22.08.18 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> Pâtisserie ATELIER Rêve de lapin オーナーパティシエ 立川亜由美さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

「ウィズコロナ」の時代。

外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、東京・板橋区にて「Pâtisserie ATELIER Rêve de lapin」を経営する、オーナーパティシエ立川 亜由美さんにインタビューを行いました。

 

 

 

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<在校中について>

 

――――  レコールバンタンのコース名、卒業年次を教えてください。

 

2007年3月に、カフェプロデュース専攻(現在のカフェ&バリスタコース)を卒業しました。

 

 

 

―――  入学時はおいくつですか。

 

高校を卒業し、18歳のときに入学しました。

 

 

 

――――  いくつも専門学校がある中で、レコールバンタンを選ばれた理由を教えてください。

 

お菓子の道に進みたいというのは決まっていましたが、当時は、和菓子が苦手でした。でも、一般的な専門校に通うとなると必ずカリキュラムに入っているんです。

当時のレコールバンタンの1年次は「フィールドセレクトコース」といって、フード、アルコール、パンなど総合的に学べるカリキュラムで魅力を感じました。

飲食の中でも幅広いジャンルを見られますし、2年次に専門性を高めたい分野に進めるのもいいと思いました。

 

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

 

自分のお店を持ちたいとは、思っていました。お菓子が好きで、家で本を見ながら作ることもありましたね。

レコールバンタンで幅広く勉強したことで、カフェ全体が好きだなと視野が広がったと思います。

入学前から明確に「こういう技術を身に付けたい」などはなかったように思います。

 

 

 

――――  レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

 

もちろんあると思います。逆に、今となっては「もっとちゃんと勉強しておけばよかっ た!」と感じることも少なくありません(笑)。

メニュー開発やABC分析などマーケティングを学んだことが開業時にも役立っています。

技術は働けばいくらでも身に付きますが、そうした基礎知識は、職場に入ったら教えてもらえません。「もっとノートにまとめていたら」「積極的に聞いていたら」と感じます。

 

 

 

――――  印象的だったイベント、販売実習はありますか。

 

代官山校舎で、チームに分かれてカフェ運営を行いました。コンセプトを決め て、メニューを決めて、原価計算をして開業と同じ流れを体験できました。

クラスメイトと一緒に作るのが楽しかったと記憶しています。

 

 

 

――――  在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

 

製造・販売・ホールなど色々な職種を経験しました。

始めは、テーマパークのレストランでキッチン業務につきました。その後は、学校の友人と近くのカフェで一緒にホールのバイトをしたり渋谷のデパ地下にある、洋菓子メーカーでの販売、更に2年生の終わりには掛け持ちでお台場のドッグカフェで、パティシエとして働きました。

 

 

 

<卒業後について>

 

―――  卒業後のキャリアについて教えてください。

 

卒業後は、インテリアショップが手掛ける六本木ヒルズのカフェで働きました。パティシエ希望として入りましたが、パティシエのポジションに空きがなく、空きが出るまでは ホールとして働いていました。ですが1年経たないうちに業績不振で潰れてしまったんです。結局パティシエになれないまま終わってしまいました。

その後2008年に、武蔵小山の『パティスリィ   ドゥ・ボン・クーフゥ』に入社しました。初めは前職で、長く販売員として働いていたこともあり、お店がデパートに出店するタイミングでもあったので、百貨店の販売員を務めました。ですが、比較的早い段階で、製造に入らせてもらいました。

 

 

 

――― その後はどのように?

 

レコールバンタン在学中に、フランス研修で1週間ほどパリへ行きました。「もう一回行きたい」と思っていて、渡仏のお金を貯めて、2009年にフランスにワーキングホリデーで渡りました。1年就労できるビザです。

レストランでパティシエになる話をつけて出発したのですが、働けると思っていたレストランから「先日、他の日本人を雇うことにした」と到着した日に連絡がありました。

1カ月はホームステイで、現地の語学学校に通いながら、職を探しましたが、慣れない土地で 22、23歳だったのでメンタルをやられちゃったんです。

今みたいに、SNSも普及していませんでしたし、完全にホームシックになってしまいました。また仕事があるのも地方が多く、知らない国でさらに地方に行くことにも不安を感じてしまいました。語学学校は卒業しましたが、心が折れてしまい帰国しました。

 

 

 

―――  帰国後はどうされたのですか。

 

レコールバンタンの同級生が、結婚式会場で働いていて「ウチの会社で働かない?」と 誘ってくれたんです。結婚式のパティシエに憧れていた時期もあったので即答し、結婚式場で2年ほど働きました。キャリアとしてのお店は、ここが最後です。現在の夫と出会って結婚し、二人の子供を出産しました。

 

 

 

 

―――  ウエディングの会社ではどのようなお仕事を?

 

デザートブッフェに出すようなケーキを作っていました。コースのデザートや、下見に来られた方にお出しする「試食会」用のデザートを作ることも多かったですね。

 

 

 

―――― ご自身のキャリアを振り返って、いちばん好きだったお仕事は?

 

結婚式場のお仕事がいちばん好きだったなと思います。アルバイトでしたが、信頼してくださり、いろいろなことにチャレンジさせてくださいました。パティシエ長も良い人で、上下関係はしっかりしていましたが、フレンドリーな雰囲気でした。

お客さまを間近に感じられたのも良かったです。特に、結婚式のフェアーは、お客さまに自分の想いを直接伝えられることもあり、「合っているな」と思いました。

 

 

 

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―――― 開業された経緯をお教えください。

 

結婚式場の仕事は大好きでしたが、つわりがひどく、仕事を続けるのは難しかったです。

専業主婦になってからもケーキはよく作ってはいましたが、「会社に入って作りたいな」ということも感じていました。

 

下の子が幼稚園に入るタイミングで、パートに出ようと思い、近所の洋菓子メーカーの工場で働くことに。

主婦が多い職場なので融通もききます し、「子どもに寂しい思いさせないなら、家事と両立できる」と働き始めました。

 

そこで、それまで真正面から取り組むことを避けてきた「ナッぺ」をすることになりました。工場なんですが、スイーツは全て手作業で仕上げるんです。

試練だと感じましたが、自分ができないことに挑戦する機会でした。数をこなすうちに、「技術が前より上がってきたな」と思いました。

 

しかし、一方で自分が機械化していくような感覚もあり「一体、誰の為に作っているんだろう?」と疑問が湧くように。

ケーキを作るのは好きだけれど、「作業」が好きな訳ではありません。誰かが喜んでくれて初めて意味があります。

そのとき に、ずっとやりたいと思っていた、自分のお店をやるしかないと思いました。

 

 

 

――― そこから開業までの道のりは?

 

夫は、元職場の上司なので、結婚するときからいつか開業したい!と自分の夢を話していました。

当初は、知人の駐車場スペースを借りて、コンテナを置いて開業しようと計画していました。家を建てるより経費が抑えられますし、レコールバンタンの講師にも相談していました。

 

しかし、「家をリフォームしてお店にすれば家賃がかからないし、家族と過ごす時間も確保できる。地域密着型でいいのではないか」と考えました。

ご近所さんたちも、すごくいい人ばかりで開業に賛同してくださいました。

 

 

 

――――  オープン日を教えてください。

 

2021年の9月28日です。

 

 

 

――――  開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりをお教えください。

 

<コンセプト>

 

店名はフランス語で「ウサギの夢」という意味です。

ウサギの夢は幸運が訪れる吉夢と言われていて、私自身子どもの妊娠が分かる前に、偶然にもウサギの夢を見ていたんです。

不思議なことに、一人目のときも二人目のときも。本当に幸せのシグナルだなと感じましたし、自分の作ったお菓子を食べて幸せになってほしいという気持ちも込めてこの名前にしました。

 

 

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<内装>

 

レコールバンタンキャリアカレッジの佐々木講師に相談しました。

 

 

 

<客層>

 

ファミリー層を想定していました。お客さまは、この地域に住んでいる30代、40代、年配の方が多いです。

オーダーケーキ(いちばんシンプルなタイプ・3000円税込~)は、誕生日に注文してくださる方が多いですね。

 

 

 

――――  いちばん売れているのは

 

商品は、焼き菓子とケーキがメインですが、特に人気なのは、チーズケーキ(600円 税込)です。

「初めて食べるタイプのチーズケーキ」というご意見が多く、リピーターが多いです。

「普段はお菓子を好まない旦那さんがチーズケーキを気に入った」と毎週買ってくださる方もいます。

 

あとは、オーダーケーキを始めたらニーズとマッチしました。ショートケーキ、ムース、タルトなど幅広く対応しています。

『Pâtisserie ATELIER Rêve de lapinのケーキを買ったら、いつもはケーキを食べない子どもが喜んで完食してくれた』など、普段はあまりスイーツを食べないけれど好きになった、というお声をいただくと嬉しいですね。

 

 

 

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――――  「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

 

難しいです。妥当か分からないところはありますが、高すぎず、特別感がある設定にしています。手の届きやすい金額になるよう心がけています。

 

 

 

――――  開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

 

三つあります。まず、一人で全ての仕事をやっているので、単純に体力的な限界がありました。

 

もう一つは、これまでは組織の一部でしたが、お店のコンセプト、メニュー、金額の設定まで、全て自分で作りこみ、SNSを使って日々発信していくこと。

お客さまとは、 SNSのDMでやり取りをするので、家事をやりつつ、隙間時間を見つけて連絡を取っています。

毎日営業している訳ではないのですが、土日も含めて完全な休みがありません。

 

最後は、味の面で納得がいかずロスを出すことが多かったです。試作をして、家族が美味しいと言っても自分が納得していないと出しませんでした。

作ったけれど捨てなきゃいけないときは辛いです。でも、満足していないスイーツを出す訳にはいかないので致し方ありませんね。

 

 

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―――  家事とお仕事の両立については、どのようにされているのですか。

 

どうやったらお客さまにも愛されて、自分も納得する形で営業できるかは今も手探りです。

 

 

 

―――  オープンされて、大変だったことは?

 

9月にオープンし、すぐにクリスマスが来ました。マイペースでできたらいいなと思っていたのですが、「板橋タイムズ」の編集長が取材に来てくださったんです。

サイトに記事が掲載されたら、注目度が上がり、影響がすごく大きかったです。SNSフォロワーが一気に増え、来客数も増えました。

とても嬉しいのですが、自分のできる範囲とバランスが取れず「どうしよう」と慌てましたね。すぐに商品が売り切れてしまう日があり、お客さまには平謝りでした。

 

製菓業界はクリスマスがいちばん忙しいシーズン。たくさんの予約が入り、私自身断れない性格なので、出来る限りのことはしようとほぼ寝ずにたくさんのケーキを作りました。

疲れが顔に出ていたのでしょう。周りに「ちゃんと寝てる?」と友人や常連さんが心配してくださり、有り難いことに栄養ドリンクや癒しアイテムを差し入れしてくださいました。

 

また、夫の提案で「年末年始だからこそ甘いものが食べたくなったりする。お家にいる人も多いから喜んでもらえるのでは?」ということで、12月31日と1月1日も営業しました。

主人も手伝ってくれならとチャレンジしましたが、想像以上のお客様が来てくださいました。どれも、大変と言えば大変でしたけれど、苦ではなくやりたいことができているという感じで達成感も大きかったです。

 

 

 

――― 喜びはどんなときに感じますか。

 

若い頃は苦手な仕事からうまく逃げてきました(笑)。でも、自分で開業すると、これまでにしたことがないことも「試練」として挑戦できました。

例えば、アイシングクッキーはほとんど作ったことがありませんでした。でも、お客さまから「作れないか?」と相談されると、できないことはない!

前向きに、お客さまにチャンスもらったなと考えるようになりました。避けたり、やってこなかったりしたことも、ぶつからなきゃいけない。

 

製造の過程では、プレッシャーに襲われて泣くこともあります。睡眠時間を削って、何度も直すうちにできるようになり、自信を持って作れるように。

そうすると、頑張った分だけ喜んでもらえ、お客さまに喜んでもらえると、「良かったな」と心から思えます。

頑張った分、技術が身に付きますし、同じオーダーがきたときにより良いものを作れます。オープンしてすぐは辛かったですし自分の実力の無さに何度も泣きましたが、日に日に成長を感じられます。不安と葛藤を抱えながら、チャンレジして喜んでもらえての繰り返しです。自分が強くなるしかないのかなと思います。

 

 

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―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

 

できるようになるまでの過程ですね。例えば、オーダーケーキも何度も一律のデザインにしちゃおうかな、と思いました。

カタログを作って、誕生日ケーキはこの中から選んでください、というシステムにすることは簡単です。ただ、原点に立ち返ったときに、私がやりたいのは「工場的な作業」ではありません。

誰のために作っているかをイメージし、オリジナルでお客さまの欲しいものを作ること。なので、価格帯やサイズこそ決めていますが、アイシングクッキーを添えたり、フルーツを変えたり、苦手な食材は避け、好きなものは足したりしています。お客さまに寄り添いたいから、手間はかかっても、そこは妥協せずに続けたいです。

 

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

 

個人開業するなら、スキルは絶対に必要です。私がそうだったように、働いていけばスキルはいくらでも補えると思います

もう一つは、「何のためにやるのか」を忘れないこと。私の場合は、「お客さんが喜ぶスイーツを作りたい」という想いがあります。

忙しさやコロナの問題、経済面など予期せぬことは起こると思います。でも、「何のためにやるのか」はブレないほうがいいです!

大事にしているのがうやむやになると、自分自身も辛くなってしまいます。

 

 

 

―――  今後の目標はありますか。

 

現在はパティスリーですが、軌道に乗って資金が自由に使えるようになったら、第二号店を出店したいですね。

夫が料理人なので、料理、飲み物も提供したいですし、イートインスペースを設けたお店を持ちたいなと思います。

 

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジ/レコールバンタンへの入学を検討されている方に、レコールバンタンはオススメしていただけますか。はいの場合、理由を教えてください。

 

他の学校に通っていないので、他スクールとは比較できないですが……友だちとは、卒業してからもずっと繋がっています。

同じ目標を持って過ごしたメンバーなので、お互いがどんな状況であっても相談したり、何気ない話をできたりします。大事な仲間に恵まれたなと思います。

 

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

 

やらないで後悔するよりもやったほうがいい!頭で考えていても分からないことが多いと思います。

同級生にも、お菓子に興味があって入ったけれど、結果的にパンの道に進んだ人もいます。

学校に通わず働いて経験するのもアリですけど、働いちゃうと基礎は教えてもらえません。専門校に行くことで、丁寧に教えてもらえるので幅が広がると思います。

 

飲食業界はジャンルがいっぱいあるので、本当にその分野にいきたいのかも見極められます。あと、いちばんは仲間が大事だと思います。

専門校時代の友だちがいることで、気持ち的にも強くなれると思います。

 

 

 

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<SHOP INFO>

Pâtisserie ATELIER Rêve de lapin

@reve.de.lapin

東京都板橋区前野町4

土日祝日メイン10:00〜17:00

オーダーケーキは店頭及びDMで予約可能

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