22.06.09 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>太陽とごはん オーナー 石田瑞代さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、大阪府・茨木市にて食堂「太陽とごはん」を運営する、オーナー石田瑞代さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

大阪校のカフェコース12カ月(現:飲食店開業コース)に通い、2014年に卒業しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

カフェコースは30名くらいでした。週1回、日曜日に授業がありました。

 

 

―――― 入学されたのおいくつですか。

入学したのは40歳になるかならないかの年でした。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

前職では、看護師をしていました。29~30歳頃まで続けて、子どもが4人になったタイミングで、仕事はいったん休むことに。8年間、育児に専念していました。

3番目の子どもが障害児なんですが、彼がキッカケでカフェをしたいなという想いが出てきました。その子の将来を考えたときに、自立できるのか不安があり「何か一緒にできることはないか」と考えたんです。私自身もカフェや雑貨が好きなので、「カフェを一緒にできたらいいのではないか」という想いからスタートしました。今は、カフェ業態を一緒に営むつもりはありませんが、そんな想いから始めたので、キッカケをくれてありがとうという気持ちです。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

飲食での仕事は、アルバイトも含めてまったく経験がありませんでした。料理を作るのも家族のみで、カフェがどのように運営されているのが、まったく分かっていない状態でした。なので、どんな小さなことでもいいので、情報や知識が欲しいと思って入学しました。飲食業を目指す友だちや、講師との繋がりができたらいいなとも感じていました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業は?

フードコンサルタントの末廣憲頼講師に大変お世話になりました。カフェコースの応用の授業は特に、濃く、熱く、重かったです(笑)。一日授業を受けたらヘトヘトになるくらいで、夢にも末廣講師が出てきました。さまざまなご経験があるので、甘い話はほとんどなく「夢ばかりでは成立しない」とおっしゃっていました。他にも、皆さんお店をやっていらっしゃるプロフェッショナル講師なので、ご飯がとても美味しくて。習ったことを同じように実践しても、同じ味が出せないことが印象的でした。

 

 

―――― 現役プロフェッショナル講師に学ぶメリットは。

話がとても現実的で、開業した後を想像できること。入学前は、お客さんとしてでしかお店に行ったことがありませんでしたが、運営する人がどんなことをされているのか、実際に求められる技術や考え方が聞けたのが良かったです。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

習ったことは、すぐに活かせるというわけではありません。「何をすればいいか分からない状態」で入学するなら、もっと自分で勉強しないといけません。授業を通して、自分のものにしていくキッカケをいただけたと思っています。

また、開業する際に、末廣講師にコンサルタントをお願いしました。そもそも、レコールバンタンキャリアカレッジに入っていなければ末廣講師にも出会えていないですし、今のお店も無かったと思います。

 

 

―――― 末廣講師にはどのようなコンサルティングを依頼されたのですか。

自分の中に「こういうことをしたい」というイメージはあるものの、大きなお金を動かすことが不安だったので、相談しました。末廣講師は、私が自分の考えを伝えるまでは、決してご自身の意見を伝えません。授業の延長のような感覚でしたね。助言をいただいたのは、物件を決める際のアドバイス、オープンまでに必要な作業の洗い出し、また厨房の機材の手配・配置などをお願いしました。プレオープンの時に、末廣講師にお料理をお出ししたところ「言うことない」と、褒めていただけて嬉しかったですね。

 

 

―――― 在校中、印象的だったイベント、販売実習などはありますか?

一度、レコールバンタンキャリアカレッジ校舎1Fスペースにて店舗実習がありました。

人生で初めて「いらっしゃいませ」を言いました。メニュー考案から、仕入れ、仕込みまで全部やりました。オペレーションは、正直なところ、グチャグチャだったと思います。クラスメイトがいたから、なんとかできましたが本当に大変だな、という思い出です。飲食店を営業することがリアルに感じられたので、やってよかったです。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

全くしていないです。保育園に預けてまでアルバイトすることに、踏み切れませんでした。

 

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<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯をお教えください。

2016年8月に開業しました。

卒業してから2年間は、やりたいことを形にしていく作業でした。まず、大変だったのは場所探し。「ここ!」っていう物件に、なかなか出会えなくて。家庭料理を出したいので、シャッターが降りるような物件ではなくて、古民家を探していました。

距離は、家から近すぎる場所ではなく、自転車で行ける範囲で探しました。現在の場所は自転車で15分くらいです。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりをお教えください。

<店名>

 

3番目の子ども・太陽の口癖が、「今日のご飯、なに?」です。なので、「太陽とごはん」にしました。

 

 

<物件>

 

一目惚れしました。不動産屋さんに何件か通いましたが、「カフェを開きたい」と話すと、急に冷たくされることも。美容室、マッサージ、カフェ開業を希望すると、相手にしてもらえないケースもあると知り、めげそうになりました。

そんなとき、熱心に話を聞いてくださる女性の担当者さんと出会い、物件が見つかりました。家賃は高かったんですが、大家さんに直接掛け合ってくれて、入居することができました。広い一軒家で、裏に広い庭があります。商店街の中なのにすごいですよね。もともとはミシン教室をされていたみたいです。

 

 

<内装>

 

築70~80年の風情があるので、あまり手を入れずに雰囲気を活かしたいと思いました。机や椅子は新しく入れて、直さないといけないところは雰囲気を残しながら変更しています。お子さん連れでも、気軽に来れるようにしたかったので、1Fは半個室を作り、2Fは壁を取り払ってお座敷を作りました。

 

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<コンセプト>

 

「キッズカフェ」ではなく、「お母さんが元気になれる場所」です。

今、4人の子育てしているんですが、子どもを連れてカフェに行くなんて考えもしませんでした。「自分がゆっくりしたい」というお母さんは多いと思います。外に連れ出すのも大変なので……「お母さんが中心になり、心休める」場所、気晴らしできる場所を作りたいと思いました。

お店によっては、子ども連れだと嫌がられることもあります。「太陽とごはん」では、隣のおばあちゃんが子どもに声をかけてくれるなど、温かい空気感ができています。コロナ禍になる前は、スタッフが赤ちゃんを抱っこしてお庭に連れていったりしていたんですけどね。忙しいお母さんたちが、温かいご飯を食べて心と体を休めてもらえたらと思います。

 

 

<ロゴ>

 

内装をお願いした会社のデザイナーさんと相談し、考えていただきました。

 

―――― 特にオススメのメニューについてお教えください。

ウチはメニューが少なくて、売り上げの8割をランチが占めています。ランチは、メインを2種類から選べて小鉢が4つ付きます。ジャンルとしては家庭料理です。

私は陶器のお皿が好きで集めているので、お皿でも楽しんでもらえたらと思います。外食って、どうしても飽きるじゃないですか。でも、家のご飯は毎日食べても飽きないですよね。いちばんホッとするのは、心の込もったお家のご飯だと思います。「太陽とごはん」ではスイーツも手作りです。スイーツ作りの経験は全くなかったので、スイーツも習いに行きました。そこで、スイーツを一緒に考案して下さる人を見つけて、アドバイスとレシピをもらって作っています。

 

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―――― スタッフさんにも、ママが多いと聞きました。

スタッフは全員、私のママ友でほんわか、温かくお店を盛り上げてくれています。いちばん上の子の幼稚園時代のお母さんたちです。友達であり、主婦であり、母親で、同じ空気感をまとった人達なので、お店の雰囲気も心地よい方向にもっていってくれます。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

開業当時は、子どもたちが未だ小さかったので、お店と家事を両立させるこが大変でした。常に時間がなくて、休日も指示を出したり、メニューを考えたり、やることが山積みでした。毎日追われていたので必死でしたが、楽しかったです。

スタッフがお友だちなので、雑談をして気分を切り替えながら、楽しく仕事ができています。体はしんどくても、仕事に行くのがイヤだなとは感じません。熱い想いと体力は大事だと思います。

 

 

―――― 価格はどのようにつけていますか。

だいぶ感覚的にしていますが、標準的な原価に落ち着いています。周りからは、「この値段でよくやっているね」と言われることもあります。最近、少しだけ値上げをさせていただきました。普段から、他のお店に行き相場を見ていますが、「自分だったら、これ以上ランチで出したくない」という主婦目線も大切にしています。

 

 

―――― 開業資金はどのようにしましたか。

どこにも借りずに、貯金でやりました。私は結構使ったほうだと思います。当初思っていた予算よりオーバーしました。内装費にかかるので、開業資金は多めに見積もっておいた方がいいと思います。

 

 

―――― 制度は活用されましたか。

自分で調べて、茨木市の開業支援制度を活用しました。審査が厳しくてめげそうになりましたが、申請が通り、大変助けてもらいました。オープンを迎えて、市から税理士さんが来てくれて、喜んでくれました。市役所の広報紙にも、「支援金を活用して開業したお店」として掲載されました。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行でのご苦労は。

「太陽とごはん」は昼間だけの営業なので、時短要請には当てはまりませんでした。ただ、「外食をしよう」という人が本当に少なくなり、休業する期間もありました。また、それまではやっていなかったテイクアウトを始め、テイクアウトのみの営業にすることも。その時々で要請が変わるので「お店を空けてもいいのか」と悩みましたし、判断が難しかったです。

 

 

―――― 現在もテイクアウトはされていますか。

テイクアウトは1日5個ほど継続しています。来店数は、元通り以上に賑わっています。ご来店されて、お弁当を買う人もいらっしゃるので辞められないです。5個でも大変です。キッチンのスペースが狭いので、包材などを置いておく場所も確保しないといけません。

 

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―――― 一日、何食ほど仕込んでいますか?

2Fに広いお座敷があり、そこに5~7名の予約が入ることも。1Fは満席で20名なので、35食前後を目安にしています。11時30分から13時30分が混雑するので、2時間が勝負です。リピーターのお客さまがすごく多いです。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

ありきたりですけれど、お客さんの喜びを間近で見られることが幸せです。「すごい!」「美味しそう」と喜んでくれて、食べた後も「美味しかったです」「また来ます」と言ってくれます。飲食業は、相手を笑顔にできるビジネスなので、こちらまで幸せな気持ちになります。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

体力は大事です。ヘトヘトなので、早く寝て睡眠時間を確保するようにしています。

出来事では……2021年に泥棒に入られました。茨木、高槻エリアでカフェばかり狙った事件があって。店内を荒らされて、釣銭などの現金を取られました。警察が来て、スタッフ全員が指紋を取られました。保険に入っていたので賄えたから良かったものの、半泣きでした。また、2018年大阪府北部地震では、食器がかなり割れてしまいました。

末廣講師に半泣きで電話をして相談に乗っていただけて冷静になれたこともあります。どんなことに対しても対応できる冷静さが必要です。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

私は、コミュニケーションを取るのが苦手です。内装を考えるときに、話をしなきゃいけないのであればカウンターは要らないかも?と考えたくらい人見知り。結局、カウンターは作ったんですが、コミュニケーションスキルがなくてもニコニコ笑顔でいられれば、何とかなる!と思っています。相手を思う気持ちがあり、対応ができれば大丈夫。笑顔を絶やさずにお客さんの様子を見て、「声をかけて欲しいんじゃないかな?」「お水を注いでほしいかな」と察してあげることが大切です。

 

 

―――― 入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジをオススメしていただけますか。はいの場合、理由を教えてください。

オススメできます。色んなキッカケを見つけて、繋がりをもらえたので。夢を語り合った当時のクラスメイトとは、今でも集まったりします。実際に開業した人も多くいますし、励みになります。

 

 

―――― 今後の目標はありますか?

障害を持った人が働けるようなお店を作りたいと思っています。例えば、アイスクリーム屋さん、ドーナツ屋さんなどテイクアウト専門のスイーツ店を考えています。カフェの仕事は、煩雑すぎて太陽には難しいですが、いずれは、太陽と一緒にお店で仕事をしたいですね。お店の名前も決めています。今、彼は中2なので、彼が社会人になる10年以内にオープンすることが目標です。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

迷っているなら、是非通ってみて。入学してから、もう一回悩んでみたらいいと思います。「やりたいな」では何も動かないので、一歩を踏み出して。レコールバンタンキャリアカレッジは、夢への第一歩目になります。私は、学びながら自信を持つことができました。

 

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<SHOP INFO>

太陽とごはん

@taiyo_to_gohan

072-646-9890

大阪府茨木市春日1-9-28

10:00~16:30(L.O.16:00)

土日祝日定休

 

 

 

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