• <卒業生座談会> コムギとハカリ オーナーパティシエ・ティートベール 岸田怜子さん

    2022年09月09日(金)

「2017年度、スイーツコース1年在籍しておりました。『コムギとハカリ』という店舗を運営しています」とご挨拶されるのは、本日のゲスト・ティートベール岸田怜子様。

今回は、入学予定者向けの「卒業生座談会」をレポートします。

 

 

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<1.「コムギとハカリ」の世界観>

 

「『ベーキングをもっと身近に』が、コムギとハカリのコンセプトです。ドイツでは週末にベーキングをして家族でお茶をすることが一般的ですが、日本では少しハードルが高い印象がありました。そこで、必要な材料を計量済にして揃えたベーキングキットを開発し、ご自宅で『ひと手間をかけた手作り』を楽しめるように提案しています。

『サステナブル』も大切なキーワードで、キットは瓶に詰めて販売しています。使用した瓶は、店舗に戻していただければ返金するシステムで、再来店にもつなげています。

レシピも印刷はせず、瓶の横にQRコードを貼り、そこからYouTubeに飛べる仕組みです。地元の農家さんから、無農薬・無肥料のライムギ、ラベンダー、カモミールを仕入れ、食材は可能な限り地産地消です」

 

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<店舗を構える軽井沢について>

 

「『コムギとハカリ』があるのは、避暑地・軽井沢です。もともと目黒に住んでいましたが、5年前に家族で移住しました。カフェやベーカリーの激戦区で、単価も首都圏レベルです。

軽井沢にはユニークなお店さんが多いので、差別化するために『おもしろさ』を感じていただけるような、オリジナルアイシングクッキーも展開しています。

先日行われた『浅間国際フォトフェスティバル』では、イベントにちなんで、首から下げられるカメラモチーフのクッキーを販売しました」

 

お店を構えるのは、御代田町。衣食住のこだわりのライフスタイルショップが揃う「MMoP(モップ)」に2021年12月に出店。「オーナーさんに声をかけていただき、lagomさんのキッチンで調理しています。地元のお客さまが多いlagomさんと、首都圏からの観光客で賑わうハルニテラスのNATUR Terraceさんも商品を置いていただいています」

 

 

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<事業内容は?>

 

岸田講師「企画から製造、広告まですべて一人で手掛けています。木金土のみの営業で、金土は生菓子も販売しています。lagomでは、お洋服から木工まで幅広い作家さんが展示販売を行います。展示期間中は、アーティストの作品と関連した、お土産になるようなコラボレーションスイーツを作っています」

他にも、2カ月前から受注制作するオーダーケーキや、ジャガイモ&サツマイモだけで作ったワンちゃんのケーキも販売。「2022年5月にアルバイトさんを雇えるようになり、クッキー製造をお願いしています。最近では、新しい商品を手掛け、新商品開発にも手が回るようになりました」と話します。

 

 

<レコールバンタンキャリアカレッジに入学するまで>

 

大学卒業後は栄養士として勤務後、ドイツ・ケルンに留学。現地では、語学学校とアルバイトに励み、時間を作って地元のお菓子教室や現地のカフェを巡っていたそう。「日本に比べて、バターや乳製品がとても安いのでよくお菓子を作っていました」。帰国後に結婚し、29歳でレコールバンタンキャリアカレッジに入学。詳しいキャリアや入学までの経緯は、こちらでも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

<卒業生インタビュー> コムギとハカリ

 

 

<レコールバンタンで学んだことは?>

 

  1. 技術力
  2.  

「レコールバンタンキャリアカレッジを選んだ理由は、週1回で効率よく学べると感じたから。長男は1歳でしたが、夫に見てもらい時間を作りました。製菓に没頭することは、良い気分転換にもなりましたね。授業では、講師のデモを見てから調理に入るのですが、疑問をすぐに投げかけられるので良かったです。次回授業まで1週間あるので、長男がお昼寝をしているときに復習していました」

 

 

  1. 企画力
  2.  

「ポイントをおさえたカリキュラムなので、幅広い基礎が学べました。あらかじめ材料が計量してある料理教室もありますが、レコールバンタンキャリアカレッジは材料の計量から行います。食材の扱い方、効率の良い計量の仕方などは、特に実践的でした。小麦粉の保存の仕方など、お店を経営する際のポイントも分かりやすく教えてくださいました」

 

 

  1. ネットワーク 
  2.  

「知らず知らずのうちに、人脈ができていました。今でもクラスメイトとは連携していて、講師として呼んでもらったり、店舗にお互いの製品を置いてもらったりしています

また、これまでに、ベーキングクラス、間借りの店舗経営、自社店舗と異なる3つの業態で営業されてきた岸田講師。それぞれのメリット、デメリットについてもうかがいます。

 

 

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  1. ベーキングクラス
  2.  

「自宅を新築しました。キッチンはアイランド型、ガスオーブンを設置し、生活感が見えない空間にしています。今も、ダイニングテーブル以外の家具は置いていません。授業料は2500円をいただき、小規模クラスの場合は6名で企画・運営していました。キッズクラスは、1時間半で、1500~2500円。大人向けですと3時間程度、7000円をいただくクラスもあります。ラッピングまでついているので手作りしたケーキをプレゼントとして渡せます。ベーキングクラスの良い面は、お客さんとの関係構築がしやすく、宣伝広告につながります。また、この日に何人来るかが読めますし、比較的短時間で終わります。何より教えることが好きなので、楽しいです。ただ、娘が基礎疾患を持っているので、現在自宅ではクラスを開いていません。デメリットは、量産できないのでスケーラビリティ(拡大性)がない点や、感染状況ではキャンセルが発生してしまうのでロスが出てしまう点です。また、レンタルキッチンは施設費が高く、コロナ禍で集客はやや不安定です」

 

 

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  1. 間借りの店舗経営
  2.  

21年7月から、南軽井沢「日々」を間借りし、日曜・月曜のみ営業するスタイルも経験。

「21年に『日々』さんで間借り営業を始めました。菓子製造許可も、日々さんに取っていただきました。看板は自作し、お菓子を包装するためのシーラーと、包装資材だけだったので、開店費用は1~2万円くらいでした。日々さんは、一日3000円で貸してくださいました。良い面は、テーブルが多く贅沢な陳列ができたこと。安定した売り上げがたつ一方、デメリットは、オーナーさんのスケジューリングにより、営業日数が限られる点や冷蔵庫の仕様スぺ-スが限られることです。少しずつ自分の店舗を持ち立という考えるようになったとき、よくご来店されていたlagomオーナーさんが、出店のお声を掛けてくださいました」

 

 

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  1. 自社店舗
  2.  

「備え付けのキッチンは、金物などの展示をする際、シェフが来て道具を使った料理を振舞うための簡易的な設備でした。軽井沢では菓子製造にシンクが二つ必要なので、一級建築士さんに依頼し、設計・施工していただきました。カウンターを作り、端材で什器を作るなど低予算で施工しました。冷蔵庫やオーブンを買い足したので100万前後かかりました。私が不在でも、lagomのスタッフさんが販売してくれるので、販売が成り立つようになっています。月に1~2回作家さんがいらっしゃる期間は、コラボレーションスイーツを提案し、少しずつ広まっています。デメリットとしては、大型商業施設なので、休みは取りづらいです。簡易キッチンを改装しているので、一人しか入れません。今も、製造場所をもう一つ探しています。収納場所もないので発注は頻繁ですし、IHで対応しています。

軽井沢に移住したとき誰も知り合いがいませんでしたが、少しずつ繋がりはできていきますので焦らないでください。SNS経由で個人や、企業ロゴが入ったアイシングクッキーのオーダーを受けることもあります。声をかけられたらできるだけ断らないようにしています」

 

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<店舗運営のリアルは?>

 

「お菓子屋さんは、出勤が早いイメージがあるかもしれません。私の場合は、そこまで早く行くことはありません。朝8時に子どもを保育園に預け、8時30分にお店に入り、10時から販売しています。16時にお店を出ますが、コムギとハカリは17時開店。なので、その間クッキーなどの販売はlagomスタッフさんにお任せしています」

他に、1週間のスケジュール、1年のスケジュール、アルバイトの採用について、オススメの仕入れ業者などを細かく紹介しました。

 

 

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<メンバーからの質問タイム!>

 

 

在校生からも、たくさんの質問があがりました。

 

 

――― カメラのアイシングクッキーが素敵でした。そういうアイデアはどのように思いつきますか?

 

「子どもの面白い発言からです。ちょっと前に、ザリガニのアイシングクッキーを出しましたが、これも子どもが『ザリガニを釣りたい』とリクエストしたことから。調べてみると、アメリカザリガニが二ホンザリガニを侵食し、二ホンザリガニが絶滅危惧種であることを知りました。そこで、アメリカザリガニと二ホンザリガニをセットにしたものを販売しました。無いものや『こうだったらいいな』という想いから、発想することが多いです」

 

 

――― 撮影は、何でしていますか。フォロワーを増やすための施策は。

 

「iPhoneで撮影しています。市が主催する、『低コストで綺麗な写真を撮れる講座』を受けたときに、『模造紙を敷いて取るだけでも綺麗に見える』と教わりました。加工は、Instagramの機能と、インショットというアプリを使っています。投稿は水曜夕方と決めていますが、フォロワーを獲得するためには……特別なことはしていないです」

 

 

――― どうしたら、こんなに綺麗なお菓子を作れるのですか?

 

「レコールバンタンキャリアカレッジで学んだことしかしていないです」

 

 

――― 生々しい話で恐縮ですが、差し支えの無い範囲で収入面について教えてください。

 

「ウチの場合は主人が大黒柱なので、私の稼ぎはパートくらいだと思います。子どももいるので急なお休みも多く、コロナ禍も不安定でした。自営業なので、もしもコロナにかかって、自分が作れなくなってしまうと、収入が得られなくなってしまいます。でも、アルバイトさんを雇ってからは心の安定が得られました。一人でやるには限界があると思っていて、どなたがいらっしゃると精神的な安定が得られると思います」

 

 

――― 一日に、どれくらいの種類を作っていますか。

 

「ヴィーガンクッキー6種、季節の商品が4種類です。アルバイトさんには、定番の6種類を20缶分、家庭用オーブンで焼いています。生菓子は週替わりで1種類です」

 

 

――― 包材はどうしていますか。

 

「ロゴシールを2種類のサイズで作っているので、気になる包材を取り寄せて、貼ってみます。ロゴを入れた箱とかは作っていないです。シールは、プリントパックで作りました」

 

 

――― 試作品のジャッジはどのようにしていますか?

 

「家で試作して、家族に食べてもらいます。あとは、アルバイトさんやlagomのスタッフさんから意見をいただくことも。見た目などは私の判断です」

また、2023年3月4日、5日にパシフィコ横浜にて開催される「cottaマルシェ」にも出店予定とのこと。製菓業界に興味のある方は、チェックしてみてください。

後輩たちに向けて、メリット・デメリットや、すぐに実践できるヒントなどもシェアしてくださいました。在学中から、独立・開業のリアルな情報収集ができることも、レコールバンタンキャリアカレッジで学ぶメリットですね!

 

 

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<コムギとハカリ>

https://komugihakari.thebase.in

@komugi_and_hakari

@lion_meets_coconut

YouTubeチャンネル「コムギとハカリ」

ベーキングクラス「コムギとハカリ」

 

 

 

さらに詳しいスクールの特長はパンフレットに
記載しています。お気軽にお問い合わせください。

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