<大阪校卒業生インタビュー>「FAT DOG STAND」 オーナー 佐竹奈央さん
「ウィズコロナ」の時代。外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?
最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、
FAT DOG STAND オーナー佐竹奈央さんにインタビューを行いました。
<在校中について>
―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。
27歳のとき、バリスタライセンスコースに2016年10月入学しました。半年間、夜間だけ通い、JBA協会が定めたバリスタの資格を取得することができるコースです。卒業は、2017年3月です。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジ大阪校を選ばれた理由を教えてください。
OLとして働いていましたが、夫とお店をオープンしようということになり、独学でやるか、飲食店で働いて学ぶかだと思いました。独学だと時間がかかりそうという懸念と、その店のやり方しか学べないと思い、レコールバンタンキャリアカレッジに資料請求しました。脱サラでの飲食店開業で、コーヒー部門は私が担わないといけない状況でした。バリスタライセンスコースは「ドリンク部門を一人で担当できるような人材を育てる」というのもピッタリで、短い時間で効率的に学べると思いました。
―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか。
開業に使えるスキルと知識を身に着け、美味しいコーヒーを淹れられるようになりたいと思っていました。コーヒーは好きでしたが、カフェに行ったら飲む程度で知識はありませんでした。エスプレッソって何?ハンドドリップとサイフォン、どっちがいいの?みたいな状態で、コーヒーについては何も分からなかったです。
―――― 印象的だった講師、授業はありますか?
カフェのコンサルタントもされている末廣講師。実技だけではなく、バリスタに必要な心構えについても教えていただきました。
「美味しいものを淹れるのは当たり前。バリスタたるもの、所作の一つひとつも格好良くないといけない。顔つきや所作で、この人の淹れるコーヒーは美味しいんだろうな、と思ってもらわないといけない」というメッセージは、今でも心に残っています。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることはありますか。
授業では、コーヒーを提供するスピードも求められました。ウチのお客さんは、パッと来てパッと持ち帰りたいお客さんが多いので、いかに早く美味しく淹れられるかは重要。独学だけでは技術の習得は難しかったと思います。
<卒業後について>
―――― 開業された経緯を教えてください。
単純にホットドッグが好きで、周りにも好きな人が多かったから。でも、めちゃめちゃ美味しいホットドッグは食べたことがなくて、好きと言えるお店もありませんでした。ならば「世界観が変わるくらい、美味しいホットドッグを提供できたら面白いんじゃないか?」と思い、開業することにしました。
夫に、「コーヒーを出したいから、勉強してくれ」と丸投げされたのが、レコールバンタンキャリアカレッジに入学したキッカケです(笑)
―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。
<時期>
在学中、2017年2月にオープンしました。卒業に合わせてオープンということでもなく、在学中から下見に行き、物件が決まり次第即オープンという感じでした。まさに「背水の陣」です。
カフェのコンサルティングをしている末廣講師には「こういう物件にしたら?」と、相談に乗ってもらえて有難かったです。仕入れ業者のツテも一切なかったので業者さんを紹介してもらえて有難かったですね。業者にもよるけれど、1週間にこれくらいの数量を注文してくれないと困る、と断れたりするケースもあるので、紹介してもらえて助かりました。
<店名・コンセプト>
FAT DOG STANDで、太ってしまうくらい美味しいホットドッグスタンドという意味です。実は裏の意味合いもあって、FATと同じ音の「PHAT(ファット)」というスラングには、「最高にイケてる」、「DOG」は「やつら」で、「最高にイケてる人」という意味もあるんです。見た目が格好いいとかではなく、中身がイケていて、充実した人たちが集まるスタンドになれば、という想いを込めています。
<デザイン>
ロゴのデザインは、主人の先輩で、デザイン関係の仕事をしている方にお願いしました。
グッズや、フライヤーは主人がイラストレーターを使って、独学でデザインしています。テイストは、オールドアメリカンなものが多いですね。あとは、店を始めてから出会った方に描いてもらったりもします。
<場所>
以前の店舗は2.5坪でした。知見も、資金も無い中で、自分たちのお金でオープンできる小さい店舗を選びました。街自体の雰囲気も好きでしたね。徐々に大きなイベントにも呼んでもらえるようになると、冷蔵庫も小さく、仕込みもキャパオーバーだと感じるようになりました。
現在の店舗は、「いい場所あるよ」と地元の方に紹介してもらったんですよ。物件のオーナーさんとも仲良くなり「ぜひ入りませんか」と言っていただき、決めました。もともと商店街の雰囲気も好きで、2018年6月に現在の場所に移転しました。
<客層>若い人向けと思われることもありますが、地域密着型なので、おじいちゃん、おばあちゃんの常連さんもいますよ。いちばん多いのは20代から30代の方ですね。
―――― 特にオススメのメニューについて教えてください。
<フード>
「プーティンドッグ」(800円・税込)。プーティンは、カナダの料理で、アイスホッケー観戦のときなどに食べられるメニューです。フライドポテトにグレイビーソースをかけたプ―ティンを、ホットドッグに落とし込みました。
フライドポテトの代わりにマッシュポテトをのせ、チーズとグレイビーソースをかけています。グレイビーソースは肉汁を使ったソースで、深みのある味わいが特徴です。ソーセージも自家製です!粗挽きの豚肉と、スパイスとハーブを10種類以上使っているので、嚙んだ瞬間に肉汁が溢れてハーブの香りを感じます。
開業前、主人はハンバーガーショップで数ヵ月間勉強していたんです。そこで、お肉の勉強させてもらいました。また、フレンチシェフの友人にスパイスとハーブの勉強をさせてもらい、試作を重ねて理想のソーセージを作りました。
パンは、セミハードタイプ。一般的なホットドッグに使われる、ふかふかのものではなく、少しハードなパンを選んでいます。主張が強いソーセージにも負けないように、パンはカリッと焼いて存在感を出しています。
<ドリンク>
いちばん人気は、「カフェラテ」(420円・税込)です。牛乳は、少し甘めのクセのない種類を選んでいます。みんなが好すきな、飲みやすい味わいです。
<エスプレッソマシーン>
エスプレッソマシーンは、スペインのイベリタル社の機械を使っています。ショールームを見に行ったときに、一日これくらいの杯数を出したい、という目安から選びました。コンパクトなのに性能も良く、資金がない私たちでも手の届く価格でした。
―――― 開業されて経験されたご苦労は?
ひとつめは、物件探し。自分たちの希望する条件に合ったところが、あまりなかったです。見つかっても、いいところはどんどん他の方に決まってしまい、「一歩遅い」ということもありました。
もうひとつは、前店舗でのリノベーション工事。すべて手作りで改装しました。資金がなく、自分たちで行ったのですが、体力的に大変でしたね。水道管を張り巡らせたり、主人が働いていたハンバーガー屋さんの師匠がトイレを設営してくれたりしました。友だちが壁のペンキ塗りに来てくれて、周りの人に助けてもらいました。移転したときは、その大変さがあったので業者さんにお願いしました。
もうひとつは、OLから、突然飲食業界に入り、生活リズムのギャップはありました。それまでと比べると労働時間は長く、人前に出る時間が長いので、常にオンの自分でいないといけない。気持ちの面で、慣れるまでは大変でした。
―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点、心がけていらっしゃることについて教えてください。
新型コロナウィルスの流行を機に、デリバリーを始めました。注文は公式LINEアカウントから受けて、自分たちで自転車を使って配達しています。あまり長い時間はお店を空けられないので、オーダーを受けるのは半径2kmから3kmまで。Instagramで知ってくださる方が多く、ステイホーム期間中は多くのご注文をいただきました。
他にも、消毒液を設置して、お客さんにも間隔を空けて待っていただいています。待ち時間を減らし、密を避けるため電話予約をしてから買いに来てくださる方もいます。
―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。
月並みですが、やっぱり「美味しい」と言われることが嬉しいです。開業して、
すごくたくさんの人に会うことができ、友だちも増えました。今まで知らなかったことを知れて、人との繋がりが増えたことが喜びです。アウトドアのイベントに出展したり、百貨店の催事にも出させてもらったりしました。体力的にはすごく大変だけれど、やりきったときの達成感は最高に心地いい。頑張って良かったな、と思えます。
―――― 大変さはどのようなところでしょうか。
仕込みと営業後の仕事。店舗に立っているだけが仕事ではないので、営業が終わってからも、やることがいろいろあり大変だったりはします。でも、苦ではないです。
―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?
お客さんを楽しませること。ご飯だけで満足というのもあるけれど、ウチは雰囲気を含めて、「ここでコーヒーを買ったら一日前向きに頑張れる」と思ってもられるような場所にしたいと思っています。「良い一日を」「行ってらっしゃい!」という気持ちで、日々営業しています。
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に
ぜひ前向きなメッセージをお願いします!
やりたいと思っているだけだと始まらないから、まずは一歩動き出して。そうすれば、新しい世界が広がっていくと思います。レコールバンタンキャリアカレッジの講師たちは面倒見が良くいい方ばかりで、今でも気にかけてくださっています。
佐竹さん、ありがとうございました!
FAT DOG STAND
大阪府大阪市中央区谷町7-6-33
10-17時
@fatdogstand