24.05.10 24.05.27 更新

<卒業生インタビュー>「issacom(いっさこむ)」オーナー 村上 栄子さん

学生インタビュー
卒業生
東京校
飲食店開業コース
調理&メニュープランニングコース

開業実績380店舗以上のレコールバンタンキャリアカレッジ。

外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、台東区・新御徒町にて、和カフェ「issacom」オーナーを務める村上 栄子さんにインタビューを行いました。

 

<在校中について>

――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

50歳のときに、20214月から1年制の「カフェコース」(現在は飲食店開業コース)に入学しました。入学当初は、1年を予定していましたが、20224月から「調理応用」も半年間受講しました。

 

――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

「カフェコース」前期は、25名前後で日曜日に授業がありました。後期は、5名ほどでした。「カフェコース」前期は、午前に「開業&副業プランニング」、午後は「カフェドリンク」の授業がありました。後期は、午前に「調理&メニュープランニング」、午後は「事業計画書ブラッシュアップ」と「ドリンク応用」の授業が隔週であり、短期間で集中して学ぶことができました。

最初は「アルコールも学ぶんだ!」と予想外だったのですが、とても楽しかったです。今、「issacom」でモクテルなどのメニューを提供しているのも授業を受けたおかげです。

 

――― 20224月から、「調理応用」の受講を決められた理由は?

恵比寿のボヌール校舎(現在は恵比寿2号館)で、「調理応用」メンバーの提供実習を見たんです。授業の最後に、学びの成果を発表するために、オリジナルメニューがズラリと並んでいました。「調理&メニュープランニング」の授業でもパスタを使ったオリジナルプレートを作っていましたが、「調理応用」は、3000円から4000円くらいの売価設定で品数も多く、クオリティも素晴らしかったです。そこで、「調理応用」も受講したいと思いました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジの授業の雰囲気は、いかがでしたか?

30代から60代まで色々な年代の方がいて、皆さんとても積極的でした。社会人になると、新しい知り合いはなかなかできないと思っていましたが、仲間にも恵まれましたし刺激を受けました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

和菓子職人の兄が勤める会社に、レコールバンタンの卒業生がいらっしゃって知りました。「カフェ専門校」というのも、他にはあまりないと思います。

兄がレコールバンタンキャリアカレッジの体験レッスンに申し込み、 20213月中旬に兄妹で体験授業を受けました。ちょうど、20214月スタートのカフェコースに定員1名の空きがあると知りました。兄は製菓業界で既にキャリアを積んでいたので、私だけ受講することになりました。

実は、入学する前から開業することは決まっていました。築70年以上の実家を建て直すことになっていたんです。新御徒町の実家は、かつてお土産用お菓子の製造販売をしていて、東京駅のキオスクなどにも卸していました。建て直すにあたり「みんなで集まれる、実家のような場所を作りたい」と考えていました。私は専業主婦でしたので、何も知らないままお店を始めることは怖かったこともあり、開業に関する知識と技術を習得したいと思いました。

 

――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

とにかく素人でしたので、幅広く飲食業について学びたいと思っていました。

 

――― 印象的だった講師、授業は。

どの講師も個性豊かで印象的でした!特に実習が楽しかったです。「カフェドリンク」は江沢講師、「調理&メニュープランニング」は手塚講師に学びました。体験授業も、手塚講師が担当してくださったんですよ。「ドリンク応用」は引屋敷講師、「調理応用」は原島講師と山田講師に習いました。物件の図面ができた時点で、手塚講師や引屋敷講師にも見ていただきました。普段の授業が終わった後も、個別に質問することはできますが、講師の方々もお忙しいですし長時間引き留めるのは申し訳ないです。クラスメイトの皆さんも積極的に質問していたので、開業の疑問を個別に相談できる「開業サポート」制度があるのはとてもありがたいと思いました。

 

――― 「開業サポート」では、どちらの講師に相談に乗っていただきましたか。

カフェプロデューサー中島誠講師、デザイナー佐々木玲(アキラ)講師に質問させていただきました。具体的には、物件の使い方のご相談です。図面を見ながら、「スペースをすべて使うのか、半分だけ使うのか?」といったことをご相談させていただきました。3回目までは無料で相談に乗ってくださるのが魅力的だと感じます。また、兄妹で開業予定でしたので、「開業サポート」の相談には兄も同席させていただくなど、柔軟に対応してくださいました。

 

――― 他に印象的だった授業はありますか。

「事業計画書ブラッシュアップ」のフィールドリサーチです。卒業生のお店に伺い、厨房を見せていただき、卒業生のオーナーさんからお話をうかがいました。宮崎講師が案内してくださったのは、国立「カフェおきもと」さんに、祐天寺「ギリギリカフェ」さん。自分でカフェ巡りをしても厨房の中までは見られないので、貴重な経験だったと思います。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

実習の授業が、とても活かされていると思います。「調理&メニュープランニング」「調理応用」「ドリンク応用」の授業の最後は、自分でオリジナルレシピを作り、原価計算をして、発注書を書いて食材を手配し、調理します。講師にプレゼンテーションまでをトータルで行います。この流れを経験することが、とても実践的でした。

レコールバンタンキャリアカレッジが掲げる「一人一製作」も良かったです。一般的な料理学校ですと、みんなで一つのメニューを仕上げるということも多いと思いますが、仕込みから盛り付けまで自分で作ります。なので、レシピを振り返ったときにも、工程を思い出せます。

「ドリンク応用」の授業では、同じドリンクを3杯同時に作るプレゼンテーションでした。私は、フレッシュなフルーツを使ったドリンクを考案したのですが、緊張のあまり3杯同じように作れなかったことを覚えています。講師と、クラスメイト全員が見ている中で、話しながら作るのはとても緊張感がありました。

いざ開業してみると、「同じものを3つください」と一度に複数オーダーされることも多いです。また、issacomはオープンカウンターなので、ドリンクや和スイーツを作る工程をお客さまに見られていることも多いです。ですので、講師の方々のようにスマートな所作を目指し、ドリンクや和スイーツはいつも同じクオリティで提供できるように心掛けています。

また、ハプニングもありました。「調理応用」の最終授業のとき、「和スイーツのアフタヌーンティー」をテーマにプレゼンテーションを行いました。和スイーツを作るために、皮むきの甘栗を発注したつもりだったのですが、届いたのはなんと「生栗」!とても立派な栗が届きました(笑)。1週目に仕込みを行い、翌2週目の授業で仕上げるというスケジュールでしたので、早めに終わったクラスメイトも仕込みを手伝ってくれて事なきを得ました。

 

――― クラスメイトで開業された方も多いですか?

はい!「林檎と紅茶と」さんがマルシェに出たときは販売のお手伝いに行きました。埼玉県・和光市「Café Gifts」さんや銀座「Cafe & Deli Ginza Soleil+」さんのプレオープンには、クラスメイトと一緒に伺いましたし、オープン後にお手伝いにも行きました。

開業当初はやはり大変ですし、ヘルプに入ることは私自身の勉強にもなります。その他にも湯河原「Olaloa YOSHIHAMA」さん、成田「YAMANOAKARI」さん、飯能「café crock」さん、

成城「パンキチ」さん、東浦和「ちいさなお菓子教室aiueo」さん、横浜「果non」さんなど、たくさんいます。自分がお店を始めるとなかなか伺えませんが、そうした仲間がいることはモチベーションになります。

 

<卒業後について>

――― 開業された経緯を教えてください。

実家が築70年以上の古い建物だったので、建て直して飲食店を開業することにしました。コンセプトとして、「みんなで集まれる、実家のような場所を作りたい」と思いました。

 

――― 入学前に描いていた開業とイメージに変化ございましたか?

「和カフェ」という大枠は決めていましたが、授業で事業計画書を作り、後期の授業では宮崎講師に発表も行いました。前期の授業では、事業計画書の書き方までは教えてくださいますが、発表までは行いません。なので、後期で講師やクラスメイトの前で言語化するところまで仕上げたことで、開業のコンセプトがより明確になりました。授業で明確化していったので、イメージの変化はあまりないですね。

 

――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

<お日にち>

2023年61日です。毎年5月末に東京都台東区南部の「モノマチ」というイベントが行われるので、そのタイミングでプレオープンしました。また、62週目には「鳥越祭(とりごえまつり)」があります。普段よりも人が多くいらっしゃるタイミングなので鳥越祭までにはオープンしたいと考えていました。

 

<場所>

私たち兄妹が生まれ育ち、お土産用お菓子を製造していた場所です。この辺りは御徒町と蔵前を合わせて「かちくら」と呼ばれています。近くには、デザイナーやクリエイターを支援する施設「台東デザイナーズビレッジ」もあり、オシャレなカフェなども増えてきています。

 

<店名・コンセプト>

issacom(いっさこむ)です。両親の名前である「イサム」「イツコ」を掛け合わせて決まりました。兄は、祖母の名前「Rinn」も考えていましたが、近隣によく似た名前のお店さんがあり別の候補を考えることになりました。両親のことを覚えていてくださる方にも伝えやすい店名です。

 

<施工会社>

和カフェを経営している知人に、施工された会社をうかがいました。調べてみると、その施工会社さんがご近所だったのでご縁を感じ、内装工事を依頼しました。知人の和カフェでは、古い建具を上手に使われていたので、実家の障子なども内装に使えたらと思っていました。結果的には建具は活用しなかったのですが、コーヒーカップやガラス皿など実家で使っていたものを活用しています。

 

<ロゴデザイン>

20歳の次女に、デザインしてもらいました。彼女が高校生のとき、文化祭のプログラムを作るのに、Adobe Illustratorを習得しました。娘はデザイン工学部に進学しているので、実績としてポートフォリオ(作品集)にも載せられますし、色々なアレンジも頼めるので、私もとても助かっています。私たち兄妹の名刺は、実家の障子をイメージして作ったデザインで、かつてお土産用お菓子を製造していたときの「ロゴ」もデータ化して入れてくれました。

また、23歳の長女にはInstagramの運用をお願いしています。

 

<客層>

地元に住んでいらっしゃる方々にお越しいただいています。私たち兄妹は、今はここには住んでいないので、開業前は「年配の方が多いのかな?」と思っていました。実際には、近くにお住まいのファミリー、カップル、お子さん連れなども多いです。なかには、妊婦さんのときに来て下さって赤ちゃんが生まれて、連れてきてくださった方もいます。テラス席は、ワンちゃんOKなので、ペット連れのお客さまもいます。

 

――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。

母方の祖父母が静岡県出身なので、「本山茶」を取り扱っています。本山茶は、静岡茶発祥の足久保で生産され、800年の歴史を持ちます。徳川将軍家にも献上されたお茶です。私も、日本茶インストラクターの資格を取り、本格的なお茶体験を楽しんでいただけるようにしています。

ドリンクでは、「足久保 新鮮深蒸し茶」(税込500円)がいちばん人気です。三煎目まで楽しんでいただけます。一煎目は、うま味や甘味が感じられるように低い温度で、二煎目、三煎目は渋味も感じられるように少し高い温度で淹れています。うま味や渋味のバランスが良く、緑の色がとてもきれいなお茶です。

また、スイーツは「搾りたてモンブラン」(ドリンクの料金+税込1200円)が人気です。熊本県産和栗を使用したモンブランで、コーヒーわらび餅がつきます。また、通年でかき氷を提供しているので、「ごおらー」(かき氷の熱狂的ファン)さんにも喜ばれています。

 

――― 食材の仕入れは?

本山茶も、もともとは兄の会社で取り扱いがあり、仕入れるようになりました。和菓子職人である兄のツテがあるので、助かっています。

 

――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

お菓子の値付けに関しては、兄が担当しています。地域のお店の価格帯も参考にしています。高すぎてもリピートしにくいですし、安すぎても経営として成り立たないので、そのバランスを取ってつけることを意識しています。

 

――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

専業主婦でしたので立ち仕事に慣れず、朝起きて足がつっていることもありました。また、開業当初は、「オペレーション」に慣れるのが大変でした。最初から無理して対応できないという状況を避けたかったので、ドリンクのテイクアウトはアイスのみ、お菓子も「モチドラ」「ナマドラ」「モナカ」、かき氷も2種類ほどにメニューをしぼって営業していました。

もう少しで開業1周年を迎えるので、1年間を通しての流れも見えてきました。お菓子の種類もだいぶ増えましたし、寒い時期にはホットドリンクのレシピも考え、「ほうじ茶ラテ」や「和紅茶」も始めました。また、主人のいとこが熊本でお米を作っているので、年末にはそのもち米で作った「のしもち」を販売したり、おもち入りの「おしるこ」を提供したり、季節に合わせたメニューも登場しています。

 

――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。

色々なお客さまとダイレクトにお話ができるのが楽しいです。今日も、私の小学校時代の同級生が来てくれました。開業して、偶然来店してくださったんですよ。

兄の同級生も来てくれますし、そういったご縁は地元ならではだと思います。

 

――― 日々のお仕事の大変さはどのようなところでしょうか。

天候に左右されます。暖かい日はいいのですが、冬場で寒いとお客さまが少なかったりもします。所有物件でワンオペレーションの場合は、売り上げが少なくてもなんとかなると思いますが、場所を借りたり、人を雇ったりする場合は、毎月のテナント料や人件費を考えると甘いビジネスではないなと感じます。

一方で、週末などお客さまがたくさん来てくださると、ワンオペレーションでは対応できないこともあります。人手が足りないときは、義理の姉や、娘二人に手伝ってもらうこともあります。

 

――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

お客さま相手なのでコミュニケーション能力はあったほうがいいと思います。個人店だと小さなこともすべて自分たちでやらないといけないので、マルチタスクです。調理、接客、物販、事務作業、裏方作業など何でもやります。兄は、週末は朝から店舗に入ってくれますが、平日は、私一人でワンオペレーションのときもありますので、対応力は必要です。

 

――― 今後の目標はありますか。

大繁盛店ではなくてもいいので、長く続けていきたいです。授業では「開業して10年続くお店は、全体の5%」と聞きました。ですので、長く愛されるお店にしてきたいです。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。

入学する前は「私が、最年長なのではないかしら?」と思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。幅広い年齢の方が学んでいます。学びたいと思ったらいつでも学びどき、チャレンジするタイミングです。講師も個性豊かで経験豊富ですし、質問すれば丁寧に答えてくださいます。講師は皆さん実績のあるプロ講師なので、オススメです。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

学びたいと思ったら、年齢は関係ないと思います。子どもの頃の授業は、どうしても受け身になりがちですよね。でも、大人になって、興味があることを学ぶのは楽しいです。そして身に付きます。同じ夢に向かう仲間にも出会えますし、講師との繋がりができるのも貴重だと思います。普通に過ごしていたら、出会えない方々に出会えます。そういった点でも、レコールバンタンキャリアカレッジ、是非オススメしたいです。

 

 

SHOP INFO

@issacom_tokyo

ご住所:東京都台東区小島2-17-11

新御徒町駅A4出口から徒歩約1

営業日:不定休(休業日はInstagramをご参照ください)

営業時間:1018

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