<卒業生インタビュー>やいたのたると Y’s brekkie オーナー古河原やよいさん
ウィズコロナの時代。
外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?
最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、栃木県・矢板市にて、「やいたのたると Y's brekkie」オーナー古河原やよいさんにインタビューを行いました。
<在校中について>
―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。
2020年4月から、カフェコース(現在の飲食店開業コース)に半年間通いました。
当時、勤めているところが病院だったのでもう半年間、受講を延長するのが難しい状況でしたが、続けているクラスメイトもいて羨ましかったです。
―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。
日曜日に授業がありました。クラスは20名くらいです。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。
お店を開くためには、どんな準備をしなくてはいけないのかを調べていたときに、レコールバンタンキャリアカレッジの存在を知りました。
―――― 入学時はおいくつでしたか?
46歳のときです。
―――― 数ある専門校の中で、レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由は?
仕事をしていたので、日曜日に通えることに魅力を感じました。興味を持ち、見学に行きました。
―――― 開業される前のお仕事について教えてください。
臨床検査技師として、病院に勤めていました。仕事を続けていたので、週末に授業があるのがいいと思いました。
―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?
カフェか喫茶店を開きたいと思っていのですが、異業種で働いていたため、知らないことだらけでした。最初は、ドリンクだけ提供できればいいと思っていました。
また、営業していくうえで必要なこと、立地、内装、資金などについても学びたいと思いました。
―――― 印象的だった講師、授業はありますか?
ドリンクの江沢講師です。
さまざまなお仕事の経験を積んでおられて、色々な立場から物事を教えてくださいました。特に印象的なのは、ドリンクそのものも知識もそうですが、ドリンクを通してどう人と接するか。
ドリンク一つを作るにしても、お客さまの背景を想像したり、知ったりすることで想いを寄せてあげて、という教えが印象的でした。
最終的に、提供できるものは同じかもしれませんが、「ただゆっくりできればいいのか」「その人はどう過ごしたいと思っているのか」を考えて、というメッセージが印象的でした。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?
カフェコースは、午前中に経営の授業がありました。ちょうど、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されて登校できず、ZOOMで開講しました。
「こうした不測の事態になったときに、どのようなことが必要か」というお話から始まりました。
それまでは、お店を開いたら、お客さまにゆっくり過ごしてもらいたいと思っていましたが、コロナ禍になり店内で過ごすことが制限される状況になりました。
こうしたあらゆる可能性を考える必要があり、テイクアウトは外せないと思いました。
また、「事業計画書」を書く授業では、自分の強みを活かすことが大切で、自分自身にどのような強みがあるのかを考えさせられました。
最初に考えていた事業は、「街の小さな喫茶店」でしたが、授業を受けるうちに「これは違うな」と分かり、発言もできなかったことを覚えています。
卒業直前に書いたコンセプトと、入学前に持っていたイメージとでは全く違っています。どうしたら上手くいくのかを徹底的に考えられたことが、今の事業にとても役立っているなと感じます。
―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?
まったくしていないです。
――― 在学中、「開業サポート」は活用されましたか?
していません。存在は知っていたんですが、佐々木講師に設計・デザインをお願いしたかったので、サポートを受けず、直接相談しました。
<卒業後について>
―――― 開業された経緯を教えてください。
2021年7月に、現在の物件が決まりました。7月に佐々木講師へご相談して、10月に工事が始まり、12月に引き渡しが完了しました。1カ月後、2022年1月に開店しました。
<タルト>
佐々木講師のご提案です。地元の卵と、苺やリンゴなどの地産の果物を売りにしたいと考えたときに、「タルトがいいのではないか」とアドバイスをいただきました。
佐々木講師が、卒業生のパティシエを紹介してくださり、レシピや調理方法も教えてくださったんです。2日間教えに来てくださり、オープンまでの1カ月間は猛練習しました。
<コーヒー>
コーヒーもマシンの選定や豆選びも、佐々木講師がトータルでディレクションしてくださいました。
マシンの使い方やコーヒーの淹れ方は、レコールバンタン佐藤宇宙講師にお店に来ていただき、教えていただきました。
実際に使用するマシンを使い、提供しやすいオペレーションなども含めて考えていただきました。
2021年10月末日まで、前職の仕事を続けていましたが、プロフェッショナルの力を借りることで開店準備がスムーズに進められたと感じます。
―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。
<コンセプト>
娘が大学に入ったとき、大学の授業で「サードプレイス」についてまとめたことがありました。
レポートを読んだときに、自分も就職して一人暮らしを始めたときに、サードプレイスだと思える場所があったことを思い出しました。
でも、地元である矢板には、誰でも気軽に来られて寛げる場所がないと感じていました。
そこで、誰でも気軽に来てゆっくり過ごせる場所を作りたいと思ったのが、2019年くらいです。それが、いちばんのキッカケです。
<店名>
何通りも候補をいただきました。「矢板」は入れたほうがいい。「やいたのたると」は、何をやっているかが分かります。
私は、モーニングがやりたかったんです。周りの人からは「朝に営業しても、誰も来ない」とさんざん言われたんです。ただ、地元で開いているお店がなく、どうしてもやりたかったんです。Brekkieは、オーストラリアのスラングで「朝食」という意味です。
朝食を提供したかったのは、子どもが3人いるんですが、不登校だった子どもがいて、彼も私も朝は憂鬱になるときがありました。
そんなときに、「あそこのお店が開いているから行こうか」と、出かけるキッカケになれたらいいなと思いました。不登校でなくても、朝の外出が億劫だな、と思っている人に対して、一歩外に出るキッカケになってほしいです。
<デザイン>
自分一人では、内装やデザインが分かりませんでしたが、佐々木講師に依頼し、「こんなに素敵な空間ができるんだ」と有難い思いでいっぱいです。
来てくださったお客さまも、「居心地がいい」と言ってくださるので嬉しいです。
<場所>
物件は、駅の近くがいいなと思っていました。息子の不登校と繋がるんですけれど、駅まで行って、やっぱり今日は学校に行きたくないと思ったとき近くにお店があるとそこに行けるし、目的になれます。レコールバンタンキャリアカレッジで、「地元の繋がりはあったほうがいい」と教わり、レコールバンタンが終わった後商工会主催の経営塾に参加しました。
その後、商工会近くにあったスポーツバーが、コロナ禍で空くからどう?と打診を受けて、立地的にも理想的だったので決めました。
<客層>
20代から70代まで、幅広いです。レコールバンタンではターゲットを絞った方がいいと言われましたが、特に設定していません。地元のおじいちゃん、おばあちゃんや、ベビーカーで散歩しているお母さんや若い人も多いです。
<デザイン>
ロゴも、アキラ講師の知り合いのデザイナーさんがデザインしてくださいました。
―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。
矢板市の養鶏農場「ワタナベファーム」から仕入れた卵を使った「エッグタルト」(税込200円)と、「季節のタルト」(大税込450円~、小税込350円~)です。
フルーツが特産の矢板で収穫されたフルーツを使っています。卵も、地元のフレッシュなものを使いたかったので、配達してもらっています。
―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。
都会の値段と地方の値段とでは、少し違うと思います。この値段でお客さまがどう思うか、客観的に考えています。売価は、原価の3倍前後でつけています。
―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。
飲食業の経験がなかったので、興味を持ってたくさん来て下さっても、最初は不慣れで満足に対応ができず、そこは大変でしたね。
今だったら、そこまで手際は悪くなかったのでしょうけれども、スタート当時は提供するまでのお時間がかかってしまうこともありました。
―――― 新型コロナウィルスの流行について、ご自身のビジネスへの影響は感じられますか?
観光で訪れる人が少ないのかな?とは感じていますが、それでも皆さんの雰囲気もゆるくなってきていますし、テイクアウトも対応していますので影響はそこまで感じていないです。
―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。
この空間を楽しんでもらっているとき。
自分のやりたいことが相手にとっても喜びということ、それが手に取るように分かるときです。
あとは、息子がコーヒーを淹れているのですが、お客さまの反応も良く、おかわりしてくれることも。こちらが美味しいと思っているものを気に入ってくださるのは嬉しいです。
―――― 日々の営業での、大変さはどのようなところでしょうか。
フレッシュなタルトを作っているので、天気や曜日に左右されるところ。仕込む量は、考えないといけないです。週末は数が出ますが、お天気が悪いとお客さまの足も遠のきますし、その加減が難しいです。何年か経験をつむうちに、感覚で分かっていくのかもしれません。
―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?
現時点でも、スキルがあるとは思っていないのですが……。強いていえば、自分の想いを相手に伝えるスキルでしょうか。
自分の求めているものを提供して、それを分かってくださり、気に入ってくださって常連になって下さるのではないかと思います。
フードやドリンクだけでなく、私は「居心地の良い空間」を提供したいですし、それが求めている人に伝わるといいなと思います。
―――― 今後の目標は、ありますか。
居心地が良い第3の場所、「サードプレイス」であり続けたいです。
一時的に忘れてしまっても、ふとした時や疲れた時に、「やいたのたると Y's brekkieに行こうかな」と思い出してもらえる場所になれるといいです。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。はいの場合、理由を教えてください。
飲食業界の経験が無い人は、すごくいいと思います。無駄がなく、必要なことを重点的に教えてくれます。調理など、絶対に押さえておかなくてはいけないことを教えてもらえます。
また、飲食店開業がそんなに簡単ではないことも分かります。コロナ禍でクラスメイトとご飯に行くことはありませんでしたが、今でも繋がっていて、頑張っていることを知ると励みになります。もともと、「地元の食材を出したい」という想いはありました。「このアイデアだったら、別の見せ方もある」といった考えた方も教えてくれます。
特に、最後の授業でクラスメイトの事業計画書の発表を聞けたことが良かったです。周りの人のアイデアを聞くのも勉強になりました。
いいとこ取りができたと感じますし、事業計画書を書けたことが今に繋がっています。お金の融資にも繋がりますし、周りへの発信のベースになりました。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!
悩んでいるなら勉強したほうがいいです。行動に移して。もしもレコールバンタンキャリアカレッジに行っていなかったら、お店はまったく違ったものになっていたと思います。
今すぐではなくても、少し先の未来でも開業したい気持ちがあるなら、コンセプトを固めておくだけでもいいと思います。思っていたことを文字にすると明確になりますし、事業企画書を書くだけでも、目標の捉え方が違ってきます。
ちょっとでも飲食に興味があるなら、刺激もあるし、講師との出会いを得るだけでも行く価値があると思います。
<SHOP INFO>
やいたのたると Y's brekkie
アドレス:栃木県矢板市扇町1-11-1202-7
定休日:火曜、水曜
営業時間:月・木~日7:30~18:00(L.O.17:30)、モーニング 7:30~10:00、タルト提供 10:00~18:00