22.01.07 24.04.01 更新

<卒業生インタビュー>蒸籠食堂 かえる 店主 古矢美歌さん

学生インタビュー
卒業生
大阪校

 

「ウィズコロナ」の時代。 卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか? 最前線で活躍されているプロフェッショナルにヒントをもらうべく、神奈川県三浦市三崎「蒸籠食堂 かえる」店主 古矢 美歌さんにインタビューを行いました。

 

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<在校中について>

 

―――― レコールバンタンでのコース名、卒業年次を教えてください。

2012年3月にレコールバンタン大阪校 フードスペシャリスト学科 パティシエ&ブーランジェ専攻(パティシエ学科)を卒業しました。

 

 

―――― クラスは何名くらいでしたか。スケジュールも教えてください。

1クラス15名くらいだったと思います。平日5日間、昼間のコースでした。

 

 

―――― レコールバンタンを選ばれた理由を教えてください。

少人数であること、「一人一製品」で実習が多いこと、現役のパティシエや講師に教えてもらえることに魅力を感じました。

 

 

―――― 学びたい、身につけたい目標は何でしたか?

入学前は「将来お菓子屋さんを開業するための一歩」くらいに考えていました。でも入学していろんな経験をするなかで、「料理も好きだし、将来、家を拠点に仕事ができるようにフードコーディネーターを目指してみよう」と、夢や目標が具体的になっていったように思います。

 

 

―――― 印象的だった講師、授業はありますか?

たくさんありますが、ひとり上げさせていただくとしたら、メインで教えてくださっていた西園シェフ(Seiichiro, NISHIZONO)でしょうか。シェフの働き方には強く影響を受けた気がします。今はお店を持たれていますが、パティシエ=お店を持つことだけではないことや、レシピ開発・撮影・イベント出店など、いろんな仕事をこなされていましたし、その軽やかさや柔らかい人柄も含め、尊敬しています。

 

 

―――― レコールバンタンでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることは?

「姿勢」なのかなと思います。

さまざまな講師の方に現場のリアルな話を聞いたり、仕事を自分で作る・取っていくというような現場で大事なマインドを聞いたり。「現場に出るともっと厳しい世界なんだ」とひしひしと感じていたので、毎回の授業の準備から片付けまで、我ながら真剣でした……。

どんな小さなことも丁寧にやるとか、時間を意識するとか、人の話に興味を持って自ら聞きに行くとか、学生時代に心がけていたことは、今でも染み付いているかも?

 

 

―――― 印象的だったイベントや販売実習などはありますか。

1年に4回、商品開発のコンテストがありましたが、毎回絶対勝ってやろうとギラギラしていました(笑)。最初はグループで、2年生の最後のほうになると一人で行うものでしたが、本屋に籠もって研究して考えて。すごく楽しかったし、選んでもらえた時の嬉しさは今でも覚えていますね。

 

 

―――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか?

デリの店でアルバイトしたり、バレンタインやホワイトデー期間にデパートで働くぐらいでしたが、同級生は、いろいろなアルバイトをしていました。

 

 

<卒業後について>

 

―――― 開業された経緯について教えてください。また、開業当時おいくつでしたか。

2021年、神奈川の三浦半島・三崎に移住したのがきっかけです。移住して4ヶ月ほど経った頃、「良い物件があるんだけど飲食やってみない?」と声をかけてもらい、29歳で独立しました。

ハタチで大阪校を卒業してから東京で8年ほど暮らしていましたが、飲食業以外の仕事もいろいろやってみたし、“自分にフィットする食の仕事”の形を模索する時期が続きました。飲食業×人材のベンチャーで勤めたり、IT企業でライターしてみたり、やっぱり飲食が良いなと思って副業でケータリング始めてみたり。最終的にはフード系のメディアで編集者・フードスタイリストをしていましたが、コロナ禍やそれ以外にいろんなことが重なって移住をしたことで、一緒に開業することに繋がる仲間と出会えました。こんなに早く自分のお店を持つことになるとは思わなかったですし、人生何があるかわからないなと、感謝の毎日です。

 

 

―――― 開業された時期、場所、店名、コンセプトなど、こだわりを教えてください。

 

<オープン日>

2021年5月15日

 

<店名>

蒸籠食堂かえる

<コンセプト>

女性ひとりで飲みに行けて、身体にいいごはんが食べられるお店

 

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――― 大阪校のご出身とうかがいましたが、三崎とはどのようなご縁があったのでしょうか?

前述の通り、東京でフード系メディアの編集者として働いていて。ちょうどコロナ禍になったタイミングで「このままでいいのか?本当にやりたいことは?」と改めて問い直していました。そこで「将来、都会に近い田舎で飲食店をしながら暮らしたい」という自分の原点に立ち返って、住みたい場所探しを始めてみたところ、三崎の人や場所に縁がありました。

 

<内装デザイン>

元々スナックだったお店なので、その店の良さを残しつつ、半分ほど改装しました。一緒に開業をした仲間に、建築士と壁紙屋がいるので、みんなで話し合ったり家具を集めたりしながら、お店を作っていきました。

 

<ロゴデザイン>

10年近く知り合いのとても素敵なデザイナーさんがいるので、その方にお願いしました。お店のロゴに加えてコンセプトまで提案していただき、すごく気に入っています。

 

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<想定していた客層>

地元で生まれ育った方もそうですが、移住者や、三崎と都内で二拠点生活をしている人など、幅広い層が来るのではと想定していました。それに、こういう人に来てほしい!と狭めるよりは、地域の人の日常に根差したい気持ちがあったので、一応飲み屋だけど子供が飲める・食べられるものを用意したり、下戸の人も楽しめる薬膳茶などを置いたり、ターゲットを狭めないようにはしています。

 

 

―――― 特にオススメのメニューは?売れ筋はどの商品ですか。

・もちもち蒸し餃子(4つ500円)

・魯肉飯(500円/900円)

この2つは人気です。あとは、特製ねぎだれの蒸し鶏や、三浦の野菜がたっぷり食べられる蒸し野菜の詰め合わせなども、ぜひ食べてほしいです。

 

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―――― 値付けは、どのように行いましたか。

原価計算はしつつ、安すぎず高すぎず、お店を存続させつつお客さんも通いやすい価格帯にしています。周りのお店の相場なども一応意識はしていますね。

 

 

―――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください。

仕入れ・仕込み・値付け・営業・片付け、すべてひとりでやっていまして。なので、慣れるまでは特に時間に追われすぎて本当にいっぱいいっぱいでした。半年経った今、営業にはわりと慣れてきたので、質を高めたり、できていないことにチャレンジしていきたいです。

 

 

―――― 新型コロナウィルスの流行で、工夫された点や日頃、心がけていらっしゃることについてお教えください。(ECストアを開設した、常に換気を行うようにしたなど)

換気や消毒、パーテーションの設置、席数の調整などはしています。開業して落ち着いてから始めようと思っていたテイクアウトも、わりと初期段階で始めました。(土地柄、テイクアウト需要が高い地域だったので、これは良かったことでした)

 

 

―――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについて教えてください。

人の日常に小さな楽しみを添えられる仕事だと思います。すこし大袈裟にいうと、人の人生に影響を与えられる仕事だとも思っています。

ハタチで大阪から上京した頃「また一人でも気軽においでよ!」と言ってくれた居酒屋があって、そこに救われた経験があります。帰り道に寄って帰ったり、辛いことがあったときに店主に話を聞いてもらったり、そこで一生の友達や人間関係ができたり、確実に自分の居場所になっていました。

飲み食いするだけの場所ではなく、出会いの場所でもあり、新しい価値や何かに触れられる場所でもある。飲食店には、誰かの毎日を拓く・良い方向にむけられる無限の可能性があると思いますし、そんな場所を作っていきたいです。

 

 

―――― 大変さはどのようなところでしょうか?

労働時間は長いし、やることは多い!でもそれは飲食業に限らないですし、自分がしんどくなりすぎないように工夫するのも仕事のうちだと思うので、あまり気にならないです。……とはいえ、ひとりでやっている今は結構大変でもあるので(笑)、アルバイトさんを入れるとか、営業形態とか、常に見直しながら長く続けていきたいです。

 

 

―――― 飲食業界で活躍するうえで必要なスキルとはどのようなものだとお考えでしょうか?

自分がお客さんの立場でも強く思うことですが、やはり「人」だなと思います。なので、お客さんに喜んでもらう気持ちはもちろん、目の前の人とちゃんと真摯に接したり、優しい気持ちで対応できる余裕は大事だなと思います。

あとは、儲けたいのか自分の生活とフィットさせたいのか、とにかく美食を追求したいのか等、自分の目的や理想は都度はっきりさせておいた方が良い(無理や変な苦労がない)と思います。

 

 

―――― レコールバンタンへの入学を検討されている方にぜひ前向きなメッセージをお願いします!

この変化の多い時代、パティシエも料理人も、いろんな活躍のカタチがあるなと思います。独学や、初めから自分でやってみるのも全然ありだと思いますが、私はレコールバンタンで土台が作れたこと(基礎を学んでみる・活躍するシェフと話す・現場の空気感を知るなど)は本当に良い経験でした。当時、憧れのシェフから言われた言葉や、できた人脈など、今の生活にも強く残っています。

なんとなくやってみるのではなく、やると決めたら全力で学びきる!くらいのマインドで通うのがおすすめ(笑)。私は一生モノの経験をさせてもらったと思っていますし、レコールバンタンにすごく感謝しています。

 

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<INFO>

蒸籠食堂かえる

神奈川県三浦市三崎2-13-10

@kaeru_gohan

12:00〜15:00/17:00〜22:00 週末のみの営業です。

(金夜、土日の昼&夜)3〜4名はご予約を、それ以上はご相談ください。

 

 

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