• <新しい飲食の形>KitchenBASE 中目黒店入居「トミーズキッチン」オーナーシェフ富谷宗久さん

    2021年04月02日(金)

飲食業界が進化する中、店舗を持たず、コストをかけずに利益を出すにはどういった手法があるのか。

デリバリー・ネット販売専門店の最前線で活躍される方は、どんな工夫をされているのかなど、

ビジネスのエッセンスを学ぶべく、今回は当校でも講師を務めていただいているエンタメカフェプロデューサー 中島 誠講師と共に、中目黒のクラウドキッチン「KitchenBASE」を訪れました。

 

<訪ねたのは……>

「トミーズキッチン」シェフ富谷宗久さん。六本木の老舗中華『香妃園』で17年働いたベテランシェフ。料理人歴は33年間。

 

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(以下、インタビューは中島講師)

―――― 入居したのはいつですか。

富谷宗久さん「2020年7月18日に契約しました。オープンは8月7日です」

 

―――― クラウドキッチン以外の候補はありましたか?

富谷さん「移動販売車も候補でした。フードトラックカンパニーさんに見学に行きましたが、天井が低くて中華をやるにはキツイなぁと。鍋をあおったりするので、1、2種類くらいしか作れないなと思い、候補から外れました。車なら軽トラックとかよほど大きな設備が揃っていないと厳しいですね」

妻・いそみさん「中華は、熱気もすごい。あとは、換気もできないといけないんですよ」

 

―――― KitchenBASEはどのように知りましたか?

富谷さん「テレビです。朝の情報番組で知りました。内見したときは、韓国料理店が入っていました。神楽坂店には入れるということだったんですが、一か月くらい保留にしていました。そうしたら、中目黒のキッチンが空いたよと連絡をいただいて。中目黒じゃないとイヤだったんですよ。ここらへんは、地元なので知り合いも多いですしね」

 

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―――― クラウドキッチン入居前は、どのような形で営業を?

富谷さん「2020年1月に退社して、まずはランチを始めて、きっかけを掴もうと思いました。ライブハウスに知り合いがいて『昼間は使っていないから使っていい』と言われて、そこを間借りして営業していました」

いそみさん「でも、新型コロナウィルスが流行して、いちばん最初にライブハウスが営業停止になって……」

富谷さん「ランチを始めたのが2月。2か月後に緊急事態宣言が出てしまったので休むことになりました」

いそみさん「この先、どうしようという気持ちでしたね」

富谷さん「自宅にお邪魔して料理を作る『出張料理』も考えていましたが、それもコロナで流れましたね。当時は、人の家に入って料理するという注文はこないだろうと思いました」

 

―――― かかった費用は?

富谷さん「100万円くらい。配送用の資材、プロ用炊飯器、フライヤーとか電化製品は新調したのでトータルで150万円くらいです」

いそみさん「普通のお店を持つよりも、安いですよ。実店舗を構えるとしたら1000万円くらいかかったと思います」

 

―――― 初期費用でおさえたところは?

いそみさん「そういうのは特にないですね」

富谷さん「ここに入居することでおさえられました」

 

―――― 仕入れ業者はどのようにしていますか?

富谷さん「KitchenBASEさんに紹介してもらいました。野菜、肉、海鮮、缶詰、調味料、あとは資材の業者さんも」

いそみさん「全部で4社くらいですかね。夫は、香妃園で働いていたので、仕入れは得意です。最初から大量に仕入れて残ってしまった、みたいなことはありません」

富谷さん「売り上げに応じて、増えたら増えて発注。余ったら冷凍して、工夫しながらしています。少量でも卸してくれますよ。5000円以上じゃないと送料はかかりますけれど」

いそみさん「ウチの近くに業務用スーパーがあるので、そこも活用していますね」

 

―――― 面白さは?

富谷さん「マイペースでできるところ。他のお店さんとも仲良く和気あいあいです。料理人は一人でひたすら料理を作るので、気持ちが荒みがち。でも、仲間がいるといいですよね」

いそみさん「共通の心意気みたいなのがあると思います。あとは、新商品へのアイデアをもらうこともあります」

富谷さん「新メニューを配って味見してもらい、意見をもらったりもできます。コミュニケ―ションが取れるのはいいですよ。自分の店だとそうはいかないです。自己満足で終わってしまうこともあります」

いそみさん「お客さまからもコメントをいただけることが多く、その声から生まれたメニューもあります。ビーフンとかね。リクエストされると、嬉しいから作りたくなるんですよ。作ったら作ったで『ありがとう!』とコメントをいただいたりします」

富谷さん「鶏料理も新しく作りました。カシューナッツとトウガラシを使った『鶏肉のとうがらし炒め(1180円)』です。最初は全然出なかったんですけれど、今は人気者。一般的なレストランだと、そういうことはないですよね」

いそみさん「小さいお店なら、お客さまとコミュニケーションが取れるのかもしれないけれど、主人が以前働いていたお店は、客席から厨房は見えず、料理人も客席が見られませんでした。だから、ひたすら作るしかなかったし、さがってきたお皿を見て全部食べていたら『美味しかったんだな』と分かると言っていました」

 

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―――― ゴーストキッチンならではの難しさは?

富谷さん「お客さんに届かないことがあり非常に悔しい思いをしたことがあります」

いそみさん「配達員の人が道に迷ったときに、お客さんに電話するんですが、繋がらないと、ずっと道に迷った状態になります。タイムアップになると廃棄しないといけないらしくて……。お客さんに届かなかったのは、そうした状況だったのではないか?という説明を受けました。たまにあります。

こちらは、熱々を食べて欲しいから、すごく気を遣っています。例えば、15分後に配達員が来るとなると、1品なら7~8分でできるので、7分ほど待ってから調理します。主人は『中華は熱々じゃないと美味しくない』といつも言っています。温かい状態で食べて欲しくても、配達員さんが遅いと届く時間も遅れてしまいます。コメントも『冷めていてまずいかった』というコメントがくると心が痛みますね」

 

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―――― 配達員が、いつ来るか読めないときもありますか?

いそみさん「目安となる『何分後にくる』という情報はあります。8割の方は、時間通りに来てくれますが、天気が悪いときだと、配達員の方も努力をされているのでしょうが、遅れてしまうことはあります。待っているお客さまは『どうしたんだろう?』ってなりますよね。しかも届いた料理が冷めていたら、二度と頼まないと思われてしまいます。誰が悪い訳ではないのですが、歯がゆいところですね」

 

―――― 実店舗に対しては、どのようなお考えですか?

富谷さん「5、6人のお客さんが座れるような店舗は持てたらいいですね。デリバリーも続けながら店舗を持ちたいと思っています。近いうちというよりも、ゆくゆくは」

 

―――― 一番売れているのは?

富谷さん「五目チャーハン(880円)と黒酢酢豚(1180円)。角煮蒸しパン(480円)も人気です。パンは手作りです。粉ものは、少し長めに練って、レシピもアレンジしています。味に関しては、自分の長年の感覚で自然にキマります」

 

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―――― 実際、入居してみて感じたことは?

富谷さん「デリバリーに特化していても、思ったよりも、お客さんの声が聞こえるなと思います。コメントは全部見られますし、評価もいろいろですが、それは楽しみ。いい評価をもらうと嬉しいですよ。すごく褒めてくれる人もいます」

いそみさん「中華を頼むならここしかない!と言ってくれる人もいて嬉しいですね。40回頼んでくれるリピーターさんもいます」

 

―――― 使っているプラットフォームは?

富谷さん「最初は出前館だけでしたが、今は、Uber Eats、Wolt、出前館、Chompy。売り上げの35%くらいを納めますが、アプリによって手数料などは違います」

 

―――― アプリごとに、出るメニューに違いはありますか?

富谷さん「意外ですが、出るものは一緒。Uber Eatsは割引のプロモーションかけているので、それが出たりもしますが、似たようなメニューが人気なので面白いです」

 

―――― 今後のビジョンについて教えてください

富谷さん「売り上げ目標を立てて、きちっとした仕事をして、お客さまに料理を提供して満足していただくこと。実店舗を構えるとしても商圏は同じにしたいので、お客さんは一緒。場所は変わっても、トミーズキッチンで展開したいと思います」

いそみさん「主人の実家が近くなので、知り合いが多いんです。将来的に、実店舗を構えれば新しい人にも食べてもらえるかなと思います。デリバリーはずっと続けていきたいですね」

 

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トップページ - トミーズキッチン (tomyskitchen.com)

 

中島講師コメント

「六本木の老舗中華料理店『香妃園』での長きに渡る経験を活かしてのご出店。ご自身の腕に自信がある、いわゆる料理人出身の方の場合だと提供商品の質にコミットできるのがストロングポイントですよね。確実に商品の安定供給が可能なので継続して行くことによってファンの方はしっかり、着実に増えていくと思います。いわゆるカフェメニューの中には中華料理テイストが入っているメニューは多く、例えば回鍋肉(ホイコーロー)や油淋鶏(ユーリンチー)なんかカフェメニューにあっても全く自然ですよね。新天地でのご夫婦での挑戦、応援してます!!」

 

中島誠講師

エンタメカフェプロデューサー

(株)ZERO CREATIVE 代表取締役

(株)リノベーションプランニング社外取締役

Instagram:nakajima_makoto_

さらに詳しいスクールの特長はパンフレットに
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