22.03.22 24.04.01 更新

<オンライン卒業生座談会>cafe COUCOU(ククゥ)オーナー 小嶋昌恵さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

3月13日(土)オンライン卒業生座談会を開催しました。

 

スピーカーは、レコールバンタンキャリアカレッジOB・「cafe COUCOU(ククゥ)」オーナーの小嶋昌恵さん。「埼玉県入間郡毛呂山町在住で、千葉県山武群芝山町で育ちました」とご挨拶。「フードビジネスをするにあたり、『こじまま』というキャラクターとして、アイコンとして生きようと思いました」と、ニックネームの背景を語ります。

 

 

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<こじままがレコールバンタンキャリアカレッジに入学するまで>

 

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駒澤大学短期大学部英文科卒業後、IT企業、証券会社、商品先物取引会社にてキャリアを積みます。「27歳のときに一度目の結婚を経験します。当時は川崎市に住んでいて、派遣プログラマーの仕事をスタートします。ただ、夫に激しめのDVを受け、友だちに支援されて離婚。37歳のときに、現在の夫と再婚しました。夫は、『フジマック』という業界第二位の業務用厨房機器総合メーカーに勤めていました。イラストやデザイン、DIYが得意で、厨房の設計もできる人でした。当時、私はプログラマーをしていたので、彼のメリットを享受することはありませんでした。

リーマンショックを機に、私が大好きな派遣業が『派遣切り』などの報道で、=貧しいというイメージを持たれるように。差別的な扱いを受け、輝いていた仕事がくすんでしまったように感じ、ショックを受けました。であれば、もともと好きであった食の仕事をしようと思ったのが、飲食業界を志したキッカケです。そのときは生活も安定し、息子も成長していたということも追い風となりました」

42歳のとき、派遣業から撤退。家庭菜園を始めたり、自宅でパン教室をしたりと、今後を模索していたそう。「そんな時、HPでレコールバンタンキャリアカレッジを知りました。2010年4月からカフェコース(現:飲食店開業コース)に半年間通いました。午前中は座学、午後に調理を学びました。」

 

2011年3月、東日本大震災に見舞われ、「開業するかどうか迷いました。東北の方々がすべてを失っているのに頑張ろうと前を向いていて、自分は何も失っていないのに頑張るのを諦めるのは違うと思い、cafe  COUCOUの開業を進めることにしました」

内装は、3カ月間かけてフルDIYで行ったそう。レコールバンタンキャリアカレッジのクラスメイトが、休日に手伝いに来てくれることも。

 

 

<シェアキッチン「SUNNY food works」を開業>

「2022年春、埼玉県坂戸市に『SUNNY food works』シェアキッチンを開業しました。ここでは、自分の経験を活かして、地域の中で開業したいと思っている方たちに、コンセプトやメニューの作り方、値段の付け方などを教えています。辛いときの相談場所として、また地域の商いを増やしたいという想いで運営しています。

コロナ禍で、お店に『来て来て』と、声を大にしては言いにくい状況です。そこで、施設では、飲食店営業、菓子製造業、総菜製造業の資格を取得しています。総菜製造業を取得すると、冷凍食品を作れるようになります。ここを使えば、通常、工場に依頼する際に求められる300~500個といった規模ではなく、少量から製造を始められます。これから、『SUNNY food works』で地域のお店が冷凍食品を作れるようになるといいと考えています」

 

 

<「cafe  COUCOU」はどんなお店?>

 

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「よくカウカウと呼ばれますが、ククゥと読みます。フランスではカッコウの鳴き声、また、仲の良い友だちに久しぶりに会ったときに『ククゥー!』と言います。私は、これを人に会えて嬉しいという意味合いだと解釈しました。レコールバンタンキャリアカレッジの授業で『カフェは人の交差点』ということを習ったので、学んだコンセプトを持ってきました」

 

 

<お客さま、生産者、働く人、地域を重視すること>

「コンセプトは、お客さま、生産者、働く人、全てが笑顔になれる場所です。都内でこそ、オーガニック野菜は高くても買ってもらえますが、地元では空いたスペースで作っている農家さんも多いです。また、オーガニック野菜は収量も少なくサイズも小さめ。都内に出すルートも持っておらず、困っている農家さんも多いです。お店を始める前から、そのことに気づいていて、お役に立ちたいと思っていました。生産者さんの野菜は買い叩きたくないという想いがあり、お客さまからはそこそこのお値段をいただいています。しっかりとお値段をいただいても『ククゥいいよね』と言ってもらえています。実は、安い調味料、材料で価格を抑えるのに必死だった時期もあるんですよ。そうすると数を出さなくてはならないので、スタッフも私も『一体、何のために仕事をしているんだろう?』と思うまで荒んでしまいました。それからは、使いたい素材を使うようにし、時給も上げていけるように考え方をシフトしていきました」

ターゲットは40代後半の女性。店舗スペックは約60㎡、店内20席+テラス席4席、駐車場6台完備。「駐車場は、田舎だと駅前でも必要です。田舎は、一人一台車を持っていることは珍しくありません。お客さまからは、『駐車場が少ない』とよく言われます」

 

売上は2021年実績で、年間1800万円。

「オープン時よりは伸びてきていますが、それほど高くないと思っています。店内飲食以外の収益、例えばテイクアウトや通販を伸ばしていきたいですね」

 

 

<フォトギャラリー>

 

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「開業当初、メニューにパンケーキはありませんでした。なのでレコールバンタンキャリアカレッジに相談に行きました。講師にアドバイスをいただき、パンケーキを提供しました。cafe COUCOUでは、雑穀を混ぜたホットケーキを提供したところ、売り上げが上向きに転じ、スタッフも育ってきました」

店内以外に収益を作るためキッチンカーにも挑戦。「過酷でした。夏は暑くてめまいがするし、冬は寒いです。また、キッチンカーのメニューは、イートインに比べると価格も安いです。売り場も探さなくてはいけません。心が折れ、膝を痛めて撤退しました」

ただし、イベント出店は別。「天気が良いと収益が大きいので3~5年目も生き延びることができたのは、イベント出店があったおかげと話します」

一個売上げるごとに坂戸市の保護ネコさんのための組織「にゃんこルーム」に50円寄付されるメニュー「ラザニャーパンケーキ」を紹介。他にも、規格外商品を使い「乾燥野菜」を作ったものの思うような結果が出なかったこと、オープン当初、10人掛けテーブルを作ったもののコロナ禍で相席がダメとなり壊す様子をSNSでライブ配信したこと、テイクアウトの売り方を研究したエピソードを披露。「コロナ禍で、何より利益になったのは、クリスマス、おせちのオードブル販売です。200万くらい売り上げることができ、首がつながりました」と、これまでの取り組みについても紹介します。

 

 

<安定した経営のために重要なこととは?>

 

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「一日中立ち仕事をするのは大変です。どうしたらいいかを考え、スタッフ教育を頑張ることにしました。スタッフに、色んな仕事を譲って譲って、現在、cafe COUCOUの店長は、オープニングから入ってくれている30代スタッフに任せています。私は、経営や商品開発に注力できるようになりました。

飲食業は、廃業率が高いことも知られています。私がフードビジネスを辞めなかったのは、お店を気に入ってくださるお客さまがいたから。また、育てたスタッフ、クラスメイトや夫が手伝ってくれたお店を、おいそれと壊すわけにはいかないという気持ちが大きかったです。今、スタッフ面談では、事前にスタッフ全員にアンケートを送っています。いいと思うこと、残念だと思うこと、チャレンジしたいことなどをヒアリングしてから面談するようにしています。お店の運営に対して、あまり反響がない、これは良かったなど全体で共有すべきことは、スタッフミーティングで共有するようにしています」

 

 

  • <お客様との熱のあるやりとり>

「お店の経営にSNSでの発信は欠かせません。例えば、天気がいい日なら、テラス席でワンちゃんとお茶するのはどうですか?とイメージが浮かぶような言葉で発信しています。SNSで心がけていることは、クローズドのDMに誘導すること。オープンなコメント欄は誰でも掛けます。アカウント名なので、お客さまの名前と顔は一致しませんが、お客さまからすると誰にも知られない場所でやりとりしたことが嬉しい体験になると思います。何かあったときに、身内として考えてくれるような、熱のあるファンを作ってください。すると、コロナ禍など窮地に追い込まれたときも駆けつけてくれることがあります。初めて緊急事態宣言が出た2020年4月は、前年よりも売り上げは多いくらいでした。プログラマーだったので簡単なHPを作って商品が予約できるようにし、お客さまがお弁当を予約してくださいました。その施策が良かったというよりも、頑張っている姿勢が認められたということだと思います」

 

 

  • <開業後も学び続ける>

「時流によって心に響くものは違いますよね。セミナーもいいけれど、ある程度理解できるようになったらお金をかけて高いセミナー、高いレベルの講師が来ている学校に身を投じて。私は、仕込みをしながら起業、経営者などのYouTubeを聞きまくりました」

 

 

  • <信頼できる相談機関を確保しておく>

「これはとても重要です。転んだときに這い上がれる相談機関を複数知っておくといいです。例えば、地元商工会では、無料で経営コンサルタントを派遣しています。市役所の商工労政課は、ダイレクトにアドバイスしてくれる訳ではありませんが、情報はたくさん持っているので相談に行く価値はあると思います。また、中小企業・小規模事業者のための経営相談所『よろず支援拠点』も知っておくといいですよ。こうした機関で、登録商標のための弁理士さんや、スタッフの雇用契約書を作る際に専門家を紹介していただいたりしました」

 

 

<レコールバンタンキャリアカレッジの魅力とは>

 

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「飲食業界で、ものすごく成功している講師を招いています。学外では、『私、カフェやりたいんです』と相談するのは憚られるようなプロフェッショナルが、学生になれば丁寧に指導してくれるメリットがあります。意欲があれば、授業を終えても質問できます。業界を熟知した講師陣は、先に成功している方々です。授業を聞いて、では自分がどうすればいいか?という疑問が湧いてくるはず。在学中から、自分のアイデアをぶつけて相談したおかげで、現在のお店の方向性を決めることができました。

また、開業副業サポート制度があります。卒業後も、相談できます。経営コンサルタントの方や、よろず支援の専門家も役立ちますが、中には、『カフェには適用できない提案』もあります。例えば、特別な日に飲食店に行って、壁に『生ビールはじめました』という宣伝の張り紙がされていると残念な気持ちになりますよね。

私も、開業して1年ほどして売り上げが伸び悩んでいたときに、相談させていただきました。講師はノウハウをかなりお持ちですし、卒業後11年経っても相談にくることができるのは、とても心強いです。また、レコールバンタン高等部、専門部の学生さんに求人を出してくれます。これも、すごくいいですよね。接客の何たるかを0から教えるよりも、既に飲食業の基礎を学んでいる即戦力の人材を採用できるのも、メリットです」

 

 

<こじままの「これから」は?>

「開業当時44歳で、体力は落ちていきます。60歳になったときに自分が何をしていたいか考え、老後も楽しく飲食業に携われるように、シェアキッチンと子ども食堂をオープンしました。シェアキッチンは、ちょっと寂しい商店街を活性化する目的から始めました。私が今まで苦労してきたこと、失敗してきたことを皆さんに伝えていきたいですね」

これまでの取り組みとして、『お米のためのカレーの日』を紹介。コロナ禍で飲食店への卸が減り、お米の在庫を2tほど抱えていた大河戸さん。こじままが準備中のカレー屋さん「さくらカリー」の試食販売をし、大河戸さんのお米を召し上がっていただき、気に入っていただけたらお米を購入していただくイベントを実施したところ、お米は完売したそう!

 

 

<入学予定者からの質問タイム>

ここからは、入学予定者からの質問タイム。たくさんの受講生から質問が寄せられました。

 

<コーヒーと本が楽しめるカフェを検討中のFさん>

―――― コーヒーと本が好きなので、両方を楽しめるお店を考えています。漠然としていますが……何かご意見をいただけたら幸いです。

小嶋さん「田舎では、コーヒーだけだと難しいかもしれません。お客さんも使い方が分からないです。なので、多くのお店でホットドッグなど軽食を提供しています。今、カフェをしていてもコーヒーだけを召し上がりにくる人はほぼいないです。私がするならば、豆の販売やイートイン以外のもので補填していくと思います」

 

<4月からバリスタコースに入学されるSさん。詳細は検討中>

ーーーー 現在、メニューは何種類提供されていますか?

小嶋さん「ランチは3種類です。3種以上ないと、メニューとしてつまらないと授業で聞きました。ハンバーグランチは税込1400円で、コーヒーはセットで300円。合計2000円近くになりますので、顧客の年齢層は高くないと難しいですね。パンケーキは甘いものを3種類、2種類はお食事系を揃えています。ケーキは5種類ほどで、ドリンクはHOT、COLD、 合わせて15種類くらい。メニューは少ない方ではないと思います」

 

<Wさん>

―――― 「開業当時大変でした」ということですが、具体的にはどのような点が?

「スタッフの管理ですね。当時は朝8時から、10時から、11時からとズラして来てもらい19時閉店にしていました。最初は4時間以内で働いてもらうように調整していました。4時間以上だと雇用保険など経費がかかる為です」

――― お店の家賃について教えてください。

「駐車場4台ついて、13万5千円です。裏にある駐車所を借りています。1台4000円かける2で、月8000円。3月は、イートインでお客さんがいちばん来るシーズンです。昨日は天気も良かったので1日の売り上げは9万円くらい。少ないと2万円くらいで、これくらいですと人件費がギリギリ出るという状態です」

<保育園に併設する形でのカフェ開業を検討してるMさん>

――― 子連れのお客さまが多いと、他のお客さまが入りづらいというイメージでいいでしょうか?

「そうですね、その通りだと思います。デートとかには使い辛いです」

――――小嶋さんのご意見をうかがえますか?

「先日『子連れでいけるカフェを、住宅を改装して作りたい』という方がシェアキッチンにいらっしゃいました。難しいですよと伝えています。まずは、テイクアウトランチのみで始めた方が、コストがかからないです。子連れの方にも、おじいちゃん、おばあちゃんなどみんなに来てほしいという方もいますよね。『みんなに来てほしい』というほど、どんな店か分からなくなってしまいます。また、お子さんですと、お店の物を壊されたり、汚されたりすることを覚悟しておいてください」

――― ケーキを作る方は何名かいるとうかがいました。その方が、家で作ったものを持ち込むことは可能でしょうか。

「ご自宅で作ったものを持ち込むことはできませんが、許可を得た場所に来ていただき、作っていただくことはOKです。衛生管理は、HACCP(ハサップ)という、食品を製造する際の手法が義務化されていますので、調べてみると参考になると思います」

 

 

開業を目指す後輩メンバーに、一つひとつ丁寧に、アドバイスをくださいました。

アットホームで、専門性の高いセミナーでしたね!

入学予定のメンバーにとっても、有意義な導入授業となったのではないでしょうか。

 

小嶋さん大変貴重なお話をありがとうございました!

 

 

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cafe COUCOU

埼玉県坂戸市 にっさい花みず木5-6-7

営業時間 11時〜18時

月曜定休

@cozimama

http://coucou.cafe.coocan.jp/

https://camp-fire.jp/projects/view/521591

 

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