21.06.13 24.04.01 更新

<大阪卒業生インタビュー>STRAY CAT CAFÉオーナーバリスタ 澤山勇士さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。 外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、STRAY CAT CAFÉオーナーバリスタ 澤山勇士さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

――――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次をお教えください。

JBAバリスタライセンスコースを、2016年3月卒業しました。入学時は 29歳のときで、半年間のコースでした。

 

 

――――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

20名弱かな。卒業間近に、みんな仲良くなった感じです。日曜だけのコースでした。

 

 

――――― レコールバンタンキャリアカレッジ大阪校を選ばれた理由を教えてください。

漠然と「お店をやりたい」、「カフェで独立したい」と思っていました。勉強したいなと思ってネットで調べていたときに、レコールバンタンキャリアカレッジさんがネットで出てきました。快く校舎案内もしてくれて、プロ講師に学べることなどが決め手になりました。

 

 

――――― それまでは、どのような仕事を?

全く別の業界です。5年ほど物流の仕事をしていました。倉庫で、荷物をピッキングしてラップを巻いて、リフトですくって、トラックに積んで。そのままトラックで、お客さんのところを回る日もありました。メインは出荷作業なので、裏方の仕事です。飲食業経験は、高校の居酒屋でバイトしたくらいです。

 

 

――――― 別業界から、なぜ飲食業での独立を選ばれたのでしょうか?

仕事で楽しいと感じたことがなかったから。お金を稼ぐために仕事をしている感覚で、ただ働いていて、つまらなかったですね。自分で楽しいと思えることを仕事にしたいなと思っていたんです。

レコールバンタンキャリアカレッジ入学前から、喫茶店に行くのが好きでいくつかのお店に通っていたんです。コーヒーも好きやったので、家でも淹れていましたね。

 

 

――――― 転機になるようなお店があったのでしょうか?

ある豆屋さんの、コーヒーの味わいに衝撃を受けたんです。東大阪の「ヤスナガコーヒ」という、82歳のおじいさんが一人でやっているところです。お店を知ったのは、ほんまに偶然です。

開業60年で、他の店で飲むのとは比べものにならないくらい美味しい。信念を持って同じ味を守り続けていたので力になりたい、じいちゃんの味をもっとみんなに知ってもらいたいと思い、移動販売をやることになりました。

ブラックコーヒーなのに甘い『あぅまーいコーヒー』と題しています。コーヒーって、苦くないんよというのを教えてもらいました。野菜にしても果物にしても、美味しくて新鮮なものは甘いじゃないですか?コーヒー豆もそれと一緒。新鮮で淹れたてのおいしいコーヒーの味を自分でも出せるように、じいちゃんの独自のやり方をこっそり教えてもらい、味を近づけています。

 

 

――――― お店に弟子入りという方法はなかったのでしょうか?

昔ながらの頑固じじいで、弟子を取らんやろうなと思っていました。商売っ気がなく、行くと爆睡していることもあるくらい(笑)なので、よそでコーヒーの基礎を学べたらなと思いました。

 

 

――――― なるほど。入学時に、学びたい、身につけたい目標は何でしたか。

レコールバンタンキャリアカレッジに入る前から、本を買って独学していました。淹れる方法も、何が正しいかとかも分からへんかったので、直接プロ講師から話を聞けたら手っ取り早いと思いました。

 

 

――――― 印象的だった講師、授業はありますでしょうか

鈴木講師。協力的で講義も分かりやすかったです。あとは、授業とは関係ないんですが、クラスで飲みに行くとなったら絶対くる(笑)飲み会の出席率がめちゃくちゃ良かったです。 

実は僕が独立するとき、ナガタ講師には話をしていましたが、鈴木講師には伝えていなかったんです。にも関わらず、こっそり来てくれて。年齢が近いこともあって、すごく良くしてもらったなと思います。

 

 

――――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることはありますか。

授業で習った知識は、事前に把握していたんです。なので、直接確かめられたと思います。復習というか、再確認するような感覚でした。エスプレッソマシーンの使い方から、ハンドドリップまで学べて良かったです。

本だけではやはり難しいので、技術的なところがいちばん大きな学びですね。エスプレッソの抽出も、マシーンによってスチームのパワーや時間も変わってくるので、そうした細かいところを感覚的に知れて良かったです。

 

 

――――― 入学時は、仕事を続けられていましたか?

はい。仕事をしながら通っていました。福利厚生が良く、土日休みだったので。

 

 

――――― 開業された経緯を教えてください。

車で移動することが好きだから。前職は配送の仕事だったので、「移動しながらカフェを開けたら最高やな」と思ったんです。そのときに始めて「移動販売」という分野があることを知りました。コーヒーを勉強していましたし、「色々なところに行けるのも、めっちゃ自分の性格に合っている」と思い、卒業したら本格的に準備しようと思いました。

 

 

――――― 移動販売のメリットは。

移動販売は、固定店舗より予算が少なくていいし、密になることもありません。コロナ禍で宅配、デリバリーの需要があると思ったので、やるなら今だなと思いました。ピンチはチャンスですね。

 

 

――――― どんな準備をしましたか。

まず、キッチンカーについて調べました。実際に移動販売車にお客として買いに行って、車の中をのぞかせてもらったりしていました。「俺やったらこうする」というのをメモしていきましたね。でも、開業するとなると、足を踏み出すのには勇気がいりました。フランチャイズの話も聞いてみようと思って4件くらい回りました。でも、ロイヤリティ、加盟金などが掛かり、自分の好きなようにはできない。扱う商材も、クレープとか限られているので「アホらしい。もうええわ」と、ひとりでやることを決意しました。やるって決めたのは、2020年1月、2月くらい。移動販売車取得に、いちばん時間がかかりました。大体2か月くらいですかね。ようやっと5月に車が決まって、2020年10月開業しました。

 

 

――――― 移動販売車を選ぶ際に、こだわった点は?

見た目、内装、価格ですね。相場は、150万円から300万円くらいなんですが、オークションで70万円で購入しました。

 

 

――――― エスプレッソマシーンは?

エスプレッソマシーンは使っていません。じいちゃんは「あんたのやりたいようにやったいいで」と言ってくれたので、それなら「じいちゃんの味」一本でいくと。バリスタライセンスも取りましたが、学んだことがゼロになる訳ではないですしね。ハンドドリップで一杯いっぱい丁寧に淹れることを売りにしています。

 

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――――― 場所、店名、コンセプトについてのこだわりを教えてください。

<出店場所>

最初に思い浮かんだのはレコールバンタンキャリアカレッジさんでした。僕の出発の地なので、「間借りさせてもらえんかな」と連絡したところ、快くOKしてくれました。卒業生が店をやることは在校生にも刺激になるし、宣伝にもなると思いました。ところが、ビルのオーナーさんから許可が出ませんでした。

せめて、校舎から近い場所で借りられないかとネットで探し徒歩10分のビジネスホテル「WEST MIMARU」を見つけました。コロナの影響で閉鎖していたので、スペースを貸し出していたんです。講師の方々も来てもらって、嬉しかったですね。

 

<店名>

STRAY CATは野良猫、という意味です。僕の生まれた日が2月22日でネコの日なんです。ネコ好きというのもあり、「野良猫」のように自由気ままに移動しながらカフェをしようという想いを込めました。

<ロゴデザイン>

頑張って自分でデザインしました。ネットで探したイラストレータさんにデザインを渡し、作成してもらっています。

 

 

――――― かかった費用は?

車の購入費、ロゴのデザイン費、名刺ショップカード制作費などですね。他にも、保健所の申請に16,000円かかりました。コーヒーキットとミルは持っていたので、そのまま使いました。他には、タペストリー、カップに貼るシール代など細々とした経費ですね。

 

 

――――― 豆はどこから購入していますか。

「ヤスナガコーヒ」です。抽出にはコツがあって、かなり独特の方法です。一般的には「辞めましょう」と言われるような方法で教科書通りではありませんが、このやり方でないとおっちゃんの味が出せません。

 

 

――――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

手続き的なところで、やらなあかんことが多すぎる。自分はとことんやるタイプなので、ポップも自分で書いて、デザインの「商標登録」もしました。万が一、他の店でロゴを使われていたときに商標登録していないと文句も言えないので。保健所の申請も大変でしたね。車選びも、ロゴも、全部自分でせなあかんので、そういう苦労はありましたが、それ以上に楽しかったです。一つずつ片付けていくのは大変だけれどリターンがあるし、全部楽しかったです。一人で自由にお店を作る醍醐味やと思います。

 

 

――――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

キッチンカーで初めてお客さんに「美味しい」と言われたとき、めちゃくちゃ嬉しかったんです。この気持ち、絶対忘れたらあかんなと思いました。流れ作業になってはいけないし、「ありがとうございます」という気持ちです。

あとは、2回、3回と来てくださる方がいると、もうとにかく嬉しいですよ。キャンプで使うような簡易テーブと椅子を設置したんです。お客さんが寛いでくれて、めっちゃゆったりしてくれるのがすごく楽しい。あとは、近所の人がけっこう来てくれて「毎週店出してるなー」とか「頑張ってるな」と、おっちゃん、おばちゃんが声をかけてくれると、励みになります。

 

 

――――― では、大変さはどのようなところでしょうか。

実は、プライベートでいろいろあり、2月から休業しています。地元である兵庫県・高砂市に引っ越してきました。こっちで店をやろうかなと思っていて、準備しています。休業する前に「小規模持続化補助金」を申請していたところ、補助金150万円がおりる、ということで焙煎機を買い足したり、事業拡大の計画をしています。実は4月1日からカメラマンの仕事も始めているんですが、それも楽しくて……。今の仕事を楽しみながら、再開店の準備を始めようと思っているところです。

 

 

――――― 飲食業で活躍するうえで必要なスキルは?

コミュニケーション能力。どの業界でもそうだと思います。お客さんが来てくれるのは、単にコーヒーが美味しいからではなく、「コーヒーを売っているけれど、自分に会いに来てくれている」からだと思っています。どんなにコーヒーが美味くても、店主が不愛想だったら誰も来てくれません。積極的に自分からコミュニケーションしていかないといけません。もちろん、中には、話しかけられたくない人もいるのでそれを察する力も大事です。

 

 

――――― ありがとうございます。レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願い致します。

学べることは一杯あると思います。単に知識や実践だけでなく、学校に行くことで人と繋がることができます。クラスメイトのLINEグループがあるんですが、開業するときはみんなが応援してくれました。同じ意識を持った仲間ができ、その付き合いはこれからも財産になると思います。レコールバンタンキャリアカレッジさんが「出店を喜んでお受けします」と言ってくれたことも嬉しかったです。仲間と、切磋琢磨できる場所だと思います。

 

 

 

<HP>

@straycatcafe222

https://www.straycatcafe222.com

 

 

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