22.05.13 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>Olaloa YOSHIHAMA オーナーブランジェリー 木村明美さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネス

をしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、神奈川県吉浜「Olaloa YOSHIHAMA」オーナーブランジェリー木村明美さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2021年に4月入学しました。半年間のベーカリーコース&開業プラニングコースを受講しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

土曜日にベーカリーの授業、日曜日に開業プランニングの授業がありました。ベーカリーは19名くらい、開業プランニングは20名くらいだったと思います。今でも、ベーカリーのクラスメイト17名とはLINEグループで繋がっています。プランニングも7名ほどお付き合いが続いていて、Olaloa YOSHIHAMAにも来てくれたメンバーもいます。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジに入学されたとき、おいくつでしたか。また、入学された経緯を教えてください。

62歳のときに入学しました。

開業前は薬剤師をしていたので、定年退職はありません。働こうと思えば80歳まで仕事ができる職業ですが、2020年にコロナ禍で「自粛生活」を強いられたときに、「ボロボロになるまで働くよりは、健康なうちに退職しよう」と考えました。また、これまで接してきた患者さんからの「病気のストーリー」を地域に還元していくフェーズだと考えたんです。「薬」を「食」に変え、未病、医食同源を表現していきたいと思いました。

東京体育館近くの薬局で、オリンピックに向けて海外からのお客さまへの対応を進めていましたが、その仕事を引き継ぎ2020年3月31日に退職しました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

パン製造業の基礎です。自宅で作るのと、お店で製造するのとでは方法が違うと思いました。量も種類も多いので、温度や湿度を管理した状態で、理論的に作る技術を学びたかったんです。もうひとつは、「大量仕込み」です。ひとりで全工程をできるのかという不安がありました。また、一人でどれくらいの調理ができるのか、知りたいと思いました。

開業プランニングでは、原価計算など数字を追いかける手法を学びました。「ただ売ればいい」という訳ではなく、ある程度の収益を上げるために、帳簿、マーケティング、ECサイト、SNSなどトータルで手掛けていく必要性を学びました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか。

ベーカリー講師は、卒業後もメールのやり取りをさせていただいていて、基本的なことから細かなポイントまで教えていただいています。私は、畑違いの業界にいたので、入学前は「素人には教えにくいのではないか?」と心配していましたが、杞憂でした。とても指導力のある講師で分かりやすかったです。余った生地で、別のパンを作るなど教科書にはない応用力、アイデア力を教えていただきました。また、エンタメカフェプロデューサー中島誠講師、佐々木講師、宮崎講師は良き相談相手です。

 

 

―――― 数ある専門校の中から、レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください

講師陣が充実していることがいちばんの理由です。講師陣が研鑽を積まれてきたことが感じられます。また、その技術を惜しみなく教えてくれます。授業料は決して安くはありませんでしたが、その分の価値があったと思います。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

基本は、とても大事です。自分だけで営業ができるように、パン作りの基本的なことを教わったのがとても良かったと思います。基礎をどう応用していくかはその人次第です。

 

 

―――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。

半年コースなので、ありませんでした。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

いいえ。趣味としてパンを焼いたりはしていましたが、手ごねと機械で仕込むのとでは全く違います。

 

 

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<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯をお教えください。

1年ほど前から、湯河原・真鶴の辺りで、主人と住む場所を探していました。2022年1月に移住し、地域に暮らす人々とのコミュニケーションツールとしてパン屋さんを開ければ、と考えました。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりをお教えください。

 

<オープン>

2022年3月12日オープンです。

 

<店名・コンセプト>

Olaloaは、ハワイ語で健康、長寿を意味します。吉浜に住む高齢者の健康維持に役立つようなパンを提供し、最終的には地域に健康長寿村を作ることが目標です。

一般的に、年を重ねると食欲が細くなりがちですが、高齢者にとってパンは食べやすく手に取りやすいメニューです。また、吉浜は海の幸、山の幸が豊富。地元で採れる無農薬野菜や果物も、パンを媒体にすることで届けられますし、食の安全が保たれるのではないかと考えています。できるだけ安く届けたいので、儲けを優先しようと思うとできないかもしれません。

吉浜に移住を決めた理由は、二拠点生活をするなかで、海を眺めてゆっくりと過ごすうちに「いい街だな」という気持ちが高まったから。吉浜は比較的コンパクトなコミュニティで、やりたいことが届きやすい街だと感じます。

 

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<場所>

自宅併設の店舗です。お店の部分は、もともとは、進学校の施設だった場所です。42畳と広々としたスペースで、イートインもできます。

近所の人と道ですれ違ったとき、挨拶はするけれどわざわざ自宅にあがってもらうのはハードルが高いですよね。でも、パン屋さんとして開放していれば誰でも気軽に訪れることができます。吉浜は高齢化が進んでいるので、コミュニティの健康を担保するために、自分自身が「食の提供者」にならなければいけないと考えました。

 

<内装>

自分が使っていた家具を配置しました。黒板も、そのまま残しています。パンのショーケースは、ガーデニング用の棚を組み合わせて、工夫して作っています。

 

<キッチン>

ベーカリーを開業する際は、内装よりも厨房機器に費用がかかります。Olaloa YOSHIHAMAでは、コンベンションオーブンが1つ、デッキオーブン2つ、冷蔵庫、冷凍庫、発酵機、クロワッサンのパイローラー、製氷機、食洗器、全自動のコーヒーマシンを入れています。お店の規模にもよりますが、トータルで1000万円くらいは見積もっておいたほうがいいと思います。

 

<客層>

65歳以上のお客さまが多いです。私も犬を飼っているので、店内はペットの同伴可としています。

 

―――― 開業に必要な許可証は?

飲食店営業許可、菓子製造業、食品衛生責任者です。最近はHACCP(ハサップ)が強化されました。

 

 

―――― 特にオススメのメニューについてお教えください。

天然ヴァニラビーンズを使った「自家炊きクリームパン」(税込160円)、湯河原産レモンをハチミツに漬け、手作りカスタードクリームで包み込んだ「はちみつレモン」(税込160円)、ホシノ天然酵母を使った「天然酵母くるみぶどう」(税込330円)、「ハーフ全粒粉バタール」(税込300円)です。常時28~29種類のパンを揃えています。

 

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―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

一人で、全て決めなくてはいけないことです。細かな仕様の部分を、できるだけ経費をかけないで決定していくこと。レジひとつにしても、あらゆる選択肢の中から何を選ぶといいのか、決めることが大変でした。

そこで力になったのが、レコールバンタンキャリアカレッジの卒業生や友だちです。同業で起業した人に話を聞くことが、とても参考になりました。お店を見に行って、どういうレジを使っているのか?月の電気使用量はどれくらいかかるか、何品目を作っているのか、冷蔵庫にフィリングをどのようにストックしているかなど細かく教えていただきました。ネットでも情報は調べられますが、いい加減だったりもします。細かい仕様は、現場を見たほうがいいので、入学される人は是非、先輩方を頼るといいと思います。100円均一ショップを利用してコストを下げるのも一つだと思います。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

初めて来てくださる人が、また来てリピートしてくださると嬉しいですね。

お客さまから意見を聞き、商品に反映し、その結果また来てもらえると「明日もちゃんと作らなきゃ!」という気持ちになります。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか。

オープンして最初の一週間は十分な睡眠時間が取れない日もありました。徐々に頭の中にレシピが入ってきて、効率よく段取りが組めるようになってからは、生産性が上がりましたね。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルは?

お客さまあってのお店だから、大切にすること。裏切らないこと、食材ひとつに手を抜かないこと。小さなことですが、伝わります。「愛情がある」と自信を持って伝えられるように、恥じないものづくりをすること。そして、感謝する気持ちはとても大事です。お客さまにありがとうと想う気持ちが、長く続くコツではないかと思います。

 

 

―――― 今後の目標はありますか。

今後、2時間の休憩をしっかりと取れるようになったら、特別老人ホームや有料老人ホームに移動販売に行きたいと考えています。外に出られない高齢者さんも、自分で食べるものを決めたいし、買いたいんですよね。その希望を叶えてあげたいです。なので、移動販売の許可も得る予定です。食が細くなると生きる気力がなくなります。必要な場所には、自らパンを持っていってあげたいと思います。それは、地域の人がやってあげないといけないことです。

他にも、歩いて来れる人限定で、夕方にビールを提供することも考え中です。散歩のモチベーションになるし、ワンコインで飲めたら嬉しいじゃないですか。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、レコールバンタンキャリアカレッジをオススメしていただけますか?

そうですね。しっかりとした教育が受けられると思うのでオススメします。色んな先輩がいらっしゃるから、コンタクトが取れるのも魅力です。入学することで、自分も卒業生たちの輪の中に入ることができるので、それだけでも通う価値はあると思います。そうした人とのご縁も、費用に含まれているのではないでしょうか。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

もし、何かをフードビジネスを始めようと思っているなら、レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶことが助けになります。開業準備中なら、色々なものに興味を持って味わっていってください。

 

 

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<SHOP INFO>

〒259-0312神奈川県足柄下郡湯河原町吉浜1921-50

0465(55)8749

木~月曜日 10時30分~13時30分、15時30分~18時

ペット同伴可

駐車スペース3台分完備

https://www.olaloa.jp

https://twitter.com/OlaloaYoshihama

 

 

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