• <新しい飲食の形>実店舗を持たずに、自身のブランドを確立する。ケータリング「MILK TEA SERVICE」オーナー須藤勇介さん

    2021年05月24日(月)

 

実店舗を持たずに、無店舗経営、間借り経営、シェアキッチン、流し形式で自身のブランドを確立する料理人が増えています。

レコールバンタン在校生も、店舗を持たない“ファントムショコラブランド”「RÉCIT cacao」をスタート。2018年開校「トシ・ヨロイヅカ」オーナーシェフ鎧塚俊彦氏が監修する「グラン パティシエ学科」の選抜メンバーが展開しています。

なぜ、そのような形式が支持されているのでしょうか。

気になるメリット、デメリットは?

 

今回は、ケータリング「MILK TEA SERVICE (Instagram:@milkteaservice)」オーナーとして活躍する須藤勇介さんにインタビューしました。

現在のスタイルを確立した経緯を話してくれました。

 

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――――― いつから、「MILK TEA SERVICE」を始めましたか?

2018年からです。まる3年になります。

 

 

――――― それまではどのようなお仕事をされていましたか。

渋谷にある『紅茶の店 ケニヤン』という喫茶店で働いていました。40年前ほど営業していて、ミルクティーが名物なんです。8年半ほど働いていましたが、辞める2、3年前くらいからケータリングが世の中的に増えはじめた時期だったんです。また、ケニヤンは神南エリアにあるので、アパレルなど業界関係者が来ることが多くて。その方たち向けにケータリング業務をすることもありましたね。

お店の都合で辞めることになったんですが、自分自身でもこれからのことを考えていたので、いいタイミングかなと思って退職。いきなり実店舗を出すとなると資金的に大変なので、まずはケータリングを始めてみようと独立しました。

 

 

――――― レシピはどのように確立されましたか?

ケニヤンから茶葉をいただいて、習ったレシピをベースにオリジナリティを出しています。まるっきり同じものを提供するのは、リスペクトがないのかなと。でも、味を作るのは大変で、3か月くらい試行錯誤して作りました。

 

 

――――― スタートする際は、どのようにして告知を?

原宿でお披露目会をやりました。キャットストリートのレンタルスペースを借りて『MILK TEA SERVICE』をやります、というイベントをしたんです。ケニヤンのお客さんに連絡して、たくさんの人に来ていただきましたね。SNSなどでも、かなり発信していただきました。

 

 

――――― 開業にあたって、かかった費用について可能な範囲で教えていただけますか。

そんなにお金はなかったので……20~30万円くらいですかね。ブランドのロゴをデザイナーさんにお願いしました。僕はアナログ人間でイラストレーターとかは使えないので、アイデアを提案して知り合いのデザイナーさんにデータ化してもらいました。

他にも、茶を淹れる道具、プラスチックカップなどの消耗品、レンタルスペースの代金、テーブルも作りました。活動しながら、必要なアイテムは徐々に足していきました。

 

 

――――― 仕込みはどこで?

キッチンは、オープン前のケニヤンのキッチンを借りたりしていました。今でも飲みに行きますし、退職した後も関係性はとても良いです。

 

 

――――― オススメメニューを教えてください。

ケータリングメニューはアイスミルクティーとホットミルクティーです。個人的には、ケータリングなので、美味しい看板商品がひとつ、ふたつあればいいと思っています。飲食店とコラボレーションすることも多いですしね。毎日飲まれるわけでない、というのもあります。

 

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――――― 仕込み量はどれくらいですか。

イベントの大きさにもよりますが、何百杯です。カメラの現像液を入れるような、大きなタンクがあるので、そのタンクに入れて会場まで運んでいます。

 

 

――――― グッズも素敵ですよね。販売された経緯は。

もともとは、ユニフォームでした。お客さんに「キャップを販売してください」と言われて「かぶる人いるのかな?』なんて思って作ったら、意外と買ってくれる方が多くて。実は、喫茶店で働く前は、アパレル会社に勤めていたんです。大学卒業して25歳くらいまで、ファッション業界にいたので興味はあったんです。

 

 

――――― そうだったんですね。レコールバンタンキャリアカレッジの系列校に「バンタンデザイン研究所」というファッションのスクールもあり、フードとアパレルを両方展開している卒業生もいます。ちなみに、ファッションから食の世界に進まれた理由は?

友だちがケニヤンで働いていたんですよ。仕事を辞めて、毎日のように通っていました。ある時、彼が仕事を見つけて辞めることになって。けっこう仕事を見ていたんで、店長から『繋ぎでいいから手伝ってほしい』と言われて入ったんです。正直に言うと、飲食店をやろうって感じで入ったわけでなかったんですが、仕事をするうちに『飲食、いいかも』という気持ちになって。喫茶店はメインでそれ以外にも、カフェでキッチンに入ったり、お酒を作ったり掛け持ちしていました。僕の場合、誘ってもらったり、人が足りないからと、人の縁から何かが始まることが多いです。

 

 

――――― なるほど。アパレル業界にいらしたなら、グッズ作りはすぐに進みそうです。

そうですね。知り合いに「こういうグッズ作れるところはある?」と相談しました。ケニヤンのお客さんに、アパレル関係の方も多かったですしね。

 

 

――――― ちなみに、全体の売り上げのうちアパレル商品が占める割合はどれくらいですか。

売上げはミルクティー8、アパレル2くらい。グッズは単価が大きいので。MILK TEA SERVICE CAP(3800円)が、いちばん売れています。

 

 

――――― 依頼はどのように入りますか。

DMやメールでの依頼が多いです。事前に、出店条件を読んでもらい、同意していただければという感じです。初めての人は一回会って、事前にどんな提供場所なのか、話を聞くようにしています。スケジュールが合えば、基本的に断ることはありません。

 

 

――――― 出店条件について詳しく教えていただけますか。

出張条件は平日40杯、土日祝日60杯から承っています。その他は、要相談です。

 

 

――――― 「無店舗」で経営することのメリットは?

固定費がかからないこと。いろいろな場所に行けて、融通がきくこと。店舗を持つことは、メリット、デメリット両方があると思いますが、いずれ場所を作りたいという想いはあります。目標とか、あまりカッチリと決めるタイプではないので、自分がやりたいと思ったときがタイミングかなと思います。物件との出会いもあると思うので。

 

 

――――― 今まででいちばん大変だった現場は?

めちゃくちゃ大変だったのは、始めて2か月くらいのときのフェス。出店することになったんですが、会場が山の上で、道具とか氷を一式、山登りして運ばないといけなかったんです。色んなフェスに出させてもらったけれど、このイベントがいちばん大変でしたね。屋外は暑いですし。準備は大変でしたが、今となってはいい思い出です。

 

 

――――― 自身のブランドを確立する楽しさ、喜びについて教えてください。

全部楽しいですよ。仕事場は基本イベントなので、気分が上がっているお客さんが多いし、イヤな現場は本当にひとつもない。自分で好きなようにできること、誰かに褒めてもらえると嬉しいです。

 

 

――――― 反対に、難しさはありますか?

仕事が入らないときはキツイかな。あとは、保障はありません。仕事がなかったら、収入がないわけです。でも、自分ひとりだからバイトすればいい話。ブランドを作ったときも、そういう気持ちで始めました。

 

 

――――― 今後、「MILK TEA SERVICE」をどのように展開していきたいですか?ビジョンを教えてください。

ミルクティーは中心ではありたいし、そこをカルチャーとして広めていきたいと思っています。

紅茶って高貴なイメージありますよね。コーヒーと違って、なんとなく『お堅い印象』。紳士な感じというか、それをポップなイメージで定着させたいという想いがあります。飲食業だからとドリンクのみにしぼるのではなく、アパレルをやっているのもカルチャーを作っていきたいから。グッズはやらなくてもいいという考えの人もいるかもしれないけれど、

そういう見せ方も大切なんじゃないかなと思います。もうちょっと軽い感じ、気楽な飲み物として提案していけたらいいなと思います。

 

 

 

 

<中島講師コメント>

紅茶が高貴な飲み物ってイメージ、うん、確かにあります。しかしそのイメージをポップな切り口でご自分のフィルターを通してブランディングされているところがとっても個性的ですよね。アパレルでの経験からインスパイアされる商品としてのリリースの仕方がまさにオンリーワンです。ケニヤン自体も老舗で根強いファンもいらっしゃる店舗ですので、実績もプラスされた納得の展開です。コーヒーと同様に紅茶がもっとカジュアルに飲まれる文化がこの先に広がっていくといいなって思います、これからの活躍、応援してます!!

 

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中島誠講師

エンタメカフェプロデューサー

(株)ZERO CREATIVE 代表取締役

(株)リノベーションプランニング社外取締役

Instagram:nakajima_makoto_

 

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