<卒業生インタビュー>「CRAFT PORT FUNABASHI」オーナー吉川 元仁さん

開業実績380店舗以上を誇る、レコールバンタンキャリアカレッジ。
外食産業を担う卒業生たちは、どのようなことを意識してビジネスをしているのでしょうか?
最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、千葉県船橋市にて「CRAFT PORT FUNABASHI」を営む、オーナー吉川 元仁さんにインタビューを行いました。
<在校中について>
――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。
2つのコースを受講していました。座学がメインの「開業プランニングコース」を半年、「調理&メニュープランニングコース」を1年間受講しました。受講したのは、23年4月から24年3月までです。
――― クラスは何名くらいでしたか?
「飲食店開業コース」は30名くらいで、教室が埋まるくらい盛況でした。「調理コース」は前期が25人くらい、後期は6人くらいだったと思います。
――― 通学時の1日のスケジュールも教えてください。
毎週日曜に授業がありました。
前期は、午前が「開業プランニングコース」だったので座学で授業を受け、午後は「調理&メニュープランニングコース」を受講しました。後期は午前中に授業がなかったのですが、趣味でバンドを組んでいたので、午前中はバンドの練習に参加し、午後から調理の実習にいきました。在学中から物件探しもしていたので、授業以外の時間で物件チェックもしていました。
――― 入学された理由を教えてください。
25歳から地方公務員をしていました。料理が好きだったので、30代後半あたりから、「多分定年後になるだろうとは思うけど、いつか居酒屋をやれたらいいな」と思っていました。
料理が好きで普段から自炊はしていましたが、あくまでも素人料理だったので、しっかりと料理の基礎を学びたいなと思いました。また、開業していくにあたっては特に経営に関して不安があり、専門的に学べるようなスクールを探していました。本格的に開業を考えてスクールを探し始めたのは、47歳くらいからです。
――― レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。
最初は、調理だけを学ぼうと思って学校を探していました。レコールバンタンキャリアカレッジは、調理だけでなく経営面も学べる点に魅力を感じました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶと決断する前に、悩まれた点があれば教えてください。
正直、学費は安くないかなとは思います。ただし、費用面については仕方がないのかなと思いました。
――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?
調理のスキルを向上させたいと思っていました。そして、自分が思い描いているような収支の予測でやっていけるのか、経営に対する自分の考えが甘くないのか?そのあたりが知りたかったです。
――― 印象的だった講師、授業はありますか。
「調理&メニュープランニングコース」は、包丁の持ち方など基礎から教えてくれます。それまでも好きで調理をやっていましたが、あくまでも「素人の感覚」だったなと感じました。
また、「調理&メニュープランニングコース」では複数の講師の方が指導してくださいました。その中でも原島講師は、食材の組み合わせなど、発想が面白かったですし、手塚講師は、基礎に忠実に丁寧に教えてくれました。おふたりの調理に対するアプローチがまったく異なるので、どちらも知れたのは良かったです。
――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?
「調理コース」で習ったメニューは、「CRAFT PORT FUNABASHI」でも提供しています。例えば、ポテトサラダは当時学んだレシピをアレンジしてお出ししています。経営に関しては、「来店客数の見込み」や「収支予測」も作成しましたが、実際に運営していくと「これくらい入るだろう」という見積りと、実際の来客とが合わない場合がほとんどです。なので、集客見込みに関しては、知識として得ておくべきだなと感じることはあります。
もうひとつ、バンタンならではの魅力があります。バンタンに通われている在校生が閲覧できる「Slack」というSNSがあるのですが、「お店のロゴが制作できる人はいませんか?」と呼びかけたところバンタンでデザインを学んでいる方から「やりたいです!」とお返事をいただき、ロゴ制作を依頼することになりました。結果的に満足のいくデザインに仕上がりましたし、これはさまざまな分野を学べるバンタンならではのメリットだと思います。また、今働いているスタッフの一人もSlackで募集し、採用した方です。
――― 在学中または卒業後に、アルバイトなど飲食業界の経験をされましたか?
開業予定の業態と似ているパブで、働きました。開業前の半年間でしたが、アルバイトはしておいて良かったです。アルバイトのときに、自分が開業をして店長になったときのイメージトレーニングができたと思います。実際に店長になったときのどういった部分を注意して店舗運営をしていけばいいのか、シミュレーションができたと思います。
――― 入学前に描いていた開業とイメージに変化はありましたか?
「立地」がすごく重要だなと感じました。
自分自身は、クラフトビールのお店を目指して、ビル上層階でも気にせず足を運んでいました。なので開業前は、立地はそれほど重要視していない部分がありました。クラフトビールのお店に限らず、「良さそう」で飲食店を見つけてふらっと入るタイプではなかったんです。また、自分が持つイメージでは、クラフトビールが飲めるお店に来るのは、調べて目的地として来る人が多いと思っていました。ただ、開業してみると、目についた飲食店に入る人もけっこういらっしゃいます。「CRAFT PORT FUNABASHI」は2階なのですが、そこは失敗したかな?と思います。開業する前の自分のイメージだと、目的来店のお客様が多いと思いましたが、意外と一見さんでふらりと入る人も多いです。
――― 在学中「開業サポート」は活用されましたか?
宮崎講師に相談しました。具体的な質問内容は忘れてしまいましたが、お店の経営、運営に関する疑問をうかがいました。1回から 2回ほど利用し、不明点が解決できたのは良かったと思います。
<卒業後について>
―――― 開業された経緯を教えてください。
2024年10月18日に開業しました。
約25年前にカナダを一人旅したとき、現地で飲んだビールの種類の多さと美味しさに衝撃を受けました。もともと料理も好きだったので、いつかはクラフトビールと料理を提供する店を持ちたいと考えていました。地元である船橋エリアで開業したいと考えていて、在学中から、店舗探しは始めていました。いい物件があればすぐにでも!という気持ちでした。
当初はコンパクトなお店を想定していて、ビールの種類も少なく厳選するイメージでした。小さめの飲食店の居抜き物件があればいいなと思っていました。物件探しはいちばん苦労しました。そもそも良い物件が、なかなか出てこないんです。出てきても賃料が高く、難航しました。現在の店舗も、正直なところ当初の希望とは少し違いました。2階ですし、自分が想定していたよりも少し広いです。たまたま出てきたので、すごく気に入ったというわけではありませんでしたが、「この物件を逃してしまったら、これ以上いい物件は出てこないのではないか?」という焦りもあり決めました。決断したのは2024年8月頃で、居抜きではなくスケルトンの状態でした。
―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。
<お日にち>
2024年10月18日です。
<店名・コンセプト>
昔から、クラフトビールが好きでよく飲んでいました。クラフトビール専門店は、江戸川をこえると急に数が少なくなります。都内には数多くありますが、船橋エリアですと競合も少なくチャンスがあるだろうと考えました。結果的に、想定よりも大規模なお店になり「店の目玉が必要だろう」と考えました。クラフトビールは常時10種類前後を揃えていて、実際に飲みにいって納得した醸造所のビールを中心にセレクトしています。
店名については、クラフトビールと船橋が港(PORT)町であることから名付けました。また、港は船が帰ってくる場所なので、お客さまが帰ってきたと思えるような落ち着く場所にしたいという思いも込められています。
<デザイン>
レコールバンタンキャリアカレッジで講師をされている、佐々木玲講師にお願いしました。内装については「カウンターメイン」であること、そしてクラフトビールを提供するので大きなビールサーバーを置く前提でご相談をしました。ビールサーバーを置く必要があるので、どうしても譲れないポイントだけをお伝えして設計をお願いしました。
<場所>
船橋駅周辺で、自宅からも通いやすい立地で探しました。
<客層>
開業前は30代以上で、近隣に住んでいる人、働いている人を想定していました。実際に、顧客層のイメージは間違っていなかったです。クラフトビールは一般的なビールに比べて単価も高いので、20代にはなかなか手が出しにくい印象です。
―――― 特に売れ筋のメニューについて教えてください。
お好みにはなりますが、醸造所では忽布古丹(ホップコタン)醸造さん、ノースアイランドさん、DD4Dさんは人気があります!また、ビールに合うフードが人気です。フィッシュ&チップスはタラが2切入っています(税込980円)。注文を受けてから伸ばすシンプルなマルゲリータピザ(税込1180円)も人気です。
―――― 「値付け」はどのように行われていますか。販売価格の付け方など、コツがありましたら教えてください。
クラフトビールに関しては、仕入れ値を参考に、売価を3段階に分けて設定しています。
フードに関しては、地域の飲食店さんの相場を参考にしています。
―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。
日々運営していくにあたり、想定していなかった雑用が多いなと感じます。
開業前も、飲食店経営にあたって、「仕入れ」「仕込み」「調理」があることはイメージできていました。お客さまとお話をして、「掃除」をして、収支を計算して店をしめるといった仕事はあるものと思っていましたが……実際には、例えばアルバイトさんを雇うだけでなく、雇ったあともスタッフの賃金の計算をする必要があります。また、勤務シフトを組んでも、体調不良などで当日シフト通りに来られないケースがあり、人員の補充をしないといけません。そういうことが頻繁に起きるので、飲食店の“表に見える部分”以外の業務が多いなと感じています。もうひとつは集客の面です。今後、広告や宣伝をどうしていくのかを考えなくてはいけません。
―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びはどのような時に感じられますか。
「CRAFT PORT FUNABASHI」に来てくださったお客さまが喜んでくださる姿を見られると、こちらも嬉しくなります。
「お料理が美味しい」と言って帰ってくださるお客さまや、先日は「午前中にイヤなことがあったのだけれど、美味しいものを食べられてイヤなことを忘れられた」といって帰ってくださったお客さまもいました。そういう言葉をいただけると、お店をやっていて良かったなと思えます。
―――― 日々の大変さはどのようなところでしょうか?
「CRAFT PORT FUNABASHI」の場合、結果的に想定していたよりも広いお店で営業することになったため、スタッフを複数名配置する必要が出てきました。そのため、スタッフの管理は大変です。もう少し小さなお店で、個人で営業されるのであれば、そうした苦労は抑えられるかもしれません。
―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?
何が必要か、日々私自身も考えているところですが……少なくとも、「料理の腕だけじゃない」ということは感じています。お客さまは「単に美味しいから来ている」わけではありません。立地の問題もあるでしょうし、時流に乗ったトレンドを上手くつかみ、料理を考えて提供する、そういったこともとても重要かなと思います。
何かで読んだのですが、「最近のお客さまは料理を食べているわけではなく、“情報”を食べている人も多いのではないか」という考察を知りました。「このお店で食べた、飲んだ」ということをSNSなどで知らせたい人も多いです。「美味い、美味くない」はもちろん大切な指標ではありますが、いちばんではなくなってきている感じもあります。お客さまが何を求めているのかを考えるようにしています!
――― 今後の目標はありますか。
繁盛店にして、店舗拡大をしていきたいのはもちろんですが、地場産業と一緒に地域を盛り上げていければと思っています。船橋は農業や水産業も実は盛んなんです。今は西船産の小松菜しかメニューに入れられていませんが、船橋産の鱸のフィッシュアンドチップスを提供できるようになれたらと思っていて、地域を盛り上げていきたいです。
――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジはオススメしていただけますか。
良いところは、料理だけでなく経営も学べるようにパッケージングされていること。調理だけ、経営だけになってしまうところはあるけれど2つまとまっているので効率的に学べると思います!
―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!
授業の中身を活かすも活かさないも、ご本人次第です。授業内容自体は、良い内容だと思います。ですので、どのように受けてどう進めていくのかを是非考えてみてください。
そして、この記事を読んでいる皆さんが、良い物件を見つけられますようにと願っています。宮崎講師の授業でも、物件探しの際のポイントを教えてくださいます。物件選びにはこだわってくださいね!
<SHOP INFO>
Instagram: @craftportfunabashi
047-404-4709
千葉県船橋市本町1-13-13 2F
営業日:月・火・水・金/13:00 – 23:00(13:00~17:00は前菜及びドリンクの提供のみ、L.O. 料理22:00、ドリンク22:30)、土・日・祝日/12:00 – 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
定休日:木曜日