑張っているので、それだけで繋がりが強くなります。同期という仲間がいるのは本当に心強いです。開業された同期も多く、京都「Coffee stand & Roastery RUDIE」さん、大阪の「nocri coffee roster」さんがいらっしゃいます。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!
きっと、開業をやりたいから入学を考えているのだと思います。私自身も、開業を考えつつも、目的など曖昧な部分はありました。入学前に、説明会なり相談会に参加して、判断するのもいいと思います。また、入学したら授業を通して、講師に相談することもできますし、入学がひとつのキッカケになると思います。
私自身も、「考えるな、やってみろ」と人から言われます。考えているばかりだと、マイナス方向にいってしまうこともありますし、進みません。
是非チャレンジしてみてください。勢いも、大切です!
<SHOP INFO>
Instagram: https://www.instagram.com/pacere_coffee/
・JBAバリスタライセンス取得
・出店場所、営業時間などは公式インスタグラムよりご確認ください。