21.12.03 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー> イタリアンバール ココラータ オーナー 渡邊満さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。 卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか? 最前線で活躍 されているプロフェッショナルにヒントをもらうべく、「イタリアンバール ココラータ」オーナー渡邊満(みつる)さんにインタビューを行いました。

 

外装.PNG

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2004年10月にカフェ開業コースを受講しました。1年間のコースで、後半の6カ月は自分のお店を立ち上げていました。

 

 

―――― 入学された理由は?

独立開業したいという想いがあり入学しました。当時は、35歳だったと思います。会社員でしたが、休みの日に料理は多少していました。プライベーでは食べに行くのも人に料理を振る舞うのも好きでしたね。

チェーンのドラッグストアに勤めていて、仕事もひと段落したタイミングだったので、どこか飲食店で働くというよりは自分の店が持ちたいという気持ちでした。レコールバンタンキャリアカレッジに入学したタイミングで、退職しています。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

さまざまな専門校の学校説明会に参加し、願書をもらっていました。調理師免許が取れるようなスクールですと、クラスメイトが高校卒業してすぐの方が多いですし、年齢的にキツいかなという印象を持ちました。レコールバンタンキャリアカレッジは、カリキュラムが充実していて、授業内容がとても実践的だったのを理由に選びました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

調理の船木講師。教え方が上手だと思います。調理の基本はもちろんですが、ちょっとした裏技だとか、授業のカリキュラムにはないようなことを教えてもらったことが非常に役に立っていると思います。今、お店をやっている時点でタメになっていることが多いですね。もしもお店でアルバイトしているだけでは、知りえなかったと思います。

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることは?

最初の授業で、講師が振舞ってくれたチキンソテーが今でも印象に残っています。スーパーで売られている一般的な鶏肉に、塩コショウをして、ソテーしたものを提供されました。大げさかもしれませんが、それが今まで食べたチキンソテーの中でもいちばん美味しかったんです。「レコールバンタンキャリアカレッジでは、このようなテクニックを教えていきます」と言われました。

その言葉通り、授業では塩の振り方、肉を柔らかく焼く方法とか、一から分かりやすく丁寧に教えていただきました。今でも、鶏肉の皮目は弱火、反対側は強火で焼くと言った調理法を活用しています。他の料理店で厨房に入ったときに、知らずに調理している人もいたので、「基礎を教えてもらうことは大切だな」と思います。また開業は決めていたので、在学中から実際に、お店で提供する料理を練習できたことも良かったです。

 

 

―――― 印象的だったイベントや販売実習などはありますか。

当時は交流がないクラスの作った料理を提供してもらうようなイベントがありました。自分のクラスでは習っていない料理を提供してもらい、その料理が気になったので授業外で先輩に教えてもらいました。ソースの作り方も習い、学んだローストビーフをお店でも出していたりしていました。

また、開業している卒業生が校舎に来て、どういうお店を経営しているかを知る機会もあり、参考になりましたね。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

沖縄に開業する前は東京で5年ほどお店をしていました。父が倉庫を持っていたので、そこを改装して有効利用できるようにしようと思ったんです。一店舗目は、2005年12月に東京練馬区に「Cafe Coccolata(カフェ コッコラータ)」をオープンしました。

同学年では、最初の開業だったと記憶しています。親の所有する物件なので、いち早くオープンすることができました。ただ、営業しているうちに、段々と「自分の好きな場所でやりたい」と思いが募っていきました。5年間お店を経営し、軌道に乗っていたこともあり「違う土地でも上手くできる」と思うようになりました。

そこで、観光で訪れていた沖縄で、旅行ついでに物件を調べるように。物件を見る度に「オーシャンビューっていいな」「自然の中でお店をやりたい」という気持ちが強まっていきましたね。東京の店舗を人に貸せたら沖縄に行こうと思っていたところ、すぐに借り手が見つかったため沖縄へ移住しました。

 

内装.PNG

 

 

<卒業後について>

―――― 開業された経緯について教えてください。また、開業当時おいくつでしたか。

2011年1月に、沖縄に移住しました。物件は見つけてはいなかったので、沖縄の地元の居酒屋で働きながら、物件を探すことに。2年ほどかかり、2013年8月にオープンしました。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<オープン日>

2013年8月です。

 

<立地>

場所は宜野湾で、海沿いの物件です。住んでいる場所からも近所で、リゾートも住宅もあるエリアです。繁華街というよりは、店の前が開けていて、緑や海があって自然が感じられる場所がいいなと思っていました。オーシャンビューですが沖縄とはいえ数が少ないです。

物件は、毎日自転車に乗ってチェックしていました。めぼしいところが「貸し」になっていたら連絡したり、休みの日も海沿いの物件を探したりしていましたね。

 

<店名>
一店舗目は、「カフェ コッコラータ」という名前でした。イタリアの地方の言葉で、子どもをあやすみたいな意味合いがあります。カフェ業態だったので、子どもが産まれても通いやすいように、授乳室や小部屋もあるような内装にしました。お客さんも、お子さん連れのお母さんが多かったですね。コッコラータの小さいツを取って「ココラータ」としました。造語です。

コッコラータで検索するとこちらもヒットするので、東京のお客さんにも分かるようにしました。常連さんが訪ねてくれたこともありましたね。

 

<想定していた客層>

コンセプトは、イタリアンをベースにした洋食居酒屋です。ターゲットはお酒を飲む方。イタリアンなおつまみと、パスタやピザなのどのイタリア料理が召し上がれる洋食居酒屋です。開業前に、居酒屋で2年半働いていました。そこは、イタリアン系のおつまみから、いろいろなメニューを揃えていて勉強になりましたね。お酒を飲む人のタイプや行動を観察し、さまざまな業者さんとも知り合えて情報収集できました。また、内装工事に携わる方も仲良くなれたので、開業に際しても相談に乗ってくれ、調整してくれたのが有難かったですね。

 

<内装デザイン>

居抜き物件です。イタリアンだと高級感があって敷居が高い印象がありますが、ラフな感じで「入りやすい」店内にしました。

 

<ロゴデザイン>

青いロゴは、ショップカードを作ってもらったときに一緒に作ったものです。最近は使っていなくて、今は自分たちで作ったデザインを使っています。沖縄の地図を入れてデザインしました。

 

 

――― 1店舗目から変えた点はありますか?

1店舗目はカフェ業態で、「お酒を飲めるイメージ」が少なかったようです。そこは改善したいと思っていました。また、どういうふうにしたらお客さんがくるかが掴めてきていたので、東京のお店で「失敗」と感じたことは「イタリアンバル ココラータ」ではやらないようにしました。他にも、一店舗目では豊富なメニューを揃えて、提供が遅くなってしまうこともありました。そこで、メニュー数を厳選し、カフェ業態ではなく昼は営業せず夜メインのお店にするなど慎重に進め、失敗しないように100%の準備でのぞみました。

 

 

―――― 特に売れ筋のメニューは。

2種類のステーキが人気です。「ラムステーキ」(200g・1200円)、「アンガス牛の赤身ステーキ」(180g・1000円、360g・1800円)ですね。沖縄では、飲んだ後の「〆」としてステーキを召し上がる人も多いです。もう一つ人気なのは、ハワイなどにもある「ソフトシェルシュリンプのガーリックシュリンプ」(750円)。東京のお店でも人気があったメニューで、脱皮したソフトシェルを使っているので、頭からすべて食べられます。

 

ステーキ.PNG

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

学生のアルバイトを3名雇っていたんですが、辞める時期が重なったときは大変でした。また、車で20分の生活圏内に大型ショッピングモールができて、そこにアルバイトさんが募集されて、時給が上がってしまったんです。募集をかけても、誰も来なくなっちゃった時期がありました。なので、他で働いていた奥さんを従業員として雇うことに。他の個人店も、以前は時給700円できてくれたのにショッピングモールができてからは1000円に上がったと嘆いていました。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。

2020年は苦しかったです。補助金がない時期もありましたし、会社が自粛要請を出していて、お客さんが来ない時期はありました。通常営業できても席数を2/3に減らし、売り上げは相当落ちました。対策のために、空気清浄機とかパネルなども購入しました。

2021年は、支援金が出る休業要請だったので、乗り切ることができました。支援金で内装を変えたり、お店の大掃除をしたり。11月には全面解除になったので、コロナ前の2/3くらいの売り上げにしたいですね。観光客の方というよりも、地元のお客さんがメインなので、徐々に戻ってきてくれたらなと思います。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

いろんなお客さんがくるので、さまざまな会話ができるところ。人と人との繋がりですね。仲良くなった方も多いですし、日々喜びを感じられる仕事だと思います。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか?

思ったようには、お客さんが来ないときですね。集客にも波があるので、極端に忙しいときもあれば、仕込んだものがロスになってしまうことも。手間暇かけて仕込んだ食材が無駄になってしまうことは辛いです。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルとはどのようなものだとお考えでしょうか?

お店が守りたい味を出す「提供力」と、「メニュー構成力」、このバランスはすごく大事だと思います。

そもそも、基本的な調理技術はできていないと厳しいと思います。いざ、お客さんに料理をお出しするときも質だけでなく、提供時間もかなり影響します。美味しい料理を丁寧に作ることはできても、要領よく料理を出せるかどうかはまた別の能力です。自分たちも、他のお店に食べに行って、味は良くても提供がとても遅いお店があります。メニュー構成を見た時に、「料理人ひとりじゃ遅そうだな……」と感じますし、実際に運ばれてくるのが遅いケースが多い。そういうお店は、もったいないですよね。

これは、「料理人あるある」で、こだわったものを出したいという気持ちが強いです。それはもちろんそうなのですが、素早く出るスピードメニューも盛り込んでいかないと、お店を回せなくなります。スピードメニューとは、ベースをしっかりと仕上げておき、提供時には温めるなどして素早く提供できるもの。出来あいのトマトソースを使うにしても、ひと手間加えることでオリジナリティを出すことができます。最終的には、お客さまが「美味しい」と思う料理を、良いスピード感で提供するのが理想です。

調理学校では、「美味しものを丁寧に作って出す」という点に重きを置きがちです。自分もそういうきらいがありましたが、混雑してバタバタしてくると、結局レベルが下がったものを出してしまうことになりかねません。

沖縄に引っ越し、居酒屋で働いたことはとてもいい勉強になりました。すべてが手作りではなくてもいいと思います。息詰まってしまうようなら、柔軟にメニューの構成を考えて。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願いします!

独立開業を目指す人が多く通う学校です。店を出すための近道だと思ってください。僕自身も、そもそも物件があったのでスクールに通わないという選択肢もありました。でも、通って講師の方々から習ったことは15年間働いてきたすべての基本になっています。入学しないで開業しようと思っているなら、一度考え直してみたほうがいいと思います。学んでから開業するという道もあります。

 

 

風景.PNG

 

<SHOP INFO>

イタリアンバール ココラータ

https://cocolata.owst.jp

@bar_cocolata

沖縄県宜野湾市宇地泊595

18:00~24:00(料理L.O. 23:00 ドリンクL.O. 23:00)

月曜・日曜定休

 

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