24.05.10 24.06.03 更新

<卒業生インタビュー>「カレーと甘味 ここか」オーナー松浦 みくよ さん

学生インタビュー
卒業生
東京校
飲食店開業コース

開業実績380店舗以上のレコールバンタンキャリアカレッジ。

外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、

埼玉県比企郡嵐山町のカフェ「カレーと甘味 ここか」オーナー松浦 みくよさんにインタビューを行いました。

 

 

<在校中について>

――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

3つのコースを受講しました。20184月に入学し、5月から9月まで午前中に「開業&副業プランニング」、午後に「ドリンク総合」の授業がありました。また、2018年10月から3月まで「調理&メニュープランニング」を受講しました。授業は3コースとも1617回ずつありました。(現在は、飲食店開業コース12ヶ月に該当します)

 

――― スケジュールは?

毎週、日曜日に授業がありました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジに入学された経緯を教えてください。

平成元年より、中学校で美術の教師をしていました。20代から50代半ばまで教育現場で働いていました。

50歳を過ぎる頃から、「このまま教員として終わるのではなく、転職をしたい」という想いが募りました。自分の教育に対する想いと教育現場との矛盾などもあり、教育者としてのキャリアには区切りをつけようと決心しました。

実家は、もともと商売をしていて、父から「この場所(現店舗)を活かして商売を始められないか」と言われていました。父の考えと、転職を考えるタイミングとがうまくリンクしたこともあり、飲食店を始めるのであれば50代のうちにと決めました。60歳まで教員を続けてから商売を始めるとなると、体力的にも精神的にもできるかな?という不安もありましたので。そこで、飲食店開業について学べるスクールの資料を集め始め、候補のひとつとして、レコールバンタンキャリアカレッジがあがりました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由は?

このような選び方が良かったのかはわかりませんが、パンフレットの質が高かったからというのが一因です。他のスクールと比較したときに、例えば、プログラムの説明の詳しさ、掲載されている写真、紙の質などのレベルが総じて高く「これだけのものを作るということは、組織として体制が整っているのだろう」と感じました。他のカフェスクールのパンフレットは、開業にいたるまでの具体的なサポートにはついて書き込みが弱かったです。他校では、「開業するまでの具体的な過程」を、本当に教えてもらえるのか?という不安もありました。インターネットで検索しても、レコールバンタンキャリアカレッジの説明は細やかで具体的でしたので、この組織だったら信頼できるだろうと思いました。

 

――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

とにかく飲食業を開業するのに、どんな資格、手続きが必要なのか。また、流れやタイミングがまったく分かりませんでした。さらに言えば、自分が、一体何を飲食でやりたいかも明確にはなっていませんでした。カフェを訪れたときに見かける調理器具はほとんど未知のものでした。カフェの従業員さんはスムーズに格好よく扱っているけれど、「あれは何?」という感じでしたね。入学前、ドリンクやコーヒーの知識はまったくなかったので、「ネルドリップとは?」「エスプレッソとは?」という状態でした。カフェ好きの方だったら当然知っている言葉も知りませんでしたので、そうした飲食店開業に必要な全般の知識を教えてもらいたかったです。

 

――― 印象的だった講師、授業はありますか。

どの授業も、大変勉強になりました。特に、宮崎講師と佐々木講師の授業は具体的で、開業にこぎつけるのに大きかったです。

宮崎講師には、事業計画の立て方、損益分岐点の見方、経営を管理する視点を教えていただきました。お金を借りるためには、考えが固まっていないとお金を借りられない事も理解できました。特に事業計画書の作成は苦しかったですね。実は、授業を受けている当時は、内容の半分は「?」マークがついていたんです。今になって、当時書いた計画書を見返してみて「なるほど!こういうことを教わっていたんだ」と腑に落ちます。

佐々木講師には、店舗デザインや一般的に考えられる「物件の良し悪し」を教えていただきました。また、厨房器具のメーカーについて、厨房作りのポイント、レイアウトと動線の考え方、保健所とのやりとり、ガス工事などオープンに至るまでの工程をわかりやすく教えてくださいました。

さらに、ドリンクの授業は江沢講師に学び、調理授業では「sel sal sale」濱口講師にお世話になりました。おふたりから受けた授業も印象的でした。

江沢講師は、コーディアルドリンクの作り方、スムージーの基本的な考え方、コーヒーの産地別の比較などを教えていただきました。とにかく実践重視でドリンクを作らせていただいたので、得られるものがとても多かったです。お酒の飲み比べなどもしました。特にワインの授業では、あるワインを「バラの香りがします」と表現すると江沢講師が褒めてくださいました。「私味覚や嗅覚は、外れてはいないんだな」と自信につながりました。濱口講師は、レストランで提供するような難しいメニューを調理しました。聞いたこともないような材料やスパイスで、授業を受けているときは「正直、こんなに難しいメニューはカフェでは作らないのに」なんて思っていました。今になってわかるのは、料理を教わったのではなく「素材を扱う考え方・基本」を身につけさせていただいたと思います。何か新しいものにぶつかったときに、調理の基礎さえ学んでいれば、自ら対処することができます。なので、個人的には、「食材をいかに扱うのか」を学べたことが大きかったです。

 

――― 授業の雰囲気はいかがでしたか?

「勉強しよう」と集まっている社会人メンバーですので、とてもやる気があって活発でした。グループ活動でも自分を出して発言する人が多く、講師にも積極的に質問していました。

 

――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

とても多いです。具体的に何が?と聞かれると、素人だった私が毎日料理を作り、経営していることが証だと思います。例えば、調理の授業では、基本となる「コンソメスープ」や「ビシソワーズ」を学びました。そのものズバリを作ることはありませんが、新メニューに挑戦するときに作り方のポイントが理解できます。教えていただいたデザートのレシピは一部使わせていただいています。

また、佐々木講師の授業は、店舗の具体的なイメージを持つのに役立ちました。

 

――― 在学中または卒業後に、アルバイトなどで飲食業界の経験をされましたか?

卒業後に「ヒノハラテラス」さんで短期間、現場体験をさせていただきました。それまでは飲食に関わるバイトは全くありませんでした。ですが、私の気持ちの中で「飲食がいいな」という想いはありました。自分のやったことの手応えが、その場でわかるのが魅力だなと感じていました。一般的に、教育の現場は、20年後、30年と結果が出るまでに長い時間がかかります。一方で飲食業は、お客さまから「美味しい」「ありがとう」という感謝や喜びがすぐに返ってくるのが魅力です。

 

――― 入学前と開業した後とで「開業」のイメージに変化はありましたか?

開業以前は、営業時間内に自分も休み時間をとれるというイメージを持っていたのですが、開業してみて、自分自身は座ってしっかり休む時間はとれないということがわかりました。座っての食事は朝と帰宅してからの夜のみです。人に食を提供するというのは、そういうことなのだと思います。そして、飲食店は体力的にも、時間的にも大変だなと思います。開業前は見えていませんでしたが、仕込みに、想定以上の時間が必要だと実感しています。

 

――― 在学中「開業サポート」は活用されましたか?

卒業後すぐに、相談しました。佐々木玲(アキラ)講師と宮崎講師に相談させていただきました。

 

――― 「開業サポート」を使用された場合、その感想は?

佐々木講師に店舗の図面を作っていただきました。「開業するにしてもしないにしても、何もないよりも、具体的な図案があったほうが家族間で話がしやすいのでは?」と提案をいただきました。佐々木講師のおかげで、家族に話をもっていくのもスムーズでした。スクールでの学びももちろんですが、「開業サポート」でふたりの講師にいただいたアドバイスのおかげで、話も進めやすくなりました。最終的に、佐々木講師に内装、宮崎講師に店舗開発・商品開発のコンサルタントとして入っていただきました。

 

<卒業後について>

 

――― 開業された経緯を教えてください。

2019年3月末に卒業し、そこからの1年間はほぼ何もしていませんでした。父ががんを患い、家のサポートをしていたので開業からは離れていました。その1年間は、「やっぱり辞めようかな」とも思っていました。やるとしたらお金もかかりますし、自分自身のやる気があるのか、進むか引くかを悩み抜いた1年でした。父の病状も落ち着き、父から直々に「カフェスクールに通っていたけれど、どうするんだ?」と言われ再考することに。現在店舗になっている敷地を使うとなると、両親に引っ越してもらうことになるのも心苦しかったです。家族を巻き込む判断でしたが、最終的には、開業を決意しました。

2020年になってから、佐々木講師と宮崎講師に再度コンサルティングの相談をしました。ちょうど、コロナ禍が始まる頃でしたので「どうする?」とも思いましたが、年齢、気力、体力を総合して、今ここで決断しなければ一生やらないなと思いました。20201月にスタートすると決めてから、宮崎講師に入っていただき、お店のコンセプト作り、店名、何を提供するか?などを決めていきました。工事は202012月に終わる予定でしたが、結果的に20212月になりました。ちょうど、中国から資材がストップするかどうかのギリギリのタイミングでした。

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

<日にち>

2021年326日オープンです。

 

<経営について>

私は三姉妹の真ん中です。「ここか」は()松浦商会が運営しており、妹が社長としてガス部も飲食部も統括しています。私は飲食部の店長を務めています。

 

<店名・コンセプト>

私と妹、宮崎講師で店名を決める会議を行いました。そこで、大切にしているキーワードの頭文字から名付けています。「こ」は麹、味噌、醤油、塩麹、酢、甘酒など和の発酵調味料を大切にしたいという想い。「こ」は苔、父が手塩にかけて育んだ苔。「か」は花、お客さまの心が癒されて花がホッと開かれますようにという願いを込めています。宮崎講師が「麹、苔、花の頭文字から『ここか』はどうでしょう?」と言ってくださったのがキッカケです。

 

<庭>

もともとは、父が造った庭です。父は「苔庭」が好きなんです。若いころから、京都のような庭を目指して、苔を生やしては何度も失敗してきました。何度植えてもつかず、半ば諦めていましたが、「カレーと甘味 ここか」が始まる少し前に、ようやく苔がついたんです!店舗に改装する前は父母が住んでいました。

 

<内装>

最大の魅力は、苔が生える庭です。お客さまに心ゆくまでご覧いただくために、大きな窓を採用しました。デザインの段階から、佐々木講師と私との共通認識として「窓を大きくして、桟(さん)なども入らないようにして苔庭を見せたい」いう想いがありました。

佐々木講師から、比較的早い段階からご提案いただいていたものの、一枚で大きな窓は高価で、家族間でも議論になりました。「そこまで窓に費用をかける必要があるのか?」という判断が求められましたが、大成功だと思います。テイストは和モダンで、天井は高く木の温もりが感じられ、落ち着ける空間にしています。

 

<客層>

20代から80代まで、幅広くいらっしゃいます。特に多いのは、40代後半のお客さまです。SNSでお店を知ってくださる人が多いですね。男女問わずおひとりで来られる方も多いので、入りやすいようです。

 

―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。

フードでは、「骨付きチキンコンフィーの 自家製惣菜カレープレート」(税込1800円)は、リピーターが多く感動してくださるお客さまが多いです。チキンコンフィーがホロホロとくずれます。低温調理されているチキンコンフィーは、嵐山エリアではなかなか味わえないです。ドリンクでは、フレッシュなレモンから仕込む「自家製レモネード」(税込550円)。スパイスをたっぷり使い、すりおろした生姜、甜菜糖で甘みを控えめに仕上げた「チャイ」(税込550円)も人気です。スイーツは、季節ごとにかわるパフェや、フレンチトーストが人気です。

 

―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

原材料費を計算し、30%くらいになるようにしています。原材料費についておおよそで算出しているところもありますが……。また、オープン当初のメニュー開発は宮崎講師にもサポートいただき、原価計算で粉糖も1円単位で算出してくださいました。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

今は慣れてきましたが、開業当初は体力的に大変でした。また、常にお店のことを考えています。精神的にもお店から離れることがなくなったなと感じます。他店の様子を見に行くなど、自分の体験を増やすための時間が取れなくなりました。仕込みにも時間がかかりますし、発注や仕込みにミスがないか、日々考えています。なので、自分をうるおす時間は意識的に捻出しないと取れません。私の場合は、美術展に行くことや野山を歩くことが好きですが、自分を豊かにするための時間は意識的に作らないと確保できません。

これから開業を目指す人、クリエイティブな仕事をして食を発展させようとする人は、自分をリフレッシュさせるための時間を捻出してください。

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。

お客さまが、フードやスイーツを見た瞬間に「わぁ」と驚かれ、「美味しい!」「ありがとう!」という声が聞かれた瞬間に「やった!」と思います。

 

―――― 大変さは、どのようなところでしょうか。

会計事務所とのやり取りなど「隠れた事務」が多いです。ものをつくることだけでなく、事務処理の量が多いので、一人ではとてもできないです。現在、7名のアルバイトスタッフが働いてくれています。

 

―――― 妹さんと経営されているとのことですが、役割分担はどのようにされていますか?

妹はガス部の社長業をしながら、飲食部の手伝いをしてくれます。具体的には、私は、調理や提供を、妹は経理全般、人事、金銭面を担当しています。

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

美しいものに対する「審美眼」は必要だと思います。自分なりの「美」の基準を持っていないと、盛り付けにしても行動にしても、雑になりやすいです。活躍してくださっているスタッフは、ものづくりが好きだったり、衣装デザインをしていたり、お茶やお花を習っていたという人もいます。「これが美しい」という基準を持っている人には、安心して仕事を任せられます。「なんでも食べられるし、口に入れば同じ」という感覚ではなく、「美しい」を感じられるセンスがあると良いと思います。

 

―――― 今後の目標はありますか。

続けていくことです。

ただし、私の年齢的なものもあるので、このお店をどう展開していくかは考えています。私は現在60歳、父は90歳、母は88歳です。介護の問題もあります。このままの状態で働き続けると、父母の介護ができなくなってしまうという懸念があります。オープンして3年が経ちますが、このままの形態で維持すべきか、お店をどのように展開していくのかは考え中です。

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。

もちろん、オススメします!理由は、非常に、具体的であるということです。仮に、開業しないという選択を取ったとしても人生の糧になると思います。レコールバンタンキャリアカレッジに通ったからといって、絶対に開業しなきゃいけないというわけではないと思います。私は授業を通して、食を見る目が確実に変わりました。教育という業界に長くいましたが、食というステージで生きている人たちと繋がることで、食の世界が以前より少しわかるようになりました。

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

やらない後悔よりも、やってみたほうがいいです。具体的に動いてみると、道はひらけますよ。ぜひ、動いてみてください!

 

 

SHOP INFO

カレーと甘味 ここか

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住所:埼玉県比企郡嵐山町菅谷819-2

アクセス:東武東上線 武蔵嵐山駅から徒歩約19

電話:0493-62-5454

定休日:月曜&火曜

営業時間:11:00~17:00 (LO:16:00)

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