22.04.03 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>ポカポカパン オーナーブーランジェリー 羽渕みな子さん

学生インタビュー
卒業生
東京校

 

「ウィズコロナ」の時代。外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネス をしているのでしょうか?最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、大阪校卒業生「ポカポカパン」オーナーブーランジェリー羽渕みな子さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名、卒業年次を教えてください。

2019年4月に、ブーランジェリーコース(現:ベーカリーコース)に入学し、2020年3月に卒業しました。

 

 

―――― 入学時はおいくつでしたか?

57歳です。

 

 

―――― クラスのスケジュールも教えてください。

週1回、土曜日に授業がありました。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジ入学までは、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?

小学校の教員を、34年間していました。中途半端に仕事をしていた訳ではないので、もうヘトヘトでした。教員の仕事は、やり切ったと思います。

気分転換のために、教員をしながらクッキングスクールに通っていました。パン作りは楽しかったですね。退職してすぐにレコールバンタンキャリアカレッジに入学しました。 

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか? 

別のスクールで恐縮なのですが、あるクッキングスクールで「マスターコース」を修了し、そのクッキングスクールで講師ができる資格も取得しました。教室の先生になるという選択肢は、教員をしていたこともあり一切ありませんでしたね。

また、趣味としてパンを作ることはできても、お客さまに提供することでは求められる技術がきっと違うんだろうなと思って、開業に必要な知識や技術を身に付けたいと思いました。

 

 

―――― 数あるスクールの中から、レコールバンタンキャリアカレッジを選ばれた理由を教えてください。

開業の実践的な知識を身に着けられること、また業界で活躍するプロフェッショナルに学べるという点や、卒業した後も講師からコンサルテーションが受けられるということに魅力を感じました。

実は、ケーキを作るパティシエコースと迷いましたが、パン作りが楽しかったのでブーランジェリーコースに決めました。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか

ブーランジェリー 「Le petit ange」オーナーシェフ 米澤孝一講師には、今もお世話になっています。米澤講師の作るパンは、どれもすごく美味しいです。現役のパン屋さんで、コンサルテーションもされているので、とても心強いです。

事務の方にもお世話になっているとは思いますが、実際に教えていただく講師の方から影響を受ける部分が大きいですね。

 

 

―――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネス」に活かされていると感じることは?

レコールバンタンキャリアカレッジでは、パン作りの基礎を教えていただきました。

当時学んだレシピは、今のお店でも使っています。例えば、デニッシュ、クロワッサン、菓子生地、デニッシュ生地、食パンなどお店で人気があるメニューは在学時に教えていただいたレシピがベースになっています。当時学んだセミハードのパンも人気がありますし、無駄になっていることはないです。

 

 

―――― 経営面の授業についてはいかがでしょうか。

公務員を辞めてから会社を設立したり、投資をしていたり、もともと経営面の基礎知識はありました。なので、実習の授業のほうが印象に残っています。

 

 

―――― なるほど。印象的だったイベント、販売実習などはありますか?

校舎で、1日販売を実施しました。それはすごく勉強になりました。ポップの作り方、陳列の仕方など、実践的だったので役に立ちましたね。

販売実習で好評だったパンを販売しています。ひとつは、セミハードのサツマイモパン。今も不動の人気を誇ります。もうひとつは、たこ焼きデニッシュパンです。こちらは、「だったら、たこやき食べたらええやん」ということでお店では販売していません(笑)。仕込みなどに手間もかかる商品なので。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

大学のときにちょっと経験したくらいです。

なので、そこがビジネスを始めたときに困った点かもしれません。例えば、パートさんへのお給料の出し方や、仕入れの方法などは手探りの状態から始めました。

 

 

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<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯をお教えください。

2022年1月です。

2019年11月頃から、パスカルさんだ一番館にて、地場野菜を使ったパンを5~6種類、販売していました。レコールバンタンキャリアカレッジに在学しながら、全部で50個から60個くらいを作っていました。前職を辞めたときに、パスカルさんだ一番館で売ることは決めていて、自ら交渉しました。

 

 

―――― どのように製造をしていましたか?

自宅の庭に小さな工房を建て、製造許可書を取って、パンを持っていく形です。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりをお教えください。

 

<場所>

お店は、自宅の隣にあるアパートの1Fです。コロナ禍の影響で、資材が入ってこないといったトラブルもあり、1年くらいかかりました。所有している物件のため、家賃はかかりません。

 

<店名>

ポカポカパンは、心も体も温まるようなパンを提供できたらなと思います。ちょっと、ダサいかな?とも思うのですが、その方がブーランジェリー〇〇よりも親しみやすいですし、覚えやすいのではないかと思いました。

 

<コンセプト>

「地場の野菜」を使うこと、もうひとつは具が多いパンを提供することです。

両親が農家をずっとやっていたこと、ご近所さんにもたくさん農家さんがいます。なので、新鮮な地元の野菜を使い、少しでも地域に貢献したいと考えています。

 

<内装>

米澤講師が紹介してくださった店舗デザイナーさんに、お任せしました。

 

<客層>

パスカルさんだは、割と年齢層が高かったです。今は、新興住宅地ということもあり、30代、40代のマダム、地元のおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代の方が来てくれています。

 

 

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―――― 卒業後、米澤講師にはどのような部分でコンサルテーションをお願いされたのでしょうか?

もう一回、パン作り全般の基礎を教えていただきました。また、店舗で効率的にパンを作るためのオペレーションなどでお世話になりました。

他にも、機械の選定、配置、導線、店舗に関することはすべて相談させていただきましたね。今も新商品は、一緒に考えて試作してもらっています。

 

 

―――― 特にオススメのメニューについてお教えください。

三田産トマトを使った「三田トマトの米粉ピザ」220円(税抜き)です。ピザぱ一日に40個から60個ほど作り、焼き立てを常に提供できるよう心掛けています。

 

 

―――― メニュー数を教えてください。

メニューは35種類ほど、総数は500個くらい作っています。

 

 

―――― スタッフさんの数は?

パン職人さんが1名、パートさんは7名が交代で働いています。

 

 

―――― 値付けについてはどのように行いましたか。

原価から算出しないといけないのですが……ポリシーとしては、自分が買いたい値段でしか売りたくないと思っています。自分がパン屋さんに入ったときに、「なんでこんなに高いのか?」という思いがあったので、お客さんに同じ思いはさせたくありません。でも、実際に開業してみて、材料費や人件費のことを考えて設定していることがよく分かりました。

例えば、「三田トマトの米粉ピザ」は、今でこそ220円(外税)ですが、開業当初は140円(外税)で販売していました。今は、だいぶ一般的な他のパン屋さんに近い価格になっています。講師にも、職人さんにも、「値段を上げろ」と言われました。また、お客さんからも「安すぎる」と言われましたね。値上げするのはしんどいのですが、お店だからしゃーないなと思って今の値段にしました。適正な価格で、たくさんの方に喜んでいただけるのが理想ですね。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

順風満帆です。基本的に、楽しくやっています。

お客さまも並んで下さっているのでもっと頑張らないといけないと思いますが、ヘトヘトになる日もあります。体がついていかないです。

あとは、従業員さんとの関係ですね。自分が思うことばかりを押し通してもダメ。チームワークを大切にしたいですが、例えば値段ひとつとっても「上げてほしい」というスタッフの要望ばかりを聞くと、自分が理想とするお店から離れてしまいます。なので、自分がやりたいことを大切にしながらも、スタッフの意見を尊重して折り合いをつけていくことですね。

もうひとつは、独立後、とある方から紹介してもらった方とお取引をしていました。しかし、後になって、足元を見られていて相場よりも高い値段を吹っ掛けられていたことが分かりました。その方とお取引はしていませんが、「そういう人もいるんだな」という学びになりました。利用されると辛いですね。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。

パンはテイクアウトなので、他の飲食業に比べると、向かい風ではありませんが、パンを買う方の行列が出来ているので有難いですね。

ただし、感染予防には気を遣っています。陳列の包装は個包装にしていますし、こまめに消毒を行っています。また、店内には5組までしか入れていません。

ひとつ影響を受けたことは、カフェスペースを作って、焼き立てを召し上がっていただく予定でしたが、コロナ禍で営業していないことです。

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

お客さんが喜んでくれたらそれがいちばんです。寒い中並んで下さると「なんぼでも買ってください」と思います。

 

 

―――― 行列とはどのくらいの規模でしょうか?

40~50分という時もあります。また、日によっては、並ばずにすっと入れる日もありますし、10時半くらいになると並ばないことが多いです。

開業して2カ月になりますが、オープンして大体3時間半くらいで完売しています。

 

 

―――― 「フードロス」が出ないように意識されていることはありますか。

焼き損じた失敗パンは、みんなのおやつにしようと言っています。2~3個残っても従業員さんが購入していくので、今のところ、フードロスはありません。

 

 

―――― 飲食業界で働く大変さはどのようなところでしょうか?

午前2時に起き、4時とか5時とか準備とか色々あって。夕方5時頃まで、12時間働くこともあります。パン業界は、長時間労働になりやすいのかもしれませんが、体力は消耗します。凝ったもの作りたいと思えば思うほど、どうしても時間がかかりますね。

私の力になろうという人もいますし、親切に教えてくれる人もいて救いです。

 

 

―――― 一日のスケジュールについて教えてください。

朝4時頃仕込みをして、3時ごろから夕方5時頃に仕事が終わります。ご飯を作って、家事をして、お風呂に入って20時頃に寝て、朝4時に起きます。なので、休みの日は遊びに行ったりして、気持ちを切り替えています。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえのに、必要なスキルは?

よく思うのは、よそのお店と一緒のことをしていたらダメだということ。独自性を打ち出す力が必要です。

他のお店にはないパンを作るなど、売り方、内容を考えてくださいね。同じことをしていたら誰も並んでくれません。そのお店に行かないと買えないものがあるからこそ、みんなが来てくれるのではないでしょうか。

 

 

―――― 入学を迷っている方がいたら、レコールバンタンキャリアカレッジをオススメしますか?また、オススメして頂ける場合、どのような点で?

オススメします。入学したことをキッカケに、人生が変わったので。

ただ、レコールバンタンキャリアカレッジに通ったからすぐにできるものではなく、在学中にどれだけ多くのことを吸収して、その後どれだけ努力していくかが大切です。

かくいう私も未だまだで、練習練習の毎日です。また、だれでも入学しただけでは吸収しきれないと思います。入ることは良い選択だと思いますが、それだけではダメ。キッカケであり、入口であり、自分で努力しないといけないと思います。私も情けないほどなかなか覚えられません。録画したりメモを取ったりして見返してさらに復習して…を繰り返しています。

 

 

―――― ありがとうございます。レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願いします!

同じ方向を向いている人と、出会えます。開業に際して、花を送ってくれた友達もいます。

仲間とか講師とか出会いの場としてもいいと思います。ただ習うだけでなく、仲間ができるのは心強いですよ。

高い技術を教えてくれるのも、レコールバンタンキャリアカレッジの良いところだと思います。米澤講師のパンは、今でもすごく美味しいです。入って、やったらええと思います!ただし、簡単ではないことだけ、覚えておいてください。

 

 

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<SHOP INFO>

ポカポカパン

兵庫県三田市下井沢82

土日9:30開店~売り切れ次第閉店

パスカル三田/火・水10:00頃出荷

@minako1196

 

 

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