21.11.13 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> Keyaki cafe オーナー 牧健次さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。

外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか? 最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、Keyaki cafeオーナー牧健次さんにインタビューを行いました。

 

keyaki.PNG

 

 

<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2008年に入学し、1年間カフェコース(※現:飲食店開業コース)に通っていました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

12から13名くらいだったと思います。授業終わりに飲みに行ったりして仲が良かったですよ。授業は、週3でありました。(※現:週一回のみ)

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

もともとサラリーマンでしたが、いつか自分のお店をやりたいと思っていました。33歳のときに会社を辞めて、さまざまな飲食店で4~5年働きました。調理、ドリンク、オペレーションなどを体得しましたが、レコールバンタンキャリアカレッジに通うことにしました。最後の仕上げというイメージでしたね。入学したのは38歳のときです。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

お金の借り方や、お店のコンセプトの立て方などです。経営面とマインド面を学びたいと思いました。

 

 

―――― それまではどのようなお店でアルバイトをされていたのでしょうか?

カフェもあるし、ハンバーガーショップ、イタリアン、チェーン系カフェから居酒屋さんまで、13店舗ほどで働きました。ある程度、いろんな業種で働き知っておきたかったんです。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業は。

バリスタの篠崎講師。とても親身に相談にのっていただきました。色々な講師がいますが、なかにはご自身でお店を経営されている方もいます。篠崎講師はご自身のお店を経営されているので、言葉に説得力がありました。また、経営者目線とプレイヤー目線の両方を持たれているのも勉強になりましたね。

例えばプレイヤーは出したいものを良い状態で出せばいいですが、経営者目線で見ると、原価も調整しなくてはなりませんし、そもそもお客さんが求めているかどうかという点も考えます。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

同級生の存在はとても大きいです。同じ開業を目指す人と情報交換ができ、刺激をもらいました。実際に祐天寺カフェを開業された同級生がいて「頑張らなきゃ」と思いましたね。クラスメイトが開業したことで最後のひと押しをしてもらった気がします。同じ目標を持った人と学べたのは大きかったです。

 

 

―――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。

在校中に、カフェを貸し切り「ワンデーカフェ」をオープンしました。昼の部、夜の部と別れていて、夜の部ではお酒とおつまみも出していました。2、3回営業したと思いますがとても実践的で印象に残っています。

(※開講時期によって販売実習及びカリキュラムの内容は異なります)

 

内装.PNG

 

 

<卒業後について>

 

―――― 開業はいつですか。

2010年12月に、レコールバンタンからほど近い山手通り沿いにKeyaki cafeをオープンしました。校舎からは歩いて10分ほど、目黒区役所の隣です。開店2~3年くらいは、レコールバンタンキャリアカレッジの貸し切りイベントや販売実習でも使ってもらっていましたね。

 

 

―――― カフェ業態を選ばれた理由は?

コーヒーが好きということ、自分の持っている調理スキルから決めました。

 

 

<コンセプト>

日常使いで、毎日いろいろなシチュエーションで自由に使ってもらえるカフェです。朝、会社に行く前、ランチ、休憩、ご飯、お友だち同士など、皆さんに日常使いしてもらえるカフェでありたいです。

 

 

―――― 香川県に移られた理由は?

父の地元が香川なんです。「もしもカフェをするなら地元でやってほしい」と前々から言われていました。また、2015年に、大屋さんから家賃を値上げするという話が出ました。当時、12坪30万円税込みでしたが、税別にするという相談でした。確かにお客さまはいらしてくれているけれど、家賃が高くなればそれだけプレッシャーも大きくなります。地方は家賃も比較的安いですし、自分の体調も考慮して働けるのではないかと思い移転を決めました。父の近くにもいてあげたいですしね。

 

 

<場所>

現在のお店は、2015年7月19日にオープンしました。角地で、目の前に高校があります。香川大学、香川県庁からも近いです。家賃は11坪8万円です。

 

 

―――― 店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<店名>

中目黒の店舗の目の前に、樹齢100年の欅の木があったんです。欅が気に入りましたし、良いロケーションでした。実は、飲食不可の物件でしたが、直談判して借りることができました。「初心を忘れないようにしよう」という想いを込めてKeyaki cafeにしました。オシャレな店名は意外と覚え辛かったりするので、老若男女老、誰でも呼びやすい名前にしました。

 

 

<物件の選び方>

香川県高松市と決めてから、街をぐるぐると歩くことにしました。

僕の物件の決め方はまず、一階、路面店、大通り沿いです。次に、近くに会社か学校があるかどうか、三つ目にコンビニが近くにあるかどうかです。

夏場は、急にドリンクが足りなくなったり、卵が足りなくなったりするときがあるんです。そういうときに、4~5分圏内にコンビニがあると安心です。バイト時代も、シェフに「卵買ってきて」とか「牛乳買ってきて」とよく頼まれていましたから。あとは、「ここいいな」と直感的に思うところです。

 

また、コンビニが出店しているということはそれだけコンビニを使う方がいるという証。マクドナルドやスターバックスは、専門チームがいるくらい場所を調べていると言われているので外れがないです。

10年ほどカフェを経営していて思うのは、あくまでも利用者目線に立つこと。自分がお客さんとして考えたときに、分かりづらい隠れ家もいいけれど、「日常使い」のコンセプトにマッチする場所を考えると自然と絞られてくると思います。

 

<客層>

幅広いです。女子高校生から80歳のおばあちゃんもいます。メインターゲットは20代、30代、40代のお客さんですね。

 

<忙しい時間帯>

開業して、ティータイムよりも意外と「ランチ寄り」だと気付きました。中目黒では見込みのお客さんを逃しているケースもありました。なのでこちらではオーブンを大きくして、パスタは乾麺から生麺に変更しました。

乾麺は原価20円ですが茹で時間は8分、対して今使っている冷凍生麺は原価80円ですが茹で時間は30秒。提供時間が全然違います。

 

 

―――― 特にオススメのメニューについて教えてください。

チーズケーキです。多いときは10~12種類を揃えています。レシピ自体は30~40種類ほどありますよ。インスタや口コミで「チーズケーキがいっぱいあるカフェ」と認知してもらえていると思います。

中目黒で営業していたときは、ガトーショコラやタルトもあったんです。ところが、知り合いに「ありきたり。ここで食べなくてもいいじゃん」と言われてしまって。「これだけは他のお店に負けないものが必要」と言われ、自分なりに考え、チーズケーキがいいなと思いました。チーズケーキは冷凍保存しても状態が変わらないというメリットもあります。スタッフの女の子にも好評で、バリエーションが出せるのも魅力でした。市販品は使わないと決めているので、手間がかかるタルトとガトーショコラは諦めました。

「このお店といえば◎◎だよね!」と、何かの代名詞がつくとお店は安定して利益を出せると思います。ウチの場合はチーズケーキが認知されてぐっと黒字になりました。友だちにも「チーズケーキがいっぱいあるカフェだよ」って伝えやすいですよね。ぜひ、「キラーメニュー」を作ることをオススメします。

 

 

―――― チーズケーキのレシピはどのように確立しましたか?

本屋さんでレシピ本を買い、試作しました。ポイントは「クリームチーズはケチらない」こと。ワンホール18cmのケーキに、180から200gのクリームチーズを使うのが一般的ですがウチでは250g使っています。お客さんも「濃厚」と喜んでくれています。もうひとつは、チーズケーキに関しては、原価計算をして値段を出していません。そうすると、お客さまには魅力的に映らないんです。なので、利益率は無視します。どれだけ利益率が高い商品でも、オーダーがなければ利益は0です。であれば、利益率は低くても、たくさん商品が出せればトータルの「利益額」は上がるじゃないですか?特に個人店は、お客さんが「ちょっと得したかな」と思うメニューを用意することが大切。そのためには、仕入れ先を回ったり、「原価を落とす」ことに工夫を凝らしましょう。お客さまは非常にシビアです。チーズケーキも、1000円は高いと思われますが、800円ならまた食べたいと思ってもらえるはず。お店としては少し苦しくても、月1回よりも月2回食べてもらえるという考え方をしていったほうがいいです。

 

チーズケーキ.PNG

 

―――― チーズケーキのレシピはどのように増えていったのでしょうか?

私は、お客さんと話すのが好きなんです。「次に来たとき、どんなチーズケーキが食べたいですか?」と聞いたりしますね。ほうじ茶あずきやイチゴなど、アイデアをいただくことが多いです。また、次に来たときに自分が提案したチーズケーキがあると嬉しいじゃないですか。

また、Keyaki cafeではスタッフの誕生日に、チーズケーキをワンホールプレゼントしています。その際に、スタッフから希望をリクエストしてもらっています。試作して感想をもらって「この味いける!」とお墨付きをもらったら定番にすることもあります。

自分だけのアイデアだとどうしても好みが偏ってしまいがちなので、お客さんとスタッフから意見をもらうようにしています。ただ、美味しくても原価率の関係で商品化できないものもあります。イチゴとピスタチオクリーム、マスカットチーズケーキなどはとても美味しいですが厳しいです(笑)

 

 

―――― 現在、スタッフさんは何名ですか?

在籍は7名です。大学生がメインで週1、週2くらいでシフトに入ってもらっています。 Keyaki cafeは12時から13時のランチタイムが混むんです。基本は僕プラスもう一人で営業しています。一般的なアルバイトさんですと、1時間だけシフトに入ってもらうのは難しいですが、大学生は可能なんですよ。午前の授業が12時に終わるので、12時10分に来てもらって13時まで働いてもらい、まかないを食べてもらって帰宅したり、その後の3コマ目の授業に行ったり。自分もスーパーマンではないので、とても助かっています。

 

 

―――― アルバイトさんを採用する際のポイントは?

前職の経験も含めるとトータルで150名は採用していると思いますが一度も失敗したことはありません。面接を受ける人が入ってきた瞬間から3分で決めています。いちばんは、この人と一緒に働きたいと思えるかどうか、面接時間を守るかどうか、遅れるにしても電話をかけてくれるか、他には、その人の持つ雰囲気、笑顔がいいことですね。お客さんもそうじゃないですか?その人を見た瞬間に「いい感じ」かどうかは秒で判断されます。なので、採用するときもスタッフはファーストインプレッションを重視します。たまに、その人が入ってきてお店の温度がちょっと上がる人は当たりです。

Keyaki cafeのスタッフは、大学を卒業するまで辞めない人が多いです。また、卒業するときは自分が可愛がっている後輩を紹介してくれるケースが多い。後輩も、仲のいい先輩に紹介された仕事だと頑張ってくれます。ちなみに、求人するなら「貼り出し」がいいと思います。いいお店だと思ったら連絡してくれます。実際にお店に来てくれた人のほうが愛着も強いです。開業する方なら、工事期間中から求人票を貼っておいたほうがいいです。通行する人は「何ができるんだろう?」って絶対に見ますし、お店のコンセプトとかメニューとか貼っておいてください。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

今は、ストレスはないですよ。中目黒のお店が売れたので、香川では借金ゼロで始めることができました。ただし、軌道に乗るところまでが大変です。開業を希望する方には、お金は貯めておいたほうがいいと伝えたいです。多くの方が、予想を甘く考えています。試算するけど、「×7」と考えていたほうがいい。お金をある程度貯めてからお店を作ってください。具体的には、運転資金は200から300万はあったほうがいいです。コロナ禍など予期せぬ事態に見まわれることもあります。

 

 

―――― 資金面について、もう少し詳しく教えてください。

お金がなくカツカツだと、利益率を無視して良い商品を提供する、ということができません。利益を確保することだけに重きを置くとどうしても商品がショボくなってしまいがちです。手元がないとなにもできなくなってしまいます。

私の場合は、開業当初、銀行から300万を借りたのが後々きいてきました。決まった額が取られるのは大変なので、極力借金はしないほうがいい。自己資金をオススメします。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

月並みですが、お客さんから「美味しかったよ」「また来るね」と言ってもらったときですね。これにつきますし、中目黒のときからずっと変わっていないです。

あとは、中目黒で営業していたときのスタッフやスタッフの友だちが遊びに来てくれること。店名は心機一転変えようかとも思いましたが、フライヤーも愛着もあるし変えませんでした。SNSで「Keyaki cafeってあのKeyaki cafe?」と思い出してくれる人もいるんです。移転する前の男性の常連さんが、出張でたまたまうちの前を通って「あれ?同じ名前のカフェが中目黒にもあったな!」と入ってくれたこともあります。すごい偶然ですよね。変えるべきところは変えて、大事にしているものは変えないことも大切です。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

「想定通りにいかない」ことでしょうか。お店を出したときがスタートです。それから、お客さんの層、メニューなど、少しずつ手を入れて育てていくものだと思います。始めて11年になりますが、未だまだ変えていきたいところばかり。例えばチーズケーキも、野菜、アスパラ、フルーツトマトなどにも挑戦してみたいです。でも、大変だとは感じないですね。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについて教えてください。

カフェ業態なので、影響は限定的です。常連さん率が高いですし、駅ソバではないですし。営業は16時半ラストオーダーで、お酒も出していません。テイクアウトもやっていません。パスタもチーズケーキもいちばん美味しい状態で召し上がっていただきたいですし、お店で食べていただいてなんぼだと思っています。こちらの店舗では諸経費が掛かっていないので黒字という点も大きいかもしれません。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

自分が健康であること。健康でないと笑顔も出ないですし、お店もできないです。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

こういうご時世で大変ですが、楽しいことが多い職業だと思います。やったらやっただけお客さんの笑顔が返ってきます。

学べるところはぜひレコールバンタンキャリアカレッジでしっかり学んでおいてください。

 

 

カフェシェケラート.PNG

 

Keyaki cafe

香川県高松市番町3-2-23

087-813-1500

@keyakicafetakamatu

 

シェアする