22.01.14 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>自家焙煎珈琲 TAKA COFFEE STAND オーナーバリスタ 市川貴彦さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。 外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか? 最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、武蔵浦和「TAKA COFFEE STAND」オーナーバリスタ市川貴彦さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2017年4月にバリスタコースに入学し、半年間で2つのコースを同時に受けました。

ひとつは焙煎に関するローストコース、もうひとつはバリスタコースです。

 

 

―――― 入学されたときはおいくつですか?

49歳のときです。

 

 

―――― 授業のスケジュールは?

日曜日のクラスでした。朝9時からまる1日かけて焙煎、ドリップの抽出方法などを学びました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。

17から18名です。

 

 

―――― 入学された経緯を教えてください。

もともと、コーヒーが好きだったんです。ずっと自分のコーヒー店を開くのが夢でしたが、子どもがふたりいるので、彼女たちが成人するまでは待とうと考えていました。下の子が大学2年になり資金も貯まってきたし、そろそろ自分がしたかったことを実現しようと考えました。

父も、浅草で喫茶店を営んでいました。80歳まで現役で働いていましたが、子供心に「忙しそうだし大変そうだな」と思っていましたね。

 

 

―――― なるほど。それまではどのようなお仕事を?

板金溶接の仕事をしていました。厨房器具など、大手では引き受けるのが難しい特殊なものを扱うことが多かったです。30年ほどやっていましたね。溶接の仕事に後ろ髪をひかれるというのはまったくありませんでした。目も疲れますし、やり切ったという思いと家族を養うための仕事という意識も強かったので。2017年11月に開業しましたが、9月まで板金の仕事は続け、自己資金を貯めていました。

 

 

―――― ご両親からコーヒーの技術を習う、ということは考えなかったんですか?

まったく考えていませんでした。父が提供していたのは昔のコーヒーですしね。場所も下町なので、高齢のお客さんが多かったです。

ただし、実家の場所を使うかどうかは悩みましたが、毎日浅草まで通うのが大変だなと思い、現在の場所を活用することになりました。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください

当初は、コーヒーに関する単発のセミナーなどに参加していました。ただ、セミナーだと時間がかかってしまうので、いっぺんにまとめて教えてほしいと感じていて。仕事をしていない方や、時間に余裕がある方ならばいいのかもしれませんが……。

検索していたところ、レコールバンタンキャリアカレッジが出てきたんです。電話をして、妻と一緒に代官山・レーヴ校舎に見学に行きました。

2016年12月だったと思います。そのときに、バリスタの篠崎講師が体験レッスンでカフェラテを淹れてくれました。妻が飲んで「すごく美味しい」と感激していました。12月だったのでクリスマス仕様のラテアートもしてくれて。その美味しさと気遣いが決め手になりました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

開業するためのスキルを身に付けたいと思いました。受講生のなかには、趣味として通う人や、コーヒー業界で働きたい人などもいると思いますが、僕は「開業するための知識、技術をちゃんと覚えなきゃ」という気持ちでした。

2017年4月に入学し、6月くらいからは受講と同時進行で店舗を建て始めました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

篠崎講師、伊豫谷講師。ふたりとも、フレンドリーで話しやすく、教え方も良かったです。

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることは?

焙煎の仕方、コーヒーの抽出など細かく教えていただきました。コーヒー店に勤めていたわけではありませんが、0から開業することができたのはレコールバンタンキャリアカレッジで学んだおかげだと思っています。

例えば、焙煎では、理論を学びますが「俺の考え方とは合わないな」と感じることも、正直ありました(笑)。ただし、それも講師が考える一つのやり方として「こういうやり方もあるんだな」と参考になりますし、自分の手法を確立するキッカケにもなったと思います。

 

 

―――― 印象的だったイベントや販売実習などは?

僕が学んでいるときは、ありませんでした。

 

 

―――― これまでに、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

高校生のときに、レストランの厨房で洗い物を担当していたくらいですね。

 

 

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<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯について教えてください。

49歳のときです。勢いです。いつまでも考えても仕方ないと思い、レコールバンタンキャリアカレッジに通いながら準備を進めていました。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<オープン日>

2017年、11月にオープンにしました。

 

<店名>

SWEET COFFEEなど……いろいろ考えたけれど、忘れてしまいました。シンプルで分かりやすい店名がいいと思い「自家焙煎珈琲 TAKA COFFEE STAND」としました。

 

<場所>

もともとは駐車場だった場所に、現在の店舗を建てました。隣は住まい兼店舗になっていて、妻が、「天然酵母パン教室&ベーグルショップvivant」を経営しています。

 

<コンセプト>
美味しいコーヒーを作り、提供すること。堅苦しい感じではなく、親しみやすい空気感を大切にしています。

 

<想定していた客層>

地域密着なので、近くに住んでいる人、働いている人に来てほしいですね。実際、そういう方が多いです。

 

<店舗デザイン>

費用を抑えるため、地元の工務店を探して見積もりを取り、依頼しました。2階建てになっていて、階段をのぼると、客席、焙煎機、オープンカウンターが1フロアに揃った造りです。

 

 

―――― 特にオススメのメニューは?売れ筋はどの商品ですか。

ブラジル、ホンジュラス、エチオピアの豆をブレンドした「Takaブレンド」(コーヒー450円、ビーンズ100g 700円)は、中深煎り人気ですね。ミルクを入れずに飲んでもらうことを想定しています。

あとは、カフェラテ(450円)です。コーヒー豆も、「ケニア」(550円、ビーンズ100g900円)、「ブラジル」(500円、ビーンズ100g750円)など合計12種類を揃えています。

 

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―――― ドリンクの値付けは、どのように行いましたか。

一般的な東京の相場と、埼玉の武蔵浦和とでは違うと考えています。豆も少しだけ地元価格で、安く設定するようにしていますね。

 

 

―――― 豆は仕入れ

4~5社の商社から買っています。商社さんから、営業で来てくれる人もいますし、「SCAJ」(ワールド スペシャルティコーヒーカンファレンス アンド エキシビション)という展示会で探しました。

判断基準は、とにかく美味しさです。ウチは、価格を安くしたから売れるというわけではありません。今、生豆の仕入れ値が少し上がっていますが、多少の価格変動は気にせず、クオリティー、味を重視して購入してくださる方が多いです。

 

 

―――― 豆の売れ筋は?

取り扱っている豆は、均等に売れている印象です。

何回も来ている人は自分が欲しいものを分かっていますが、初めて来た人にはカウンセリングをしてからご提案しています。最近は、深煎りの人気が高いですね。

また、カフェ3店舗、美容室に豆の卸を行っています。B to Bの取引も、増えてきています。

 

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―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

1年目は、お客さんが期待していたほど来ませんでした。ただし、あまりネガティブに考えず、徐々に変えていきましたね。

今は、2日に一回はSNSで発信するようにしています。特に若い人が見ていると思うので、コーヒージェラートとか新メニューなどをアップしています。お客さんからも、「SNSに一杯アップしているね」と言われますし、インスタをキッカケで来てくださる人も多いです。

どんな仕事でもそうだと思いますが、大変なことを苦労と思わないことが大事なんじゃないでしょうか。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。

換気をしないといけないので、1階の扉を常に開けっ放しにしました。すると、お客さんにとっては、扉を開けるひと手間が省けて入りやすくなったようです。以前よりも、2階まで気軽に上がってきてくれる人が増えたように思います。

もうひとつ、コロナが本格的に流行する前まで、フードメニューもやっていました。ですが、2020年の1月頃にフードメニューの提供を辞めました。10分ほどかかってしまいますし、豆だけ購入しにくる人は、すぐに欲しいですよね。店内も何人か座ったら一杯になってしまうので。コロナ禍をキッカケで辞めましたが、人の流れも良くなったので結果的には良かったと思います。また、提供もマグカップではなく紙コップだけにしました。

滞在時間も、お喋りしたい方、PCを使用される方にも目安は1時間を目安にとお願いしています。そうした小さな変更が良い方向に作用し、お客さまの層も、コーヒー好きな人が来てくださるようになりました。

 

 

―――― どのようなフードメニューを提供されていたんですか?

vivant」のベーグルを使ったメニューで、あんバター、はちみつバターなど3種類を提供していました。今は、購入したベーグルの持ち込みができるようにしています。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

シンプルですが、「美味しかった」と言ってもらえること。

あとは、地域密着の人たちに支えられているなと感じます。例えば、ホームページを作ってくれたのもご近所さんですし、今日着ているコーヒー豆のワッペンがついたパーカーも常連さんが作ってくださったもの。嬉しいですよね。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか?

太ったら、レジ下のドアがくぐれなくなるから、そこは気を付けないといけません(笑)。好きだから、大変だとか苦労だとかは感じないですね。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルとはどのようなものだとお考えでしょうか?

とにかく自分の頭で考えろと言いたいです。思ったことをやってほしい。開業したら、誰かがどうにかしてくれる訳ではありません。自分で伸ばしていかなきゃいけない。予定していた通りに物事は進んでいかないと思いますが、そこも覚悟したうえで、やりたいことを形にしていってほしいと思います。

僕自身も、開業した1年目よりも、収入は増えています。コロナを機に、メニュー、提供方法、までたくさん考えました。ウチは駅前の立地ではないですが、少しずつ工夫して今の形になりました。お客さんは徐々に増えていくものだと思います。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願いします!

とにかくやってみてください。入学することで、一歩進んでいると思います。

今日も、レコールバンタンキャリアカレッジの同級生が差し入れを持って来てくれました。いい出会いもあるし、決してマイナスにはならないと思います。卒業して4年経っても、クラスや講師との繋がりもあります。

 

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<SHOP INFO>

https://taka.coffee

@ takacoffeestand

埼玉県さいたま市南区沼影1-25-12vivant隣り2F

営業時間:9時〜18時

定休日:月曜日

090-3695-1060

 

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