22.03.25 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>chocolicious cafe&sweets オーナーパティシエ 谷島章子さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。

外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?

 

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、「chocolicious(ショコリシャス) cafe&sweets」オーナーパティシエ 谷島章子さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2008年4月にカフェ専攻(現:飲食店開業コース)に入学し、2009年3月に卒業しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

20名前後だったと思います。週1回、土曜日に通学していました。茨城県から高速バスと電車で通学していて、2時間半かかっていました。

 

 

―――― 入学時は何歳でしたか?

1982年生まれなので、当時25歳、卒業時26歳でした。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください

料理が趣味である夫のススメで入学しました。彼の両親が洋食屋を営んでいて、いつかは自分もお店をやりたいという夢を持っていました。

ただ、彼は仕事もしていましたし生活を維持しないといけないので、であれば私が代わりに学びに行ってみようか?というところから始まりました。

ふたりで一緒にレコールバンタンキャリアカレッジへ見学に行きまして、週1日で集中して学べる点、プロフェッショナルな講師に学べる点がいいなと思いました。当時、子どもが未だ小さかったので週末なら夫に見てもらえますし、育児と両立できるのではないかと思い入学を決めました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

カフェ開業に関する基礎的な知識と、調理技術を身に付けたいと思っていました。

 

 

―――― 印象的だったプロフェッショナル講師は?

経営学を担当されていた講師が当時数店舗のカフェを経営されていたので、純粋に「すごいな」と尊敬していました。また、授業の一貫として、営業前に恵比寿「アナログ カフェ ラウンジ トーキョー」に見学に行き現場の実情を教えていただきました。

あとは、調理の船木講師です。型にとらわれないオリジナリティがある講師で、チキンソテーやパン作りを習いました。

ドリンクは、「エノテカバール プリモディーネ」を経営するバリスタ篠崎講師。今でこそラテアートは認知されてきましたが、12~3年前、ラテアートはとても珍しくて。目新しかったですし、ハートや動物を作ってくれて技術の高さに感心しました。カフェクラスだったので、他にもショコラのケーキ、ババロアなどのスイーツメニューも教わりました。

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることは?

プロフェッショナルな講師の方たちなので、現場のリアルな意見が聞けると感じます。例えば、厨房設備、機器の選び方では「フライヤーは、導入しても物置きになってしまいがち。そのスペースがあるなら食洗器を導入したほうがいい」とか。私たちも当初居抜き物件でカフェとして営業していたのですが、もともとあったフライヤーは蓋を閉めて作業台として使っていました。

また、調理の部分でいうと船木講師の「マヨネーズやドレッシングは既製品に頼りがちですが、簡単に作れるし他店との差別化をはかれます」という何気ない一言も新鮮でした。ランチメニューを提供していたときは、ドレッシングも手作りしていてお客様の中には「ドレッシングがとても美味しい」と気に入って通ってくださる方もいました。

 

 

―――― 印象的だったイベントや販売実習などはありますか。

卒業する少し前に、校舎にて一日限定のカフェを運営しました。

0からランチメニューを考えて、原価計算をして。一般のお客さまもいれて、誰がどのメニューを調理するのかというオペレーションを決めて行いました。とても楽しかったですね。五味講師の授業で教わったものを具現化できましたし、実践的な取り組みだったなと思います。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

高校時代にパン屋さんでのアルバイト経験はありましたが、洋菓子についてはまったくの未経験でした。

そこで、地元・茨城県神栖市の人気洋菓子店に就職するため、面接に行きました。

モチベーションを保つために、あえて2年間という期限を設けて「修行させてください。未経験ですが、いずれは開業するつもりです」と伝えました。

オーナーがとても教育熱心な方で、「明日から働きに来ていいよ」と言ってくれて。また面接終わりに「工房を見学してく?」と誘ってくださり、既に先輩方が仕事をされている中で、「明日から働きに来る谷島さんです。いずれ自分で店を開く予定だからよろしくね!」と紹介してくださって(笑)それまで、洋菓子にまったく触ったことがなかったのですが、もう後には引けないという感じになりました。

仕事では、計量、焼き上げ、ムースの製造、ケーキの仕上げに至るまで、ひと通りいろいろな仕事を担当させていただきました。また就職して1年目頃からは、休憩時間を利用して

オーナー夫婦にはよくランチへ誘っていただき、実際に繁盛店へ足を運ぶことでなぜ支持されているのかを知る機会をいただきました。

また、「開業の準備はどうなってるんだ?」とこまめに声をかけてもらうことで、勢いを失わずに準備を進めることができたと思います。

レコールバンタンキャリアカレッジでは、開業や調理に関するノウハウを、洋菓子店ではお菓子の技術を習得できたことは、今でもすごく役立っていると思います。

 

 

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<卒業後について>

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<オープン日>

2010年8月です。

 

<店名>

「chocolicious cafe&sweets」です。

ショウコとデリシャスを合わせて名付けました。アルファベット表記なので、時々お客さまから、「チョコレート屋さんなの?」と間違われることもありますが(笑)。店名は、すぐに決まりましたね。

 

<コンセプト>
最初はカフェで、スタートしました。夫の父に教わったオリジナルソースのタコライス、ハンバーグやパスタなども提供していました。また、スイーツ、ドリンクの販売もしていて順調でした。

ある時、自家製キャラメルソースを使ったパンケーキが人気になりました。特段、意識して作ったメニューではなかったんですが、「パンケーキブーム」の流れと重なったんです。お客さまから「パンケーキ屋さん」という認識になっていき、週末は、入店待ちの行列ができるように。夫婦ふたりで切り盛りしていたので、注文を受けてから焼き上げるため時間がかかります。ランチメニューも仕込んでいたので、パンケーキの提供との両立がとても難しかったです。

 

<場所>

銚子市はテレビなどでも取り上げられる観光地で、自営業をしている方が多いエリアです。お店も多く、都会からのアクセスも良いため観光で訪れた方々の集客もできます。

自宅は、利根川をはさんで隣の茨城県神栖市にあります。お店まで車で5分ほどの距離なので通勤もしやすいです。

また、居抜き物件だったので、あらかじめ厨房機器が揃っていたのも魅力です。路面店で、知人の紹介だったこともあり家賃の交渉もしやすかったです。

 

<内装デザイン>

以前は、和食屋さんが入っていました。全体的に暗く落ち着いた内装だったのですが、思い切って真逆の白くて明るい内装にチェンジしました。工事コストを抑えるために、自分たちでペンキを塗りましたが、上手に塗れなかったりするのが逆にアンティークのような味わい深い雰囲気になりました。シャンデリアをつけ、全席ソファー席にすることで家のように寛いでいただけるような空間にしました。

 

<ロゴデザイン>

地元の印刷屋さんにお願いして、ロゴを決めました。「アンティークの雰囲気」でお願いし、何パターンか出していただいた案の中から選びました。

 

<想定していた客層>

立地が市役所裏なので、市役所の職員さん達を中心とした、近隣のOLさんが

集客できるのではないかなという期待はありました。

実際は、10代など若い世代から、お年寄りまで、幅広い層に来ていただいています。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

まず、オープン当初、お昼の混雑する時間帯に、夫婦ふたりで切り盛りするのが難しかったです。ランチタイムのピークがこなせず、「大変だな」と感じました。ランチメニューも、レトルトなどには頼らず手作りにこだわりたかったのと、なおかつ時短で出せるものをと、夫婦で試行錯誤して考えました。

もうひとつは、東日本震災があったので、立て直しにとても苦労しました。利根川の下流に位置するため、津波の影響でお店が浸水してしまい、ライフラインの復旧は早かったものの、修繕するのに1カ月ほどかかりました。特に保険にも入っていなかったので、自分たちで清掃しました。また、世間の自粛ムードからお客さまがいらっしゃらない状態が続き、売り上げが戻るまで時間がかかり大変でした。開業にあたり日本政策金融公庫からの借り入れもありましたが、復旧までの間は利息のみの返済に切り替えていただき、どうにか乗り切ることができました。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。

実は新型コロナウィルスが流行する1年ほど前に、カフェからスィーツ専門店に業態をチェンジしました。前職で働いていた洋菓子屋さんでのノウハウもあり、開業当時から販売していた「タルト」をもっと打ち出していこうと。タルトもまたパンケーキと並ぶほど人気を誇っていたので、スィーツ専門店に業態を変えるタイミングで、思い切って大きなショーケースを購入しました。今現在、店内飲食は営業しておらずテイクアウトだけに絞っていますが、イートインからテイクアウトという業態の変更もすんなり割とスムーズに移行できたと思います。コロナ禍で、お客さまも店内というよりはテイクアウトという流れが強いと感じます。

 

 

―――― 特にオススメのメニューは?売れ筋はどの商品ですか。

旬のフレッシュフルーツを使ったタルトがいちばん人気です。今の季節は、苺のタルト(ワンカット、税込600円)がオススメです。朝採れたばかりの、みずみずしいイチゴを使っています。

受注製作のホールケーキ、こちらも好評です。メニューは3000円から、使用するフルーツやサイズによて価格が変わります。旬のイチゴタルトは5500円で販売しています。

 

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―――― 値付けは、どのように行いましたか。

価格設計は難しいですね。

イチゴのタルト600円。都心からの観光客の方からは「この値段でこんなにフルーツのっているの?」と言われることが多いです。ですが地元では、相場よりは少し高めかもしれないです。ただ、価格を落として質を落とすよりも、良質で美味しいものを提供したいという想いがあります。

差別化をはかるという意味では、自分へのご褒美や特別なとき、また大切な方へプレゼントしたいときに選んでいただけているのかなと感じます。

 

 

――― 仕入れはどのように行っていますか?

生クリーム、バター、小麦粉などは地元の卸売り業者さんから仕入れています。アーモンドプードルは、送料を払ってでもネットで買ったほうが割安なので仕入れ先は分けています。

洋菓子屋さんで仕事をしていたので、そのツテで業者さんを紹介してもらい、スムーズに取引することができました。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

食品を扱っているので、「美味しい」と言われるのが純粋にいちばん嬉しいです。あとは、噂を聞いて来て下さったり、遠方からはるばる足を運んでくださったり、「知り合いにもらって美味しかったから来ました」と言ってくださるのも全部光栄です。ケーキを買ったばかりのお客さまが、2-3日後にまたすぐリピート買いしてくれた時も嬉しいです。

あとは、人と人の繋がりですよね。実はこの卒業生インタビューの取材はレコールバンタンの中島誠講師が、たまたま当店に立ち寄ってくれたこともキッカケになりました。その時は、夫が対応していたんですけれど、話をしていくうちに、レコールバンタンの講師だということが分かって、とても驚きました。

コロナ禍以前は、都内でポップアップショップを開くこともありました。焼き込みタルトをバトン状にカットした当店オリジナルのお菓子「ばとん」の販売を行っていたんです。東京のポップアップに来てくれたお客さまが、たまたま銚子に観光で訪れ、偶然にも来店し、「あれ?これ東京で販売してませんでした?」なんて、驚きの再会もありました。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか?

悔しい想いをするときはあります。例えば、私一人で製造を行っているので、お客様がせっかく来店してくださっても、商品が間に合わずチャンスロスしてしまうことも。もっと売り上げに繋がったのかもしれない、販売の機会を失ってしまったというときは悔しいです。

あとは、バターなどの乳製品、小麦粉といった製菓には欠かせない材料の値上がりです。売り上げと、仕入れにかかる費用。そのバランスが難しいと思います。商品の値上げはなるべく避けたいので大きな課題の一つです。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルとはどのようなものだとお考えでしょうか?

安定した商品を製造・提供する力。特にプリン、シュークリーム、シフォンケーキなどシンプルな商品ほど難しいです。

シフォンケーキは、スランプに陥ったこともあります。これまで満足に焼けていたものが、突然商品として満足に焼きあがらないときもありました。原因が分からず悩みましたが、プロとして安定したものを提供していくスキルはとても重要です。

もうひとつはフットワークの軽さ。常に動いて、立ち止まらない、そしてチャレンジする力です。

 

 

――― 今後の目標は?

やはり東京進出。レコールバンタンキャリアカレッジに通っていたとき、当時1歳だった息子が、この春に高校生になります。3年後には進学または就職して社会人となります。

子育てがひと段落するタイミングで私たち夫婦も東京でお店をやりたいなと思っています。今は不動産会社や東京都の地元をよく知る青年会の皆さんが開催するセミナーなどに参加したりと、少しづつ準備を進めています。なんでもチャレンジすること、思い切ってやってみることが大切だと思います。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメされますか?またどのような点でオススメですか。

先ほども申し上げた通り、教えてくださるのがプロフェッショナルの講師なので、開業に際して役に立つことが多かったです。

また、週1日、週末に学べるのでスケジュールも社会人や育児をされている方でも両立しやすいと思います。

 

 

―――― ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

「チャンスはみんな平等に転がっている。掴めるか掴めないかはその人次第」

今から始めるのか、それとも後回しにするのか。チャンスを掴める人はすぐに行動できるフットワークの軽い人だと私は思います。やらないことにはチャンスも掴めません。

一番は、とにかくやってみること!皆さんもまず一歩踏み出してみて。新しいことに、とにかくチャレンジすることが大切です。

 

 

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<INFO>

chocolicious cafe&sweets

0479-26-4678

千葉県銚子市大橋町3-4 辻野ビル 1F

12:00~18:00

定休日:水曜

@chocolicious_cafe_sweets

online store: chocolicious.stores.jp

 

 

 

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