<卒業生インタビュー>「まちの保健室cafeおはな」オーナー深堀 晶美さん

学生インタビュー
卒業生
大阪校
JBAバリスタライセンスコース
コーヒーロースト&ブリューコース

開業実績380店舗以上のレコールバンタンキャリアカレッジ。

外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、

兵庫県・加古川市にて「まちの保健室cafeおはな」を経営するオーナーバリスタ・深堀晶美さんにインタビューを行いました。

 

 

<在校中について>

――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2023年4月に「コーヒーロースト&ブリューコース」に入学し、9月末に卒業しました。

 

――― クラスは何名くらいでしたか。

12名でスタートしました。レコールバンタンキャリアカレッジは、20代から50代まで、幅広い年齢層の方が学んでいました。働きながら通っている人も多いです。

 

――― 通学時の1日のスケジュールも教えてください。

在学時は、週5日フルタイムで看護師として働き、週1回、日曜日にスクールに通っていました。授業は毎週、930分から1330分までありました。朝の8時に心斎橋に行きカフェ巡りをしてモーニングを食べました。授業が始まる前にコーヒーの準備運動をしてから、授業を受けるのが日課でした。校舎の玄関が9時に開くので、9時前には玄関で待機し、9時丁度に校舎に入っていました。「コーヒーロースト&ブリューコース」の上野真人講師も9時過ぎに来られていました。「質問や分からないことはなんでも聞いてください」とおっしゃってくださったので、授業前に「ダンパーの中はどうなっているんですか」と質問すると、ダンパーを分解して中身を見せてくださったこともあります。13時半に授業が終わってからも、再び事前に調べておいたカフェを巡りました。難波、梅田、中津、中崎などの気になるカフェを訪れました。レコールバンタンキャリアカレッジの・バリスタ鈴木講師にも、オススメのカフェを聞き、卒業生が開業したカフェも巡りました。18時頃に自宅に帰り、その日の授業のまとめをしました。授業では、動画も撮影可だったので、授業内容を文章に起こしたりしていました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

息子が、レコールバンタン高等部大阪校の調理&バリスタコースに通っていました。2022年3月に卒業し、スクールの雰囲気などもわかっていました。真剣に、そしてとても楽しそうに学んでいたので、「次は私の番だな」と思い、57歳のときに入学しました。

入学のキッカケは、二つあります。一つは、看護師の仕事と子育てがひと段落したら、赤ちゃんから高齢者までが気軽に立ち寄れて集い、ゆっくりしていただける場所「まちの保健室カフェ」を作りたいと思っていました。ドリンクやフードが何もない所よりも、コーヒーがあったほうが集いやすいだろうなと思っていました。

二つ目は、21年前の出来事ですが、私が出産したばかりのとき、睡眠不足で疲れきっている時、たまたまカフェに立ち寄りました。カフェのママが「こんな小さい時期は、温かいうちにコーヒーが飲まれへんやろ、抱っこしてあげるから飲み」と言って赤ちゃんを抱っこしてあやしてくれました。それで、泣きながらコーヒーを飲みました。その時に「子育てがひと段落したらこんな温かい場所をつくりたい」と思いました。そんな場所にはコーヒーが必要だと思いました。

もともと、入学前からカフェ巡りが好きで、同じ店で同じコーヒーを飲んでも日によって味が変わるのはなんでやろ?もっとコーヒーのことが知りたいと思っていました。将来カフェを開業するときに、コーヒーを飲んでいただくなら美味しいコーヒーを飲んでいただきたいと思っていました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶと決断する前に、悩まれた点があれば教えてください。

息子が高等部に通っており、校風やカリキュラムについては知っていたのでその点の迷いはありませんでした。

2023年2月に、実際に校舎を訪れて「私が感じている、コーヒーの謎が解けるのかどうか?」を聞きました。スタッフさんに、「ロースト&ブリューコースで学んでください。きっとコーヒーのことが知れると思いますよ」とアドバイスをいただき、コーヒーの謎を解くために入学を決めました。

 

――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

開業に必要な知識と技術です。

 

――― 印象的だった講師、授業はありますか

上野講師です。熱血で、自分の持っているコーヒーの知識をすべて伝えるんだという意気込みが感じられました。ご自身も日々学ばれていて「授業の始まる前でも後でもなんでも質問してください」とおっしゃってくださいました。

 

――― 授業の雰囲気はいかがでしたか?

カフェを開業予定の人、また、既にカフェを開業されていて自分で焙煎したコーヒーを出したいという人もいました。大阪校には、広島や徳島、香川、愛知などから通っている人がいて、明確な目標を持ってこられている人、熱意のある人ばかりでした。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」にいかされていると感じることは?

授業初回に、上野講師から「どんな環境でも、どんな焙煎機を使っても、正しく焼けることをゴールに学んでいきましょう」と言われました。

卒業後は、開業するにあたり、自分に合った焙煎機を探していましたが、なかなか見つかりませんでした。焙煎機を選ぶ過程でも、「焙煎の基本技術」が応用できているとわかりました。最終的に購入するとなると、とても高価なので店に合った物を吟味している最中です。現在はカフェの近くのシェアロースター・Kotobuki「寿」珈琲焙煎所さんで借りて焙煎しています。

もうひとつ印象的だったのは、卒業式の日に上野講師からいただいた言葉。授業最終日でもありますし、それぞれが自分の目標に向かって進むタイミングということもあり、経営者としての覚悟を持つように言われました。「店を背負う覚悟はありますか?人を雇うのであれば、従業員の生活も背負うことになります。覚悟を持って開業にのぞんでください」という激励の言葉をいただきました。すごく頭に焼き付いていますし、経営者として店と従業員の生活を背負う覚悟を持つことができました。

 

――― 在学中または卒業後に、アルバイトなど飲食業界の経験をされましたか?

看護師として働いていたのでカフェでアルバイトをしたことがありませんでした。

そこで、経験を積みたいと思い、焙煎、ハンドドリップ、エスプレッソマシーンを使えるカフェを探して、20244月から6月までアルバイトをさせていただきました。

アルバイトを経験して、とても良かったです。4人から6人のお客さまが一度に注文しに来られる場合もあります。そんなときも、落ち着いてコーヒーを淹れる実践練習になりました。どれだけ忙しくても心を込めて1杯1杯ドリップする練習をさせていただきました。レジ打ちも初めてでしたので、パニックになりそうでした(笑)

 

――― 現在、看護師さんとしてのキャリアは?

59歳となったいまも続けています。現在は週1回看護師として働いています。開業については職場も理解を示してくださり応援してくれています。

 

――― 入学前に描いていた開業とイメージに変化はありましたか?

開業前は、体力が要るというイメージがあまりなかったんです。誰からも教えてもらっていませんでしたが、開業する前から、体力が必要だと思い知らされました。開業前に、物品準備、仕入れ業者さんと商談があり、電車に乗ってあちこちへ移動します。毎日走り周り、掃除もするので、とにかく体力が必要です。

個人的には、準備がいちばん大変でした。調理器具、カトラリーなどの物品を揃えて、仕入れも整っていないといけません。

 

―――  在学中「開業サポート」は活用されましたか?

私は、兵庫県の「よろず支援拠点」を利用しました。国が運営している起業サポート制度で、

開業の基本的なことを無料で教えてくださいます。飲食店のコンセプトを明確にする、事業計画書を作る、ネット集客のアドバイスなど、開業に必要な知識を教えてくださり、個別相談にも乗ってくださいます。一方で、カフェ開業に特化した必要な物品や、届け出などについては自分で調べなくてはいけない部分もあり、時間もかかりました。

いま振り返ってみると、「開業サポート」も受けておいたらよかったなと思います。レコールバンタンキャリアカレッジの場合は、カフェ開業に特化したアドバイスが受けられると思います。

 

<卒業後について>

―――― 開業された経緯を教えてください。

病院から飛び出した相談窓口のような場所です。カフェという特性を持っているので「まちの保健室cafeおはな」と名付けました。

私が看護師としてのキャリアで得た知識、培った人脈を活かして、必要としている人に届けられたら。「まちの保健室cafeおはな」は、看護師としての事業だと思っていますし、自分の集大成でもあります。

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

<開業日>

2024年83日です。

 

<場所>

6階建て有料型高齢者住宅の1階です。2階から上は有料型高齢者住宅になっています。20231月、夫の父が入所するために伺ったところ、前に営業されていた店舗がちょうどクローズするタイミングでした。「素敵なカフェですね。私も将来、赤ちゃんから高齢者が来られるカフェを開業したいと思っているんです」と運営会社の社長さんに伝えました。開業を決めてからは、どこに行っても積極的にカフェのコンセプトを言うようにしていました。すると、社長さんが共感してくださって「良かったら1階を使いませんか」とおっしゃってくださったんです。でも、最初は社交辞令だと思っていました。レコールバンタンキャリアカレッジ卒業直後、202310月に、もういちど声をかけてくださいました。そして、20244月に社長さんから「深掘さんのしたいことを全部聞かせてもらえますか」と、お話をする機会をいただきました。想いを伝えると、「地域のために開業しようと思っている深掘さんに使っていただきたい」とおっしゃってくださり、お借りすることになりました。全面的に社長さんはじめ、会社の方々が協力してくださっています。

<店名・コンセプト>

私にとって、学校の中にある保健室がホッとできるイメージがあります。同じように、町の人たちが少しでもホッとできる場所になればいいなと思って名付けました。

「まちの保健室cafeおはな」のおはなは、ハワイ語のOHANAに由来します。OHANAは家族や友だちという意味で、自宅に帰ってきたみたいにゆっくりしてもらえる場所になればいいなと思っています。ローマ字表記から、誰もがわかりやすいように平仮名にしました。

 

<デザイン>

友人・猫グッズの作家さんに依頼しました。ロゴはイメージ通りです。猫ちゃんの絵になったのは、この店舗はもともと「マーブルカフェ」という猫カフェだったから。

今は土日に猫ルームを運営されており、平日も、ガラス越しに保護猫が見られます。カフェには6匹ほど、2階にも保護猫ちゃんのお部屋があり、計20匹ほどいます。cafeおはなの土曜の営業日は、猫ルーム内に入ることができ、猫ちゃんに癒されることができます。

 

<場所>

店舗は、自宅から約7分の場所です。しかも、もともと私が働いていた高齢者の相談窓口である「地域包括支援センター」の管轄区域内に位置しています。私がしたかったことのひとつに、子育て支援と介護予防があります。子育て支援については、加古川市から依頼を受けて、子育てプラザで、月1回乳幼児の発達相談に6年間ボランティアで従事しました。子育て支援の具体的な方法については、これから保護者がどんなことに困っているのかヒアリングしていきます。介護予防についても地域包括支援センターにも協力をしていただき、介護予防教室を開くなど、発信の場としても活用していく予定です。

私自身も、出産するまでは病院でバリバリ働いていましたが、子どもを産んでからは思い通りにはならず、すごく大変でした。「大変」の一言では済ませられないくらいしんどかったので、そういう方々の力になりたいです。また、在宅の訪問看護に行っていたこともあります。介護のために仕事を辞め、社会との関わりが少なく限定される状況を目の当たりにしてきました。介護をする人も孤独を感じますし、夜中もつきっきりのこともあり、子育てとも似ています。体力的にもしんどいこともあると思いますが、頑張っている方々に孤独になってほしくありません。

 

<客層>

赤ちゃん連れから、ご高齢の方まで幅広いです。

 

―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。

「自家焙煎 おはなブレンドコーヒー」(税込500円)、ドイツの紅茶ロンネフェルト オーガニックでノンカフェインの「ルイボスクリームオレンジ・ポット」(税込650円)「米粉ワッフル」(ハーフ税込300円)~「白玉黒蜜きなこ」(税込780円)です。ブレンドコーヒーには、3種類の豆を使っています。

 

―――― 豆のこだわりは?

シェアロースターを探していて、たどりついたのが、Kotobuki「寿」珈琲焙煎所。エチオピアのコーヒー農家さんを支援される目的で、ダイレクトトレードをされています。農家さんからダイレクトに「エチオピア・モカ・へレフ」というオーガニックな豆を仕入れています。「おはなブレンドコーヒー」の豆の配合も、妥協は一切したくなかったので、10種類ほど豆を焼いていただき、様々な組み合わせを検討してから決めました。

 

―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

コーヒーは、自分で豆を焙煎しているのもあり、原価13%前後に抑えられています。一方で、米粉ワッフルは材料費も上がっており、原価35~40%と高くなってしまいます。ただ、米粉ワッフルは、ドリンクとセットで頼まれる方が多いのでバランスがとれているかなと思っています。

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

もともと一人で営業する予定でした。私と話がしたいと来られる人がいらっしゃっても、最初は慣れないカフェ業務に忙しく、ゆっくりと話をすることができませんでした。「忙しそうだから帰ります」とお客さまが帰ってしまうことも。米粉ワッフルの提供を辞めようと思いましたが、一度食べた方から「辞めないでほしい」と言われました。そこで、スイーツなどをつくるのは、人に任せようと決断し、いまは人に手伝いに来てもらっています。そうなると、人件費がかかります。

他にも、スイーツの盛り付けを美味しく見せるように勉強もしました。

 

―――― スイーツ作りは、どのように学ばれましたか?

調理&バリスタコース卒業の息子と、パティシエコースを卒業した彼女が、プリンの作り方や盛り付け方を教えてくれました。コーヒーに特化しようと思っていたので、スイーツはレシピも盛り付けも素人でしたが、二人が開業前に来てくれて、1からレシピを教えてくれました。また、人気のお店の写真を見たり実際に訪れて、盛り付けなども勉強しました。

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのようなときに感じられますか。

お客さまが、「こんなものが食べたい」とリクエストしてくださり、提供できたとき。高齢者住宅から来店される方もいらっしゃいます。自分で調理することができない要介護状態の人もいらっしゃるので、「プリンが食べたい」、とか「ゆで卵が食べたい」という声をメニューに反映し、食べやすいように一口大にカットして提供することも。「嬉しい」「美味しい」「喫茶店に来たのはすごく久しぶりだ」と商品を食べて喜んでくださいます。また、認知症の家族の介護を、10年ほどされている方もいらっしゃいます。「認知症の家族がいると、口からお茶をこぼしたり、ウロウロしてしまったりすることがあり、これまでカフェに行けませんでした。こういう場所ができて嬉しい」と言ってくださいます。そういった人たちがくつろげる場所を作れていると思うと、開業して良かったなと思います。

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

体力です。仕入れに行くのも、営業も体力が要ります。基本は立ち仕事です。

心がけているのは、休みの日もできるだけ寝ころばないこと。カフェ開業に向けて、20244月から畑を借りました。無農薬野菜を自分で育てたくて、加古川市内にある初心者向け「みとろファームカレッジ」で畑を借りています。丘の上にあるので行くだけで体力がつきます!育てている野菜は、ミニトマト、きゅうり、なすび、オクラ、ズッキーニ、レタス、ほうれん草、ブロッコリー、大根、かぶ。6月に大豆の種を蒔いて育てていて、20252月には味噌を作る予定です。自分で育てた無農薬野菜を、いずれ「まちの保健室cafeおはな」で提供する予定。6月からは「ぬか漬け教室」にも通っています。おにぎりなどと一緒に美味しいぬか漬けも出したいと思っています。

 

―――― 今後の目標はありますか。

まちの保健室cafeが、全国に広がっていったらいいなと思っています。「まちの保健室cafe」に興味がある人や、看護師さんなどが北海道、神戸、鹿児島などからも見学に来てくださいました。その土地、その土地のニーズをくみ取りながら、全国に広げていきたいなと思っています。

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。

はい。オススメします!私はコーヒーロースト&ブリューコースでしたが、その分野において現役で活躍されているプロフェッショナルが講師を務めています。

知識だけでなく、実践、実践で基本技術を学ぶことができ、体得することができます。

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

夢が叶う最短の道だと思います。

 

 

SHOP INFO

公式Instagram: @machi_cafe_ohana

兵庫県加古川市野口町良野1762

営業日:木・金・土

定休日:月・火・水・日

営業時間:13:0017:00

※情報は、202410月時点での情報です。現在は変更されている場合がありますので、公式Instagramでご確認ください。

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