21.11.16 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>kiitti オーナーパティシエ 岡田景子さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。

卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか? 最前線で活躍されているプロフェッショナルにヒントをもらうべく、「kiitti」オーナーパティシエ岡田景子さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2017年の4月にスイーツコースを半年間受講しました。

2017年7月からは、9カ月間ショッププランニングコース(※現:開業プランニングコース 6ヶ月のみ)を受けました。最初は3カ月のコースでしたが、もっと学びたくなり6カ月受講を継続することに。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールは?

スイーツコースは15名くらい、ショッププランニングコースは6名くらいでした。

スイーツコースの授業は土曜日にあり、ショッププランニングが始まってからは日曜日にも授業が入る感じでした。

他にも社会人クラスのある専門校をいくつか見ていましたが、レコールバンタンキャリアカレッジは、授業が土曜昼間だったので子供がいても通えると思いました。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジ入学時の年齢と、選ばれた理由を教えてください

37歳のときに入学しました。

それまで、看護師をしていました。看護の専門学校を卒業した後、3人の子どもたちの産休・育休を経て、35歳まで仕事をしていました。

もともと食べることが大好きで、食の業界には興味を持っていたんです。35歳のとき、エスニックレストランに転職。スイーツではありませんでしたが、子どもが小さかったこともあり通勤などの条件が良かったためキッチンで働いていました。また、趣味でアイシングクッキーを作っていたこともあって、その後クッキー屋さんに転職しました。

もともとお菓子が好きで、人にお菓子をあげるのも大好き。話したことがない人でも、お菓子を渡したりもらったりすると自然とコミュニケーションができるようになりますよね。食べ物を通してコミュニケーションが円滑になることに魅力を感じていました。

レコールバンタンキャリアカレッジを選んだ理由は、自宅からの距離感、授業のスケジュールなどが良かったことなどがあります。また、スタッフさんから主婦の方が多かっったり、活躍している在校生や卒業生のお話をうかがい、「私でもできる」と漠然と感じられたから。

 

 

―――― クッキー屋さんというのは、どのようなお店でしょうか。

アイシングクッキーを売っているお店です。SNSでスタッフ募集の記事を目にしたのがキッカケでした。オーナーさんが書いているブログやSNSを見ていて、魅力を感じていたお店です。

 

 

―――― なるほど。入学時、学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

自らレシピを考えたりすることができるようになりたいと思っていました。

料理は、味見をしながらレシピを調整していくことができますが、細かく決まっているお菓子のレシピを変えるのは難しいじゃないですか?入学前は、レシピ通りには作れてもどのようにアレンジすればいいのかが分かりませんでした。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

スイーツは、富樫講師が教えてくださっていました。お菓子作りの基礎的から応用までを教えていただきました。非常にテキパキした方なので、仕事を手際よく進めることや、返事を「はい」としっかり言うこと、掃除、洗い物をきちんとすることなども教えていただきましたね。あとは、「現場では時間勝負」など、リアルな現場でのお話をしてくださったのも印象に残っています。

ショッププランニングは、宮崎講師とインテリアデザイナーのAKIRA講師にお世話になりました。おふたりの授業も実践的でした。事業計画書の書き方、物件探しのポイント、坪いくらくらいまでの賃料がいいか、見積もりは相見積もりにした方がいいなど、細かく丁寧に教えていただきました。

 

 

―――― ショッププランニングを受講しようと思ったキッカケは?

スイーツのクラスを受講して、自分でお店をやりたいという意欲が高まったことです。最初の3カ月コースで事業計画書の書き方も教わったんですけれども、ターム最後に事業計画書を発表する授業がありました。宮崎講師からのフィードバックを聞いたら、次の3カ月も学びたいなと強く思いました。そのときに発表した内容は今でも覚えていて、いつか絶対やりたいこととして取っています。

今、オンラインスイーツショップとお菓子教室をしていて、これもやりたいことなのですが、ショッププランニングで提案した「カフェ開業」も目標として温めています。物件も、探しています。事業計画書を発表したときに、宮崎講師に「これ、いける!」と言われたことがとても嬉しく、お守りになっています。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることは?

計量の仕方、さまざまな材料から、調理のときに細かく時間配分をし、テキパキと動くことの大切さを教えてもらいました。また、富樫講師の「食品なので、命を預かっている」という言葉はとても心に残っていて、私自身が調理をする際にも大切にしています。

 

 

―――― 印象的だったイベントや販売実習などはありますか。

スイーツコースは半年間のコースを受講したので、販売実習はありませんでした。

メンバーは毎回同じでした。中でも三人の仲間に巡り合えたことは、宝物です。当時、みんなOLで忙しかったですが、復習のため、LINEのグループに授業で習ったスイーツを自宅で作り、写真をアップすることを毎週やっていましたね。誰かが写真をアップすると「やらなきゃ」という気持ちになり、続けられました。自分ひとりでは、きっと継続できていなかったと思います。休みの日は、みんなで人気店にリサーチしに行くことも。「美味しいだけじゃ売れないんだ」とか、「美味しいのに、みんな知ってもらえていない。どうすればいいのか?」と意見を交わしながら食べ歩きのフィールドワークをしたこともあります。今でも仲が良く、会えて良かったと思います。

 

 

―――― ちなみに、その同級生は……?

下北沢『シモキタシマイ』の中村さん、最近西荻窪にオープンした『OKASHIYA Karhu』橋本さんです。橋本さんは前職でカレーなどの食品開発のお仕事をされていたので、kiittiお菓子教室にカレーの特別講師として来ていただいたこともあります!

 

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<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯について教えてください。

お菓子を作って、SNSに載せていたことがキッカケです。

クッキー作ると大量にできるので「もらってくれませんか」とSNSで呼びかけたら反響が良くて。また、友だちじゃない方も見てくれて「欲しいです」と言われました。その言葉にのせられて、クッキー屋さんをやると決めました。

オンラインショップで販売するのに必要な「菓子製造業」を取って、販売とお菓子教室もできるような物件を探しました。ちなみに、お教室だけでしたら自宅でも開くことができますよ。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<オープン日>

2019年2月オープンです。クッキー屋さんは、2018年末で退職しました。

 

<店名>

kiittiは、フィンランド語で「ありがとう」という意味です。お菓子は、お礼や、誰かのことを想って渡すことが多いですよね。あげる側も、もらった側もありがとうという気持ちになれるようにという想いを込めています。あとは単純に響きも可愛いと思いました。

 

<コンセプト>

「誰かを想う」クッキー、です。

 

<場所>

お菓子教室をするにあたり、皆さんが足を運びやすく、行ってみたいなと思えるエリアにしたいと思いました。家賃なども考慮し、「広尾」を選びました。六本木や恵比寿からも来やすく気軽に参加できるかなと考えました。

 

<想定していた客層>

メインは、お母さんです。アイシングクッキーは、お子さまの誕生日やケーキに飾ることをイメージしています。自分自身も母親業をずっとしてきているので、いちばん気持ちが分かると思ったんです。強みになる分野かなと思いました。

 

<オンラインショップ>

現在、ミンネとクリーマでショップを開設しています。元々、ミンネはアクセサリーを買うのに使っていたので開設しようと思いました。後から、クリーマの方から開設しませんかとお声がけをいただきオープンすることに。お客さまの層はそこまで変わらない印象です。ママさんが多く、ときどきお孫さんにプレゼントしたいという方もいます。クリーマでは、ココアを使ったアイシングクッキーを扱っていますが、ナチュラル系のアイテムの人気が高い印象です。着色料を使わないほうが良いと考えるママさんもいると思い始めたのですが、ココアのアイシングも好評です!

 

<お菓子教室>

大人だけでなく、子どもの受講生も多いです。

子どものときに作った体験って、きっと大人になっても覚えていると思うので、子どものときに体験していただきたくて。お子さんを教える大変さはありますが、ビジネス的な意味合いだけではないなと感じています。

アイシングクッキーですと、小学1年生で参加された方もいます。中学生、高校生は割引にしているのでバレンタインデー前後に参加する方も多いですよ。お母さんたちって、忙しいですし、お菓子作りは準備や後片づけを考えると大変じゃないですか。お教室が、少しでもお母さんのお手伝いになったらいいなと思って開いています。

 

 

―――― 特にオススメのメニューは?売れ筋はどの商品ですか。

「お楽しみクッキー缶」15cmサイズは2500円、Lサイズは3500円です。クッキー缶はいろいろなクッキーを仕込むので作るのは大変ですけれど、すぐに売り切れになります。

 

 

―――― 値付けは、どのように行いましたか。

オンラインショップのみなので、ビジュアルがすごく大事です。可愛い缶やラッピングにはこだわっています。食材費だけでなく梱包量も含めて、計算しています。あとは、クッキーを販売されている方の相場も研究しています。一つひとつ心を込めて丁寧に作っている自負もありますので、あまり安くは売らないようにしています。

 

 

―――― 缶などの、仕入れはどのように行っていますか?

業者専用に売るサイト「お菓子のミカタ」などで購入しています。また、自分自身も勉強のためにクッキー缶をお取り寄せしています。SNSも含めて、いいものは自分のものにしようと心がけていて、お菓子教室にも参加しています。なかには、「同業者はお断り」という方もいるので、事前にOKをいただいた先生のクラスを受講しています。人気の先生は、「なんで人気なんだろう?」と考えながら受けるのも勉強になります。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

いちばん大変だったのは、開業してからですね。時間配分がつかめず作業スピードも今よりゆっくりでした。当時は、本当に休みなくずっと仕事をしていました。1カ月くらい休みなしで働いていて、今はご依頼を受けていませんがオリジナスイーツのオーダーも受けていました。そうすると、段々と肉体的に疲れてしまうんです。無理しているときって、「このお客さまのオーダーを受けないと次がないんじゃないか」「やらなきゃ」という気持ちもあって。ただし、それだと自分に負荷がかかりすぎてしまっていて、いつの間にか利益度外視になっていました。「このままのペースで働いたら自分が潰れてしまう」と思いました。なので、現在はオリジナルのオーダーは受けていません。働き方も月曜から金曜まで働いて、土日はしっかり休むと決めました。オンラインショップなので営業しようと思えばできてしまいますが、土日はメールも「お返事できません」と発信し、見ないようにしています。

2021年になってから、プライベートも大事にするようになってきました。せっかく自分のやりたい仕事をしているのに、「充実している」と思えなくなりそうだったので、思い切ってメリハリをつけることにしました。ずっとプライベートの時間を犠牲にしてきたんですけれども、それでは何のために仕事をしているか分からなくなってしまいます。

 

 

―――― バランスが取れてきたんですね。では、一週間のスケジュールは?

朝7時から働いています。子どもたちは、いちばん下が14歳、17歳、19歳です。お昼のお弁当は作ってあげたいと思うので、4時半から5時に起きて家事をやってお弁当を作って6時に家を出ます。18時までには仕事を終わらせて自分の習い事に通っています。頭の切り替えができるので、休まずに仕事をしてきたときよりも、今のほうが効率良く仕事ができていると思います。

 

 

―――― 新型コロナウィルス流行の影響は?

おうち時間が増えて、オンラインショップからのオーダーは増えました。

ひとつ残念だったのは、楽しみにしていたイベントが中止になってしまったこと。

2019年に、六本木で行われる「スターウォーズ」イベント向けに、アイシングクッキーを作ってほしいというご依頼がありました。「1000枚、作れますか?」と言われて、「やります!」とお返事しました。こんなチャンスは滅多にないと思い、クッキー屋さんの同僚や、ママ友にもお手伝いしてもらって無事に1000枚作ることができました。また、ありがたいことに完売することができました。主催者さんからも「また、来年もお願いします」と言われていたのですが、コロナ禍でイベントそのものがなくなってしまいとても残念です。ただ「いつでもできます」と、常日頃から準備しておくことは大事だなと思います。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

お客さまからご連絡をいただいたときですね、メールのやりとりなのですけれども、「プレゼントした人にすごく喜んでもらえました」とか、「1歳の初めてのお誕生」「100日祝いです」など、お写真つきで送ってくださる方もいます。その子の初めてのお祝いに選んでもらえたことが光栄だし、嬉しいと感じます。

あとは、リピーターさんです。去年も頼んでくれた方がもう一度頼んでくれたとか、そうしたことにも喜びを感じます。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか?

ひとりで仕事をしているときに、孤独は感じます。喜びも一身に受けとる一方で、「終わるかな?」とか「大変だ」といった気持ちも、ひとりで受け止めないといけないので……。いつも黙々と調理をしている分、お教室ではお客さまとコミュニケーションが取れるのですごく楽しいです。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルとはどのようなものだとお考えでしょうか?

コミュニケーションスキルだと思います。

例えば、オーダーのメールも、機械的にはならないように気を付けています。分かりやすく、丁寧に、気持ちを込めるように心がけていますね。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願いします!

多分、やるかやらないか色々と迷うと思います。私自身もお菓子屋さんで働いていたので、現場で学べばいいかなと思っていた部分もありました。

入学してみて、授業内容もそうですし、講師、友だちに出会えたことがすごく良かったなと思いますし、宝物です。

ちょっとの勇気を出してやったもの勝ちです。「えい」って一歩踏み出すと色んな人と出会えるし、相乗効果で壁が越えられていき、世界が広がると思います。

 

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