21.12.13 24.04.01 更新

<講師がプロデュースに携わるお店> 中島講師プロデュース。地域の方の「コミュニティスペース」を目指して。抹茶ドリンク&スイーツが看板の古民家カフェ「Chanoma」がオープン。

授業/特別講師/講演会
東京校

 

レコールバンタン 中島講師プロデュース。地域の方の「コミュニティスペース」を目指して。抹茶ドリンク&スイーツが看板の古民家カフェ「Chanoma」がオープン。

 

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JR池袋駅から徒歩で10分ほど。

どこか懐かしくて、新しい雰囲気を持つ複合型施設「ニシイケバレイ」を訪ねました。

和食と日本各地の地酒が楽しめる「わく別誂 寄り路処ふう」、作家さんの本格的な作品をを気軽に買えるショップ「うつわ base FUURO」、屋外運動スペース「Terrace」、コワーキングスペース&シェアキッチン「Attic」など、さまざまな施設が揃います。

「ニシイケバレイ」一画に、築約70年の木造平屋をリノベーションした古民家カフェ「Chanoma」が、2021年12月1日にグランドオープンしました。西池袋のビルの谷間とは思えないほど、豊かな緑が印象的。また、建築専門の月刊誌『新建築』や『商店建築』にも掲載されるほど、注目度の高いお店です。

カフェ専門家として活躍する中島講師と、「ニシイケバレイ」全体のディレクションを担う有限会社深野商事代表取締役・深野弘之さんが出迎えてくださいました。

 

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(写真 左:中島講師、右:深野弘之さん)

 

 

<プロデュースするキッカケは、卒業生ブランド「林檎と紅茶と」>

 

――― どのようなキッカケでプロデュースを?

中島講師「レコールバンタンキャリアカレッジ卒業生の居石(すえいし)さんが、ブランド『林檎と紅茶と』(@ringo.to_koucha.to)を始めるにあたり、個人的にサポートしていたんです。

スタート当初は、無店舗の業態でしたが、実店舗を持つために奮闘されていたので、『まずは、地元・池袋でシェアキッチンを探してみたら?』とアドバイスしました。そこでご縁があったのが、『ニシイケバレイ』内にあるシェアキッチン『Attic』です。

居石さんがシェアキッチンに入居され、オープン初日にお邪魔したとき、偶然お会いしたのが深野弘之さんです。ニシイケバレイのオーナーで、エリア開発のディレクションを務めていると知りました」

 

 

――― ニシイケバレイがオープンしたのはいつですか?

「ニシイケバレイ」オーナー深野さん「2020年の7月29日です」

 

 

――― ニシイケバレイの中で「Chanoma」とは、どのような位置づけでしょうか?

深野さん「ここは、もともとは私の祖父が75年前に建てた家なんですよ。

『ニシイケバレイ』のセンターにあるので、飲食店ではありますが、私設公民館的な存在で、エリアのハブのなるような存在でありたいと思っています。

現在の『Chanoma』には、少し前まで飲食店のテナントさんが入っていたんです。ただ、コロナ禍が直撃したこともあり、結果的に2021年6月に退店されました。

その後、僕と妻と仲間とで直営のカフェを始めようと模索しました。『多世代が気軽に集える場にしたい』『定期的な茶道のお稽古や味噌づくりなどのワークショップも共存させたい』など、想いはあるけれど、未経験だったこともあって思うようにできず、もどかしさと限界を感じていました。

想いを共有できるディレクターがいて、実行チームがいるといいと思っていた矢先に出会ったのが中島講師です。明るくて前向きな方なので、相談すると、Chanomaについての新しい構想が一気に広がっていきましたね」

中島講師「『林檎と紅茶と』がオープンしたとき、Chanomaも外から店舗を拝見していたんです。『この物件は古民家カフェなのかな?』と思っていました。実は、僕が取締役でもある株式会社リノベーションプランニングで、下北沢にあった古民家カフェ『mois cafe』を手掛けていたので、古民家カフェのポテンシャルの高さは分かっていました。また三軒茶屋の古民家カフェ『rain on the roof』も、コロナ禍にも関わらず、変わらず多くのお客様に支持されているのを見ていました。また、僕自身も得意なカフェ業態のひとつです」

 

 

――― 古民家カフェの強みとは何でしょうか?

中島講師「そうですね、2つの側面があると思います。日本人にとっては田舎の実家のような、懐かしい安心感です。外国の観光客からすると、木造建築はトラディショナルで魅力的。僕たちがヨーロッパを旅行して、石造建築を素敵だと思うのと一緒です。そういった意味でも、オーナーの深野さんには『持っているポテンシャルが高いです。求人も集まると思います』とお伝えしました」

深野さん「畳の上でコーヒーを楽しめる『スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店』も、人気がありますよね。

東京でこうした空間があるのは珍しいと思います。市中の山居のような。懐かしくて、新鮮な空間。

 

 

<メニューのキーは、「抹茶」>

 

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(写真:抹茶ラテ(HOT/ICE)600円、濃厚抹茶テリーヌ 650円)

 

――― メニュー開発のポイントは?

中島先生「レコールバンタンの授業でも教えている『ストーリーブランディング』を意識しました。オーナー深野さんの趣味をヒアリングすると、お茶のお稽古をされていると知りました。そこで、抹茶を売りにしたほうがいいと提案させていただきました。また、深野さんご自身も、食への造詣が深い方です」

深野さん「大学卒業後に、自然食品や無農薬の食品の流通に身を置き、『有機JASマークの検査員』の仕事をしていました。

認定機関の依頼を受け、現地の工場や、田んぼなどに赴き、製造・生産過程を細かくチェックするため、日本全国の産地を巡っていました。実際に産地に足を運ぶので、作り手の方とのお付き合いや繋がりが広がったのも今に生きています。

Chanomaで使っているのは、愛知県西尾産の抹茶です。自分が共感する食材を商うのは楽しさがあります。生産者さんのバックボーンなども伝えていきたいですね」

 

 

――― なるほど。お茶のお稽古も実施されているのでしょうか?

深野さん「Chanomaは18時までの営業なので、閉店後にお茶のお稽古やワークショップも開催したいと思っています」 

 

 

<目指すのは、目先の売り上げではなく、エリア全体の価値を上げること>

 

中島講師「お話をうかがって、中長期にしっかりとお客さまを作ろうという提案をしました。

例えば、『瞬間的に売り上げをあげる方法』なら、お客さまの目の前で作る『抹茶のモンブラン』などフォトジェニックでライブ感のあるメニューでSNS映えを狙ったと思います。しかし、Chanomaの場合は、単体での仕掛けというよりも、ニシイケバレイとしての丁寧な仕掛けを考えないといけません」

実は、深野さんはこの土地で17代続く地主さんでもあるそう!

深野さん「隣にあるマンションには、約100件世帯が住んでいます。一般的に、マンションではご近所同士の繋がりが希薄になる傾向がありますが、ここニシイケバレイでは、グランドフロアに来れば住人さん同士、気軽にコミュニケーションをとることができます。いい会話が生まれ、いい笑顔がある場所になれば、街も活気づき、エリアの価値が上がるのではないか、そんな期待感もありますね。入居したい人のウェイティングが出るくらい、人気が出たら嬉しいです」

中島講師「Chanomaのコンセプトは、街のコミュニティに根付く『第三の家』。エイジレス、ジェンダーレスに受け入れられて集まりたくなるような空間を目指します」

深野さん「住人の方も、気持ちのいいコミュニティスペースができたら心地いいと思います。

池袋西口エリアの特徴として、ラーメン店、居酒屋、カレー店はあるけれどカフェはほぼありません。なので、貴重な存在です。地元の人が気軽に集えて、さらにここで新しいことを学べたり知れたりする場所にしたいですね」

 

<軒先でいただく、ワンハンドスイーツ「干し柿のバターサンド」も開発中>

 

バリスタの加藤さんは、コーヒーマシン「『VICTORIA ARDUINO/E1 Prima』という機種を導入しました。シングルグループエスプレッソマシンでありながらボイラーが二個ついていて、リカバリーが早いのが特徴です」と話します。また、抹茶ドリンクを提供する際は抹茶をふるい、茶せんを使って、一杯一杯を丁寧に点てる姿が印象的でした。

 

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――― 今後の展開については?

中島講師「縁側に座って、ワンハンドで食べられるおやつ『干し柿のバターサンド』を当社顧問でもありレコールバンタンで講師を勤める白田さんに開発を依頼中です。Chanomaの軒先には柿の木が生えているので、雰囲気ともリンクしています。他のメニューにも、和の食材を積極的に入れていく予定です。また、Chanomaに来た人がシェアキッチンで営業するお店を発見したり、和食『わく別誂 寄り路処ふう』でお酒を飲んだりと、施設同士での掛け算が生まれていくと思っています」

深野さん「ニシイケバレイを、『歩いて楽しみや交流を促すウォーカブルな施設』として街に根付かせていきたいですね。行きつけのお店を増やしてもらい、顔なじみが増えて、結果地元の祭礼も、これまで以上に活気づけばいいなと願っています。街全体で豊かになっていくことが理想です」

 

実店舗を作ることは、街づくりと深く繋がっていることが分かります。

住む人、寛ぐ人、働く人だけでなく、これから街に住みたいな、という未来の住人にもアピールできる存在として、カフェをこえた役割をChanomaが担っているように感じます!

 

 

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<SHOP INFO>

東京都豊島区西池袋5-12-3

10時~18時

@chanoma11

 

 

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