22.11.14 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> COFFEE HOUSE HIRO/ITALIAN TOMATO甘木 バリスタ 鬼塚博喜さん

学生インタビュー
卒業生
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ウィズコロナの時代。外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、福岡県・朝倉市の「COFFEE HOUSE HIRO/ITALIAN TOMATO甘木」にて、

バリスタとして働く鬼塚博喜さんにインタビューを行いました。

 

 

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<在校中について>

 

 

―――― レコールバンタンでのコース名、卒業年次を教えてください。

 

2015年、レコールバンタン カフェオーナーコース2年制を卒業しました。

 

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

 

20名くらいです。週3日授業がありました。

 

 

 

―――― レコールバンタンを選ばれた理由を教えてください。

 

実家がカフェを経営していたので、小さい頃から忙しそうな両親を見ていました。

「安定した企業に勤めた方がいい」と、親に言われてたこともあり、大学卒業後、一般企業に就職していました。

ですが、なかなか仕事に燃えることができず、そうこうしているときに実家のお店のことを考えました。良い常連さんもついてくださり、両親も「自分たちがお店を辞めるときに、他人に譲りたくない」といったことも言っていました。仮に自分が、実家の飲食店を継ぐことができたら、一般企業で働くよりも、より情熱を持って働けるんじゃないかなと思ったんです。

そこで、飲食の専門校を検索しました。

 

 

 

―――― 当時、働いていたエリアは?

 

本配属が九州になったため、九州で働いていました。東京に出るのに、勇気はいりました。会社の上司からも説得されましたが、ずっと悩んでいたので……。

大手企業だったので、給料も良く、土日もしっかり休めていましたが、どこかしっくりきていませんでした。ちょうど、リーマンショックの時期の新卒だったので、家族も含めて周りには反対されました。実質的に働いていたのは、1年半くらいだったと思います。

 

 

 

―――― 東京校を選ばれた理由は。

 

今でこそ毎日エスプレッソを淹れていますが、入学時は、「エスプレッソ」が何かも分からないようなレベルでした。

大阪校も検討しましたが、カフェや飲食店で働くなら、東京の方がカフェも多く、勉強になるのではないかと判断しました。

 

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

 

ゼロから飲食業界を目指したので、調理に対しての知識や技術がありませんでした。スクールに通わずに飲食業に入るよりも、専門校で学んだ方がいいかな、と考えました。不安もありましたね。

 

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

 

コーヒーは篠崎講師、佐藤宇宙講師、田口講師の三人にとてもお世話になりました。

調理は、まず「sel sal sale」オーナー濱口シェフが、ユニークで今でも覚えています。調理実習で、タマネギの皮を無造作に捨てていたとき、「何で食べないの?食べてみてから、使うか捨てるかを判断したらいいじゃん」と言われ、衝撃を受けました。恵比寿に移転される前のお店にも伺ったことがあります。

また手塚講師は、質問したらきちんと丁寧に教えてくださいました。優しい人柄で、質問しやすかったです。

 

コーヒーの授業ではエスプレッソマシーンを使った実践的な授業が多かったです。篠崎講師は、厳しかったです。ダラダラ動いていると、当然なのですが怒られました。

また、卒業後も講師の皆さんと交流がありました。篠崎講師からは、エスプレッソマシーンメーカーのショールームでのお仕事をいただきました。

メーカー直営の展示スペースで、マシーンを使ってデモンストレーションしたり、検討者の方からの質問に答えたりしました。

レコールバンタンの授業がないときに、佐藤講師や田口講師と一緒に店頭に立つこともありました。あとはカフェレスなどのイベントに、デモンストレーターとして参加する機会をいただきました。

 

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

 

卒業後も、講師とコミュニケーションを取れること、繋がっていることが財産になります。卒業するときに、篠崎講師から「マシーンを入れたいときは相談に乗るよ」とメッセージをいただきました。卒業してから数年が経ちましたが、実際にエスプレッソマシーンやグラインダーを購入する際は、篠崎講師に連絡しました。

マシーン選びに迷っていましたが篠崎講師のアドバイスは心強く、納得して購入することができました。

グラインダーはレコールバンタンでも使っていた機種なので、なじみがありますし使いやすいです。

 

 

 

―――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。

 

原宿のカフェを借りて、イベントを行いました。

<参考>https://www.lecole.jp/topics/blog/detail/531.php

 

他のクラスのメンバーも参加して、50人くらいの規模で運営したと思います。オリジナルメニューを考案して、調理・提供して……店長を務めたので、とても大変でしたが楽しかった記憶があります。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

 

大学時代は、オムライス専門店で働いていました。ただ、大学生のときはカフェ巡りには未だ興味がなくて……。

レコールバンタン在学中は、吉祥寺のトラットリアで働いていました。広いお店だったこともあり、「飲食って大変だなー」と思いました。クローズしていたのは、深夜1時過ぎでした。

大手イタリアンレストランで、マネージャーも厳しい人で、ダメ出しされることも多かったです。今となっては、鍛えられて良かったと思っています。

 

 

<卒業後について>

 

 

―――― 卒業後のキャリアについて教えてください。

 

 

卒業後は、校舎近くのイタリアン「DAYS」で働いていました。もっとエスプレッソマシーンにも触っていたいなと思って、中目黒のコーヒーショップでのバリスタの仕事と掛け持ちしていました。

 

 

―――― 何年ほど働かれましたか。

 

4年くらいです。「COFFEE HOUSE HIRO/ITALIAN TOMATO甘木」は両親が経営しています。地元に戻るタイミングは「30歳くらいかな」と漠然と思っていました。東京での仕事もひと段落し、やや疲弊している感じもあったんです。そんな時に、福岡・朝倉で豪雨災害がありました。「自分が必要とされているんじゃないかな」とUターンし、戻ったタイミングでスウェーデン人の彼女と結婚しました。現在は、34歳です。

 

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

 

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<お日にち>

 

「COFFEE HOUSE HIRO」は、父が開業した喫茶店です。イタリアントマトのケーキ店が併設していて、ケーキ店はフランチャイズで経営しています。コーヒーと、イタリアントマトのケーキが同時に楽しめる、他にはあまりない業態です。

 

 

 

<歴史>

 

1978年にオープンしたので、40年ほどになります。

実家のカフェを継ごうと思ったのは、お客さまがたくさんついているしこのお店を潰すのはもったいない、というのがいちばんの理由です。

「COFFEE HOUSE HIROが好き」と言ってくださる人が多いのは、両親のこれまでの功績です。そこに、僕が東京で吸収してきたエスプレッソメニューを追加することで、古き良きものと新しいエッセンスを融合できたらと思いました。僕が入るまでは、カフェラテなどのメニューは提供していなかったので、新しく追加した形です。

 

 

 

<役割分担>

 

父が厨房で料理をしています。母はサポート役で、ホールの仕事をすることもあります。僕は、エスプレッソメニューを中心に作りつつ、サービス業務も行います。

「ピザ」の仕込みをすることもありますし、個人店なので、その都度やれることをする、という感じです。

 

 

<客層>

 

女性が多いです。年齢層は幅広く、80歳、90歳のマダムが運転して来て下さります。小さいお子さんも、赤ちゃん連れもOKで、10代の方もいらっしゃいます。

僕が入って、SNSで発信することで、10代、20代のお客さまも増えました。45年続いているので、古さに新しさを加えていくと洗練されていく印象です。

小さなところをブラッシュアップしていくと、古いお店の新陳代謝が良くなり、アップデートされていきます。

 

 

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―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。

 

カフェラテ(税込550円)、カプチーノ(税込520円)、エスプレッソ(税込430円)など、エスプレッソメニューが人気です。ランチでは、パスタランチ(税込1200円)ハンバーグプレート(税込1200円)を提供しています。ハンバーグは手塚講師に教わったレシピがベースになっています。授業で、「お金をいただけるハンバーグ」とおっしゃっていたことを覚えています。手塚講師がホテルで働かれていたときに、培ったレシピだと話されていました。

 

 

―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

 

原材料3割で計算し、周りのお店を見ながら決めています。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。

 

コーヒーを淹れながら、コミュニケーションを取ることが多いので、お客さまの声を聞けるのが嬉しいです。

コロナ禍になって、「テイクアウト」や、「おうちカフェ」が浸透し、お店が開けられない時期がありました。「もう、こういうお店は必要じゃないのかな」と思うこともありましたが、緊急事態宣言が解除され、少しずつ飲食店を訪れていいんじゃないか、という空気感に変わっていきました。お客さんが居心地良さそうに過ごされていたり、「ホッ」とした表情を浮かべていたりすると、そういう時間や場所を提供できている、と感じられます。

 

カフェの仕事は、オーナーの個性や、好きなものを表現する場所だと思います。妻と一緒にセレクトした北欧ビンテージのお皿やカップで提供し、パーソナルな部分も表現するようにしています。「いいですね」「素敵ですね」と、お客さまに喜んでもらえたときに、いい仕事ができたなと感じられます。

 

 

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―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

 

一般的に飲食店の働く時間が長い、と言われていますがコロナをキッカケに閉店時間が速まりました。

以前は、 21時、22時まで営業していましたが、19時にはクローズしています。期せずして、働き方改革となりました。

 

大変なことは「生き残っていけるかな」という面です。ただ、会社員も経験し、飲食店の仕事はやりたくてやっているので大変だと思うことはありません。

一方で、食材の仕入れが値上がっているので、ランチの価格を上げないと利益が出ません。これは、本当に悩ましいです。

価格を上げると、月に2回お越しいただいていたランチが1回に減ります。ケーキも、以前はホールで買われていたけれど、ピース買いというように消費行動も変化していきます。

クリスマスも、ピース買いされる人が増えているので、お客さまも「どこかでしぼっていかない」という雰囲気を感じます。

ただ、地域密着型のお店なので、価格を上げるのも本意ではありません。納得してくださる良いお客様がほとんどですが、気持ちとしては気軽にランチに来てほしいので、そのせめぎ合いです。

 

 

――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

 

「やっていること自体が好き」であることが大前提になると思います。

また、接客スキルは大切です。美味しいものを出すのは当たり前ですが、提供してくれる人の対応でお客様が持つ印象が変わるので、「サービス」ありき、というところがあると思っています。

お店のファンを増やすためには、例えばひと声かけるだけでもそれがキッカケになってまた来てくださることもあります。

現在、スタッフを三名雇っていますが、洗い物もさげ物も早いけれど不愛想な人よりは、多少作業は遅くてもコミュニケーションスキルがあるほうがいいです。

もしも、オーナーご自身がコミュニケーション下手であれば、コミュニケーション力に長けた素晴らしいスタッフを雇えばいいと思います。

 

 

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――― 今後の目標はありますか。

 

今、家族で営業して4年ほどが経ちました。北欧のビンテージ雑貨などの販売を進めています。また、焙煎こそしていませんが、信頼するロースターさんにHIROオリジナルブレンドを作ってもらっています。もとは大手の商社さんから豆を仕入れていたんですが、スペシャリティーコーヒーにすることで、コーヒーのクオリティが上がりました。

このように、お店を強くするキッカケをもっと作っていきたいです。流行りに乗っかるのではなく、好きなことを表現して、それをいいと思ってくださるお客さまとマッチングするようにしていきたいです。HIROがオープンして45年になるので50年を目標にしています。いいお店も増えているので、地元を盛り上げられるように、他店とも切磋琢磨していけたらと思います。

 

 

 

――― レコールバンタン/レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンをオススメしていただけますか。「はい」の場合、理由を教えてください。

 

「目的」があるなら、プロフェッショナル講師と出会えるので良いと思います。ただカリキュラムをそのまま受けるだけでは勿体ないと思います。

「はい」のもう一つの理由は、立地の良さです。レコールバンタンは代官山にあるので、授業の前後にたくさんのカフェに行きました。校舎近くにある「DAYS」に出合えたことも大きかったです。DAYSは個人オーナーなので、カフェ巡りをしていなければ知ることもなかったと思います。中目黒・恵比寿・渋谷も近いので、カフェを巡るなら最高の場所だと思います。

 

 

――― レコールバンタン/レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

 

その道のプロの講師陣がいるので、積極的に交流していくといいと思います。財産だと思います。レコールバンタンでは、実習がメインだったので、カプチーノをたくさん淹れられました。これはお店では絶対にできないことなので、レコールバンタンで練習しておいて良かったです。授業でエスプレッソマシーンにいっぱい触れて、たくさん練習して技術を磨いてください。

 

 

 

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<SHOP INFO>

HIRO / ITALIAN TOMATO甘木

〒838-0063 福岡県朝倉市古賀1-1

@hiro.itatoma

営業時間:10:00-19:00 (店内L.O18:00)

ランチ11:30-14:00(火〜土)

月曜定休

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