23.01.20 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> Cafe&Bar TerraCotta 共同代表・バリスタ 小谷 翔平さん

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ウィズコロナの時代。

外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、東京・神田にて、会社の元同期である寺内さんと共同で「Cafe&Bar TerraCotta」を営むバリスタ小谷 翔平さんにお話をうかがいました。

 

 

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<在校中について>

 

 

―――― レコールバンタンでのコース名、卒業年次を教えてください。

 

2017年12月まで会社員をしていましたが、飲食業界で働きたいと思い退職。いずれは独立・開業したいと思っていました。

2018年4月に、1年制カフェバリスタコースに入学し、2019年3月に卒業しました。

僕は、社会人向けレコールバンタンキャリアカレッジではなく、全日制の「レコールバンタン」の卒業です。

 

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

 

週3日のコースでした。クラスは25名ほどです。

 

 

 

―――― レコールバンタンを選ばれた理由を教えてください。

 

同世代が多く、学びやすい雰囲気だと感じました。コーヒーについてはまったく知りませんでしたが……。

 

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

 

他のスクールも検討したものの、候補ではありませんでした。レコールバンタンは、バリスタ・篠崎講師が親身に話を聞いてくださり、学ぶ様子がイメージしやすかったです。

入学したのは、24歳のときです。

 

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

 

篠崎講師の授業では、エスプレッソマシーンの扱い方を学び、とても勉強になりました。知識やご経験が豊富なので、おっしゃっていることに説得力がありましたね。

また、調理の佐藤講師もやさしく、カフェプレートやパスタなど基本となるメニューを、0からつくれるように指導していただきました。

 

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

 

ラテを淹れられるようになったのもそうですが、豆も牛乳も、たくさん使って練習させていただきました。特に印象に残っているのは、ドリップコーヒーを淹れた際に「濃度計」を使ったこと。

いちばん理想とされる値から自分の淹れたコーヒーが、どうズレているかを客観視することができました。

「Cafe&Bar TerraCotta」では、バナナパウンド(税込400円)と、ショコラテリーヌ・抹茶テリーヌ(各税込500円)、チーズケーキ(税込500円)を手作りで出しています。

ランチでは、特製ハンバーグやソースを自家製で作っているパスタメニューを出しています。

レシピ自体は、ネットを見れば誰でも拾えると思いますが、ハンバーグをふっくらとジューシーに焼く方法などは、レコールバンタンで学んだことが頭に残っています。

 

 

 

―――― スイーツ作りも得意なんですね。

 

実家にオーブンがあり、姉がパティシエを目指していた時期もあったので、自然と習得できました。レコールバンタンでも実践的な技術を学ぶことができました。

例えば、調理の授業で、サラダのドレッシングを作ったのですが、「乳化」が大事になります。この「乳化」はケーキづくりでも必須の技術なので、プロフェッショナル講師から学べたことが活かされていると思います。

 

 

 

―――― 在学中に、印象的だったイベントや販売実習などはありますか。

 

2回ありました。入学して半年後に販売実習、卒業する際に、卒業制作の「卒展」を経験しています。どちらも、店長をやっていたので覚えています。

普段から頼まれやすい性格だからか、クラスメイトから推薦されました。

販売実習では、クラスでオリジナルのブレンドをつくって2班に分かれ、1日ずつ交代でドリップコーヒーとラテの販売を行いました。

卒展は、日本の各地方の名産であるフードとドリンクのペアリングを提案したと思います。

例えば、愛媛のみかんゼリーと、それに合うドリンクを考案したと記憶しています。メニューの企画開発から提供までを経験でき、現場と同じフローを体験できて良かったと思います。

 

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

 

大学生のときは、ケーキの販売をしていました。カフェ巡りもしていました。

 

 

 

―――― 開業までの経緯を教えてください。

 

「いつか自分の空間を持てたらいいなぁ。でも、難しいかなぁ」と漠然と思っていました。レコールバンタンに入学する前は、インテリア業界で、商社の営業をしていました。

共同代表である寺内さんとは同期です。作業着で車を運転し、職人さんや内装屋さんに壁紙の営業をしていました。ただ、数年キャリアを築くイメージが湧かず、退職しました。

寺内さんとは、仲がよかったですが、当時は未だ具体的なプランはなく、二人で開業するとは思っていなかったです。2017年に、インテリア業界の商社に入社し、12月に退職しました。

レコールバンタンを2019年3月に卒業し、横浜の商業施設のコーヒースタンドで、2~3年働きました。

2020年に、違う会社に店長候補で入る予定でしたがコロナ禍になり、その話がとん挫しました。「飲食業界はだめかな」と感じ、2020年8月から2021年8月まで、「インフラエンジニア」を経験しました。正社員としての再就職でしたが、サラリーマンをやってきていなかったので、やり甲斐を上手く見いだせず……。

その後はフリーターとして、チェーンの大手コーヒーショップで働いていたところ、2021年11月頃に、寺内さんから「一緒にやる人を探している」と声をかけてもらいました。出資してくださるオーナーがおり、無担保無保証で融資を受けています。

 

 

 

―――  在学中「開業サポート」は活用されましたか?

 

利用はしていません。

 

 

 

―――― 寺内さんにうかがいます。小谷さんを誘った理由は?

 

寺内さん「彼は真面目なタイプ。同じ会社でサラリーマンをやっていたときに、例えば忘年会で僕は前に立ってパフォーマンスするタイプ、彼は裏でしっかりと会計するタイプでした。僕と違う人間というのは大きいですが、柔軟性や大切にしたい軸は合っていると感じています。ただ、飲食の現場には一緒に立ったことがないので、ある種の賭けではありました。でも7年くらい連絡を取り続けているのは、小谷のキャラクターがあると思いますし、彼を選んで良かったなと思います」

 

 

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<卒業後について>

 

 

 

―――― 開業された経緯を教えてください。

 

2021年12月に、物件探しに入りました。

会社の登記は、寺内さんが行い2022年8月からスタートしています。公益財団法人 東京都中小企業振興公社による「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」に応募しました。最大730万円の助成金が出るのですが、非常に審査が厳しいです。助成金に応募するためには、商店会に属していないといけないのですが、「神田西口商店会」の範囲が定められています。なので、物件探しがとても大変でした。家賃が低く条件が良くても「商店会」のエリア外ということも。一般的に、商店会も高齢化している傾向があり、僕らみたいな若手が入ることは歓迎されることが多いと思います。

 

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

 

 

 

<お日にち>

 

2022年11月4日オープンです。

 

 

 

<店名>

 

会社の名前「Claugh」ですと、造語なので読めないと言われました。なので、寺内と小谷の頭文字を取り「テラコッタ」。

お気に入りのバーがあったらよく行くけれど、バーテンダーの名前は知らないことが多いと思いますが、ウチでは店名がイコール店主の名前なので覚えやすいです。

 

 

 

<コンセプト>

 

「大人の秘密基地」です。ダイニングバーとカフェと、お客さんが好きな使い方をできる空間です。

プロジェクターがあるのですが、忘年会、サッカー観戦、インフルエンサーとファンの交流会、またプロジェクターにゲームを繋いでパーティなどもできます。

また、一人でふらりと来ても楽しめる空間です。オーセンティックなバーだと緊張してしまいますが、「Cafe&Bar TerraCotta」では、定番のウイスキーやカクテルをラインアップし、メニューでは価格や度数を明示して、普段あまりバーに行かない人にも入りやすくしています。

 

寺内さん「バーって行きたいけれど何を頼んでいても分からないという人も多いのではないでしょうか?ウチは『地元のバーへの踏み台になるようなバー』でありたいし、敷居はグンと下げたいと思っています。カクテルにもさまざまな種類があって、楽しみ方も幅広いですが、知る機会は少ないので、そのキッカケになれたらいいなと思います。価格も全品900円に設定しているので、初めて飲むカクテルも試しやすいと思います」

 

 

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<ロゴデザイン>

 

レコールバンタンで一緒だった同級生が、デザイン会社で働いていたので、その人にお願いしました。

 

 

 

<デザイン>

 

スケルトンの状態からスタートしました。内装業者さんにデザインも施工もお願いしました。「素材については、前職の商社から取ってください」というのは指定しています。

『地下なので、大人の秘密基地』というコンセプトをデザイナーさんに伝えています。気軽に入りやすい空間です。また、コンセント・Wifiを完備しているので、お仕事や打ち合わせなどのシーンにも使っていただけます。

 

 

 

<場所>

 

オーナーの意向もあり、神田エリアの物件で探していました。

 

 

 

<客層/営業時間>

 

現在は、11時オープンからランチを提供し、24時にクローズして終電で帰っています。

まず、ランチタイムの11時から13時過ぎにかけては、近くで働いているOLの方が多いです。テラコッタではランチメニューが18時まで注文できるので、13時以降は忙しくてランチタイムを逃してしまった会社員の方やカフェ利用の学生さんがいらっしゃいます。18時以降のバータイムは20代、30代のお客さんが多いです。

夜もコーヒーメニューを出しているので、お酒を飲んできた後にコーヒーでしめるという方もいらっしゃいます。現在の集客としてはGoogle mapからの流入が多いです。

「オシャレそうな雰囲気や、口コミを見て来ました」というお客さんもいます。

 

 

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―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。

 

バーですと、アイリッシュコーヒー(税込900円)は人気です。カフェメニューですと、手づくりのショコラテリーヌ、チーズケーキ(各税込600円)はよく出ます。

コーヒーは、オリジナルブレンドコーヒー(税込500円)が出ます。ブレンドライト、ブレンドミディアム、ブレンドヘビーの3種類をご用意しています。

ケーキの味を決めるにあたっては、パティシエの友だちなどにも相談しました。

 

 

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―――― 豆はどこから仕入れていますか?

 

奥沢の「U BLEND」さんから仕入れています。ここは、「新鮮な豆を使ってもらいたい」という想いを持たれていて、一般的には1kgほどから仕入れますが、400gと少なめから相談に乗ってくださり、常にフレッシュな豆が使えるのが魅力です。

ウチはカフェ&バーですが、ものすごい量の豆を使うわけではないので有難いです。焙煎士さんが相談に乗ってくださり、好みの味にブレンドしてくださり、味をつくっていけるのが魅力です。

 

 

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―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。

 

寺内さん「神田はサラリーマンのエリアなので、ランチの相場は500円、800円です。チェーン店もあり、周囲からは価格を安くしないと、と言われたのですが、小谷さんが宇宙講師に『1杯500円でコーヒーを提供するなら、金額に見合う価値を担保することを考えて』と言われました。このアドバイスは、とても大きかったです

小谷さん「最前線に立つプロフェッショナルから言われると納得します」

 

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

 

理想としていることと、現実のニーズの折り合いをつけることです。理想はランチから営業して、24時頃にお店をクローズすることですが、12月はランチを辞めたことにも通じます。

自分のやりたいことに固執しがちですが、まずはお客さまのご要望に合わせてお店を軌道に乗せ、余裕が生まれたら自分のやりたいスタイルに変更する、という方法でもいいのかなと思います。僕は、比較的柔軟なタイプなので、できる限りお客さんのご要望に応えてあげられたらと思います。

 

プライベートの時間はほとんどありませんが、コーヒーを生業にしている篠崎講師や宇宙講師も、初めのうちは同じだと思っています。

睡眠時間をけずるといった無理をしている訳ではありませんが、現場に立つのであれば覚悟したほういいと思います。

 

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。

 

お店を開いてと良いと思うことは、高校生のときのクラスメイトが、7年ぶりに会いに来てくれたり、友人が足を運んでくれたりすることが本当によくあります。

SNSで知ってくれて、友だちが来てくれるのは嬉しいです。自分が実現したい空気感で、お店を営業できるのも大きいです。

また、カウンターがあるので、一見さんでも、気軽に話してくれるのも楽しいです。

 

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

 

そんなに活躍しているわけではないですけれど……、理想とするものを常にもって、それに即して行動したらいいと思います。また、柔軟性をもって行うと、成功しやすいです。

「Cafe&Bar TerraCotta」でいえば、営業時間の変更もそうですし、例えば、お客さんから「コーヒーをもっと濃くしたほうがいい」と言われて、「いや、俺の出したいコーヒーはコレだ」と、自分の軸に固執し続けてしまったら潰れてしまうと思うので、その切り替えや柔軟に対応ができるスキルは大事だと思います。

 

 

 

―――― レコールバンタンへの入学を検討されている方に、レコールバンタンはオススメしていただけますか。はいの場合、理由を教えてください。

 

はい。他の専門学校に通っていないので比較はできませんが……例えば、レコールバンタンの調理実習は「一人一製作」で、材料の準備から仕上げまでをトータルでつくります。

実践的なスキルがつく、という点でもよいと思います。

 

もう一つは、横の繋がりがすごくできます。ただ在学して卒業したらそれまでですが、人脈をつくりたいと思ったら、自分から積極的に行動すると良いと思います。

卒業後、佐藤宇宙講師は、SNSのDMでエスプレッソマシーン選びの相談にも乗ってくださいました。

メーカーさんを紹介してくださったので、ショールームに足を運び、実機に触ってから購入できたのも良かったです。

 

 

 

―――― レコールバンタンへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

 

技術ももちろんですが、同期や講師との繋がりは卒業後も頼れるもの。その繋がりを買いにいく気持ちで入学してもいいと思います。

アドバイスするとすれば、今後自分がどうなっていきたいか?この授業は、どのようなことに繋がるのかを想像しながら受けるといいと思います。

また、僕はチェーン店のカフェや個人店でも働きました。色々な経験をしたほうがいいですし、アルバイト先、自分で調べた情報、レコールバンタンでの学びなどいくつも物差しを持っておくといいと思います。何個も物差しがあると必ず重なる大切な部分が分かってきます。

 

また、開業されたい人は、自分がやりたいことが実現できるかどうかにお金が関わってきますので、助成金についてはたくさん調べた方がいいと思います。

例えば、新型コロナウィルス対策の助成金として、空気清浄機を購入するにあたり50万円の補助金を出してもらえました。30歳や35歳以下限定などさまざまな助成金があります。

くすぶっている人は、一度調べてみてください。また、事業計画を書けるといいです。私たちの場合は、出資者が助成金に詳しい人でしたが、レコールバンタンキャリアカレッジに通うなら、講師から直接フィードバックをもらえるのが大きいと思います。

 

 

 

<SHOP INFO>

Cafe&Bar TerraCotta

@cafe_bar_terracotta

千代田区内神田3-10-4富士会館ビルB1

営業時間:11: 00 〜 24 : 00

貸し切り営業などで変更の場合がございます。お店にお問い合わせください。

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