21.06.24 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>きたみcoffee オーナー 北見義弘さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。

外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか?

 

最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、きたみcoffee 北見義弘さんにインタビューを行いました。

 

0061北見義弘様.jpeg

 

 

<在校中について>

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

す。

58歳のとき、カフェオーナークラス(現:飲食店開業コース)に入学しました。2014年に入学し、2015年3月に卒業しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください

週1回、土曜日のコースです。スタート時は30名くらいで、卒業時は15名でしたね。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジ東京校を選ばれた理由を教えてください

ネットでカフェスクールを検索し、知りました。プロ講師に教えてもらえる点が良かったです。それまで私は包丁が怖くて使えなかったのです。入学前に、そのことを講師に打ち明けると「皮むき器を使えばいい。それでいいじゃないですか」と言ってくださったことがとても印象的で、今でも覚えています。

 

 

―――― それまではどのようなお仕事を?

外資系IT企業に30年間勤務していましたが、リーマンショックを機に早期退職。別のIT企業に再就職し、営業兼技術部長として6年ほど勤めました。

 

 

―――― 入学のキッカケは?

2000年頃から、世の中に「スペシャルティコーヒー」が出てきました。中小規模のコーヒー会社でも、コーヒー豆の産地に赴き買い付けていました。もともとコーヒーが好きだったので、あるコーヒー会社のカッピングセミナーに度々参加していました。街なかのカフェで飲むものとはまったく違った味わいで、衝撃を受けましたね。セミナーに参加するうちに、味も豆の特徴や個性も分かるようになってきたんです。そこで、コーヒーの店をやりたいという気持ちが芽生えていきました。入学時は、「カフェをやらないといけない」と思っていて、カフェの傍らでコーヒー豆を売ろうと考えていました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたでか。

開業に必要な知識や、調理の技術を得たいと思っていました。カフェをやるのであれば、フードメニューも提供しなくてはいけないだろうと思っていました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか?

宮崎講師。知識に、隙がまったくなく、どんな質問にも完璧に答えてくれました。私が知らないことや、ノウハウを惜しみなく教えてくれました。

性格も明るいし、授業の雰囲気もいいしフレンドリーでした。午前中に調理を習い、午後は宮崎講師の授業で、とても楽しみでしたね。

宮崎講師にはコンサル料を払って、物件選びの相談にも乗ってもらいました。物件も一緒に見てもらい「ここはやめたほうがいい」など意見をもらいました。今の物件は、駅からは遠いけれど、ここはいい!とお墨付きをもらっています。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネススに活かされている」と感じることはありますか。

宮崎講師から、飲食業の経営の仕方や、数字の出し方をすべて習っていること。ベースは宮崎講師の考え方ですが、価格の設定に関しては私なりにアレンジしています。

例えば、一般的な値段の付け方は、原価率が何%で、家賃はいくら、人件費をいくらで、原価から数字を出します。なので、一般のコーヒー豆屋さんも、ブラジルの豆は480円、コロンビアの豆は520円など10円刻みで価格が違いますよね?

価格を10円ずつ刻むと、お客さまは味ではなく、値段で考えて選ぶようになってしまいます。なので、当店では、原価からはじくのではなく、このコーヒーならいくらの味だ、という基準で価格を設定をしています。 

きたみcoffeeでは、値段はたった2種類で230g1袋1500円か1800円。1500円が10種類以上あり、お客さまは金額を気にせずに「どういう味なのか?」ということに専念して選べるようになります。結果的にお客さまの「選びやすさ」になっていると感じます。1800円はグンと味が上がります。1800円は、十何種類揃えています。ただし、この価格設定も、「基礎」の方法を知っているからこそ応用できると思います。実はそれ以外にも独自の設定のコツがあります。

もうひとつは物件の選び方ですね。もしもレコールバンタンキャリアカレッジで学んでいなかったら、駅から近い物件を選んでいたと思います。そうすると家賃が倍になり、2年で潰れていたと思います。経営の数字の大切さを教えてもらっていたことは、ビジネスをするうえでとても大きいです。

 

 

―――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。

12か月のコースは、卒業する直前に、レコールバンタンキャリアカレッジ全クラス合同での販売実習がありました。1クラスを3チームに分けて、ご飯チーム、パスタチーム、パンチームに分かれてメニューから考え、店舗運営を行いました。

私はパンを使ったグループでドリンクの担当になり、ハンドドリップコーヒーを提供しました。次から次へと出していくので本当に忙しかったですが、お店の雰囲気や臨機応変に対応する大事さを肌で感じられました。

 

 

―――― クラスの仲は良かったですか。

今でもLINEで繋がっていますよ。ただ、ほぼ休みがないので会えていないですね。在校中は、クラスが終わった後に飲み会をしたり。卒業した後は、仲間の家の別荘に行きデイキャンプをしました。

 

きたみcoffee店舗正面.png

 

<卒業後について>

 

―――― 開業されたのは?

2015年7月開業です。スペシャルティコーヒーのビーンズショップで、コーヒー豆やオススメの器具を販売しています。

舌が肥えていない料理人が作る料理が洗練されていないのと同じで、コーヒーの味覚が分からない人が焙煎しても、味の良し悪しを判断できません。開業までの数年間、とにかくいいコーヒーを浴びるように飲みました。

 

 

―――― 焙煎は、どのように練習されたのでしょうか?

2015年当時は、レコールバンタンキャリアカレッジに焙煎のコースがありませんでした。なので、焙煎機のメーカーさんのショールームで、時間貸しで焙煎機を借りていました。

小さな焙煎機からスタートして、業務用焙煎機まで、何十回も試しました。流れをマスターした後は、焙煎の師匠に指導を受けるようになり、現在に至ります。

 

 

―――― 師匠とは?

師匠はこの道30年のベテランです。コーヒーのことを完璧に知り尽くしています。コーヒー豆を自家焙煎して販売されている方なのですが、時々きたみcoffeeの豆を送って、味を確認してもらっています。誰にでも教えてくれるというわけではありませんし、お叱りを受けることもあります。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりをお教えください。

 

<店名・コンセプト>

堅苦しい名前はつけたくなかったんです。漢字で書くと堅い印象になるので、ひらがなと英語表記にして「きたみcoffee」にしました。お店のイメージも雑貨屋さんのような雰囲気にしました。専門性を出すと客層が狭くなるので、カジュアルな店作りと接客を心がけています。

 

<場所>

当初は、地元である千葉ニュータウンで開業しようと思っていました。マンションも多く、ショッピングモールなども充実しています。2007年に千葉ニュータウンに家を購入したこともあり、地元で開業しようと思いました。ところが、駅前に個人店向けの空きテナントがなく、イメージに合う物件が見つかりませんでした。なので、お隣の八千代市で探すことに。不動産屋に相談し、いちばん最後に巡り合ったのが現在の物件です。自宅からも15分くらいで通勤できる素敵な場所です。

 

<ロゴデザイン>

デザイナーさんにお願いしています。マスコットキャラクターは、飼っているネコをモチーフに、デザイナーさんが作ってくれました。

 

<客層>

このエリアに住んでいる、30代から60代の女性が多いです。徒歩、自転車、車で来られます。ご夫婦やお子様連れも多くいらっしゃいます。

 

<焙煎機>

ドイツの「プロバット」を使っています。焦げないクリーンな後味が魅力で購入しました。

 

<サービス>

きたみcoffeeでは、休日はお店の外に行列ができるんです。丁寧に味を説明するのがモットーなので、試飲のコーヒーをお出しして10分くらいかけて接客しています。混んでいても、接客は丁寧にするようにしています。味にご納得いただけると、リピートしてくださる方も多いです。

千何百人いらっしゃるお客さまには、定期的にハガキを送っています。それは、きたみcoffeeの存在を忘れないでもらいたいから。安売りをするお店もあると思いますが、セールはしません。1年中同じ価格であることは、「お好きなときに来てください」というメッセージになると思います。

 

 

 

―――― 特にオススメのメニューについてお教えください。

グアテマラのサンタクララ農園です。創業当時からあるメニューです。試飲では、2種類ほど飲んでもらいますが、サンタクララ農園を出すと「これがいい!いちばん美味しい」と飛びつく方が多いです。

深煎りというと「苦い」と先入観を持たれる方が多いですが、心地よい深みがあり、後味に甘みを感じられます。味わいや余韻も、多くの方に気に入られる理由だと思います。

 

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―――― 新型コロナウィルスの流行で、心がけていらっしゃることについてお教えください。

それまで、試飲は4種類のコーヒーを提供していましたが2種類に減らしました。また、以前は店内に、2組6名ほど入れていましたが、密にならないよう、1組しか入れないようにしています。入口にはアルコールを設置して、消毒していただいています。

新型コロナウィルスの影響で、来店するお客さまは増えました。ご主人がリモートワークになり、家でお仕事をされている方が多く、それまで会社で飲んでいたコーヒーを、家でもがぶがぶ飲んでいるようです。2袋買っていた人が3袋買ってくれるなど、1世帯あたりの消費量が増えていると感じています。2021年2月には個人事業主から株式会社化もできました。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

コーヒーを試飲して買って帰るとき、お客さまから「楽しかったです」「ありがとうございました」「コーヒーのことを詳しく聞いたのは初めてです、また来ます」と言ってもらえること。本当に思っていなかったら言えないですよね?

こちらこそ、ありがとうございましたという気持ちですが、「楽しかったです」と心から言われるととても嬉しい。私自身も、外食で感動したときはペーパーナプキンに「美味しかったです」とメッセージを残したりするんですが、同じことが自分のお店で起こっていると思うと嬉しいですね。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

朝5時前に起きて、出勤し焙煎を始めます。オープン前にはひと仕事終えているので、11時にお店を開けるときは、ヘトヘトなんていこうともあります。

あとは、毎日カッピングして味を確認していますし、知識も身につけなければいけません。

開業してから、日本スペシャルティコーヒー協会の「コーヒーマイスター」という資格も取りました。自宅でのテキスト学習のあとに実技セミナーを受講して試験を受けます。お客さまに何を聞かれても答えられるように、上級資格「アドバンスト・コーヒーマイスター」も取得しました。日々、自分の味覚や知識をアップデートしなくてはいけないところでしょうか。負けず嫌いなので苦ではありませんよ。

 

 

―――― スタッフさんは何名ですか?

妻のほか3人雇っていて、土日の接客に入ってもらっています。スタッフは、お客さまがどこからきたのか、どうやって当店を知ったのか、コーヒーの好みなどを全て把握しているんですよ。どのスタッフさんも接客上手なので、安心して任せられます。

 

 

―――― 豆はどのように仕入れていますか?

師匠に紹介してもらった名前を出せない商社さんから仕入れています。もうひとつ商社さんがあり、そちらからも仕入れています。生産者さんと手を組んでいる商社さんで、そこでしか手に入らない豆があります。

コーヒーは料理と一緒で材料が良くなければ、いい味が出ません。野菜も、生で食べたときは素材の味がダイレクトに出ますよね。いい生豆で焙煎すれば、本当に美味しい。お料理と焙煎は同じですね。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

スキルではありませんが、お店を長く存続させるためには、行き当たりばったりや思いつきではなく、宮崎講師のようなプロに教えてもらうことが大切。プロの講師にしっかりとコンサルテーションを受けて開業すれば、大きな失敗はないと思います。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に

ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

在学中も卒業してからも安心できる体制が整っているので、全面的に信頼していいです。コーヒーの講師も、料理の講師も、「分かるまで何度でも聞いてください」というスタンスで、丁寧に教えてくれました。包丁の使い方も初歩から応用までしっかり教えていただけます。

私も色々な料理を作れるようになりました。メニューによっては妻より上手に作れるかもしれません(笑)。講師とスクールを信頼して通えば、知識や腕は確実に上がると思います。

 

 

<きたみcoffee>

https://kitamicoffee.com

@kitami_coffee

 

 

北見さんありがとうございました!

 

 

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